アニメーション映画『バケモノの子』の細田守監督がスタジオ地図とともに制作中の映画『Mirai(仮題)』が、国際セールスを手掛けるシャレーズにより、カンヌ国際映画祭に出品される。
『Mirai(英題)』は、新たな家族として妹が誕生し、困難に対処しようとする4歳の少年を主人公に、摩訶不思議な物語へと展開する。少年が住む家の謎めいた裏庭はタイムトラベルのゲートとなり、過去にさかのぼった彼は、少女時代の母親と、青年時代の曽祖父に出くわす。このファンタジーに溢れた冒険によって意識が変化した少年は、自身が理想とする兄へと成長する。
シャレーズは、国際セールス会社ワイルドバンチでセールス部門の代表を務めていたキャロル・バラトンと、映画製作会社ゴーモンでセールス部門の副代表を務めていたヨハン・コント、そしてスタジオ・カナルでセールスマネージャーを務めていたピエール・マザーズによって新たに設立された国際セールス会社。コントは、『バケモノの子』がゴーモンによって出品された時に国際セールスを担当した。
『Mirai(英題)』は、2018年5月の完成が見込まれている。
細田監督は、本紙ヴァラエティに対して、「私の映画には共通したテーマが存在します。『時をかける少女』は青春時代について、『サマーウォーズ』は家族について、『おおかみこどもの雨と雪』は母親について、『バケモノの子』は父親について、そして新作では兄と妹の関係性についての物語が描かれます。『Mirai(英題)』は、両親の愛を取り戻そうとする少年の物語です」と、語った。
細田監督は、このプロジェクトが極めてパーソナルなもので、父親として2人の幼い子どもを持つ自身の経験にインスパイアされたと明かした。しかし、彼の過去作と同様、この新作にも普遍的な魅力が含まれるよう意図されている。「私は常に、主題の選択や劇中のせりふに関して普遍的な側面を持つ映画を作ろうと努力しています」と、細田監督は語った。
日本において、細田監督は、アニメーション界の巨匠である宮崎駿監督やスタジオ・ジブリの後継者と見られてきた。2015年に『バケモノの子』が日本国内で4900万ドルの興行収入を記録し、多くの海外セールスを獲得した際、その約束は果たされたように思われた。昨年の東京国際映画祭では、細田監督が手掛けてきた作品が特別上映された。
昨年10月に開催された同映画祭のステージで、細田監督は、「父親とお酒を飲んだり、食事をしたりする機会は一度もありませんでした。父はめったに家におらず、父親としての存在が曖昧でした」と述べた。