1976年3月24日本紙ヴァラエティは、ジョージ・ルーカス監督が、米20世紀FOXによる映画『スター・ウォーズ』を800万ドルをかけチュニジアで撮影開始することを報じた。アレック・ギネスは、「かつて銀河系戦争を指揮する口髭を生やした老ねずみ」を演じるとされた。若手俳優3人の役柄さえ明らかにされていなかったが、その週間後、「宇宙空間コメディアドベンチャー」では、マーク・ハミルがルーク・スターキラー(その時点での役名)役である、と記事は続いた。
同記事が本紙ヴァラエティに登場したのは1977年5月9日のことだ。1977年5月25日に映画が劇場公開となり、本紙トップページでは「スター・ウォーズ ジョーズ以来の快挙」と讃えた。43劇場(1劇場あたりの平均興行収入は約6万ドル)で、およそ2600万ドルと引用している。6月10日、ヴァラエティは「映画の直接経費は1000万ドル。米FOXに利益の60%、ルーカスに40%(彼はそこから外部に経費を支払った)が分配された。損益分岐点は2200万ドル~2500万ドル辺りだと推定される」と、報じた。
2017年の現在、映画『スター・ウォーズ』シリーズに損益があるかどうかについて考える者がいるのかと思うと衝撃だ。
1977年末ヴァラエティは、映画の米国内での興行収入は1億9700万ドルで、巨額の1億2500万ドルはレンタル(興行収入の一部はスタジオへ戻された)であったと伝えた。2017年時点、推定される全世界での利益は7億7500万ドルである。
1977年のアカデミー賞候補が公開された時、米FOXの3作品、映画『ジュリア』、映画『愛と喝采の日々』は各11候補、それに続き、映画『スター・ウォーズ』が10候補として上位を占めた。ルーカス監督は、監督賞と脚本賞にノミネートされ、同作は美術賞、衣装デザイン賞、編集賞、作曲賞、視覚効果賞にノミネートされた。アカデミー賞当夜、映画『スター・ウォーズ』は6つの賞とベンジャミン・バート・ジュニアへの「映画『スター・ウォーズ』のエイリアン、クリーチャー、ロボットの声」の創造に対しての特別賞など多くの賞を獲得した。しかし、ルーカス監督はどちらの賞も受賞できず、ギネスも助演男優賞を落選し、映画『ジュリア』のジェイソン・ロバーズに敗れた(ギネスは映画『スター・ウォーズ』の役柄でアカデミー賞にノミネートされている唯一の俳優)。映画『アニー・ホール』は作品賞を受賞し、監督賞と脚本賞を含む4つの賞を獲得した。
1980年代にホームビデオが流行する前、ヒット映画は長い期間劇場で公開されており、映画『スター・ウォーズ』ほど好調なものはなかった。1977年の公開から1年以上経過してもまだ人気作品であり、集客力があった。1978年6月14日ヴァラエティに、「映画『スター・ウォーズ』は映画だけにとどまらない。この夏のキャラクター商品にはうってつけだ」と、2ページの広告が掲載された。広告には『スター・ウォーズ』商品のライセンス契約を結んでいる25企業が掲載された。「夏のスター・ウォーズ映画上映日に合わせて抱き合わせ販売を行いたい方は連絡を」という広告は、当時のビジネス方法にヒントを与えた。第一に、映画『スター・ウォーズ』は劇場オーナーに未だ集客力の高いものであること、第二に商品は未だパイオニア時代であることがあげられた。米ウォルト・ディズニーが数十年間行っていたにも関わらず、実写映画作品にはその方法は及んでいなかった。また、最近では行われていないが、当時は映画館主はその地域でどんなアイテムが売れるのかを決定する重要な役割を担っていた。