1940年代、約20人もの未亡人を殺害し電気椅子で処刑された実在の殺人鬼カップル、マーサ・ベックとレイモンド・フェルナンデス。彼らの事件を基にした映画『地獄愛』が日本公開。
寂しさに取り入る結婚詐欺師と、彼が騙したシングルマザー。詐欺師と被害者だったはずのふたりは、いつしか深い愛に落ちていく。それからなぜ彼らは、20人もの女性を殺してしまったのか――?
人間がもしもモラルから解き放たれたら、誰しもの奥底に潜む狂気は自分たちに何をさせるのか。一見理解しがたい彼らの行動を、観客自らの身に置き換えて想像させ、共感を呼ぶ愛と嫉妬の物語になっているという。今作のビジュアルも作品の内容を体現しており、なにも見えない暗闇のなかで幼い子どものようにマーサに抱きつくレイモンドと、切実な表情を浮かべながら彼をその腕で包み込むマーサの姿が強烈に心に残るものとなっている。
監督は、青年が狂気の村へと迷い込む『変態村』で10年前にデビューしたファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督。前作と今作は、ベルギー・アルデンヌ地方を舞台とした狂気の愛の3部作のうちの2作品なのだという。「どのようにすれば観客とキャラクターが共鳴するかを考えた。その答えが狂気の愛だった。」と監督は語る。
今作は、アメリカのオースティン・ファンタスティック映画祭2014にて最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞の4冠を達成。ベルギーのアカデミー賞といわれるマグリット映画賞2016では最優秀撮影賞ほか3部門を受賞している。
映画『地獄愛』は、7月1日より新宿武蔵野館他全国順次公開。どうぞお楽しみに。
【ストーリー】
シングルマザーのグロリアは、出会い系サイトを通じてミシェルという男に出会う。ミシェルは寂しい女性を夢中にさせ、女性の性的欲求を満たすことで生計を立てる結婚詐欺師であった。グロリアはミシェルに出会った途端深い恋に落ち、ミシェルが結婚詐欺師だと知ってもその恋は冷めることはなく、娘を放棄するほどミシェルを付け回し、二度と自分から離れないように強要する。最初はそんなグロリアを恐れていたミシェルも、いつしかその異常な愛を心地よく感じ、兄弟と偽り共に結婚詐欺をする道を選ぶ。しかしそんな二人の歪んだ愛は、やがて未亡人を次々と殺す狂気へと変わっていく―――。
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