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PC遠隔操作事件「ガジェット通信の国家賠償請求訴訟」司法記者クラブ主催記者会見の書き起こし
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PC遠隔操作事件「ガジェット通信の国家賠償請求訴訟」司法記者クラブ主催記者会見の書き起こし

2013-02-22 08:03
    警視庁の看板

    2月20日に「ガジェット通信の国家賠償請求訴訟」を提起した際おこなわれた記者会見の内容を書き起こしでお伝えします。

    この訴訟についてご存知ない方は以下の「この訴訟について」のリンク先をさらっとご覧ください。

    ■この訴訟について

    「遠隔操作で捜索違法」と提訴 NHKニュース
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130220/k10015662101000.html

    訴状全文
    http://getnews.jp/archives/291173

    原告ガジェ通側の考え
    http://getnews.jp/archives/291272

    ■司法記者クラブ主催記者会見書き起こし(2013年2月20日東京地裁)
    記者会見の様子


    原告側:
    深水英一郎(ガジェット通信発行人、未来検索ブラジル社代表 @getnewsjp )
    山下幸夫弁護士( @crusing21 )


    司会者
    では質疑に入ります。

    記者

    押収された動産の点数についてパソコンなら何台かなど伺いたいのですが。

    山下幸夫弁護士(以下、弁護士)

    別紙についていますが第一事件で会社の、事務所から押収されたものは全部で58件ありましてその中にはパーソナルコンピューターがかなりの台数ございます。その他、決算報告書・契約書・領収書・銀行取引明細書など経理に関する帳簿と、かかなり色々なものが入っております。第二事件に関しては会社からの押収品はありませんでした。

    それから西村取締役との関係で第一事件においては2カ所ありまして、まず1カ所は43点押収され、この中にはかなりパーソナルコンピューター・ハードディスク・USBメモリー・その他領収書などございます。それから第一事件のもう1つの場所にはパーソナルコンピューターが一台押収されています。第二被疑事件、PC遠隔操作事件では21点の差し押さえがされ、その中にはノートパソコン・携帯電話・メモリーカードなどが多数含まれております。

    記者

    パソコンとか携帯とかハードディスクの台数、帳簿などはのぞいてどのくらいの数ですか?

    弁護士

    第一事件の会社関係ではパーソナルコンピューターが14台、ファイルサーバーが一式。それから西村さんの関係では第一事件で4台、もう一カ所のところでパーソナルコンピューター1台なので計5台ということになります。第二被疑事件ではノートパソコンが3台、その他ハードディスク、メモリー関係が相当いろいろあります。

    記者

    会社でもっているパソコンを根こそぎ持ってゆかれたという感じですか?

    ガジェ通発行人深水(以下、深水)

    そうですね。

    記者

    もう一点、警察だけでなく令状を出した裁判所の過失もあると思いますが、その裁判官の過失も国家賠償請求訴訟の中に含めるというお考えは?

    弁護士

    もちろん理論的には可能ですが、過去の裁判例では非常に難しく、なかなか認められていないことが多いので東京簡易裁判所で発行する令状ですが、裁判を行った場合、1番の問題は「警察が請求して出した令状」ですから、根源的な責任は警察の方が大く、あまり無駄なことをしても仕方がないので裁判所・国の責任は除外しています。

    記者

    あまり資料を詳しく見てないのですが捜索の前に、任意提出を求められたけれども断ったという経緯はあるのでしょうか?

    深水

    それはないです。

    弁護士

    だいたいこういったことはいきなり来て「わーっとやっちゃう」と言うことにしないと、証拠隠滅されますから事前にそんなことはしないです。

    記者

    西村さんは現在も役員をつとめてらして、今回の国家賠償請求訴訟について西村さんはどういう認識をもたれているのでしょうか? そういうお話をされたか、うかがいたいのですが。

    深水

    西村は今も役員です。役員会で国家賠償請求訴訟をする話をし、役員全員で承認したということです。

    弁護士

    今回は会社の業務に使うものが押収され、会社の損害という位置づけをしていますので、西村氏自身のところで押収されたので、彼の意思を無視しているのでなく、当然、彼も国家賠償請求訴訟することは了解していて「会社が請求する」という形をとらせていただいております。

    記者

    TBSですが、捜索が行われた日時と、営業での損害の具体的な額については?

    弁護士

    まず日時ですが、若干西村氏と会社ではズレがあり訴状にも3ページくらいから書いてありますが会社の関係で、第一事件で23年11月24日、24年12月3日、西村さんの関係では24年3月5日と24年12月2日。日が少しズレております。営業の損害額について今回、数字を出すのは難しいので無形損害と書いてますが「人間であれば慰謝料に相当するもの」として無形損害が認められ、要するに具体的な損害額をだすのは非常に難しく、いわゆる慰謝料的な形で請求しているということです。具体的に損害額が「いくら」と数字を出している訳ではないです。

    記者

    賠償額は55万円と55万円ということですが

    弁護士

    はい、今回は(両会社)50万円と50万円(づつ)に10%の弁護士料が認められ、それを(両会社で)二つに分けた、基本は110万円です。さらに(100万円の内訳は)第一事件と第二事件をざっくり分けて「押収品があった第一事件が60万円」「押収品のなかった第二事件が40万円」これを二社で分けたというイメージです。

    深水

    110万って書いてありますが、実際の損害は桁が違う訳です。ただ、損害の具体額を出して訴えるよりも、こういうことが繰り返されない、我々みたいに「まじめに働いている人間がこのような被害にあい、不利益を被ることが繰り返されないように」というメッセージを出したいという意味で、このような金額を出させていただきました。

    弁護士

    今回は実際に出た損害を請求するというより、訴訟を起こし問題提起をして警察にこの問題を認識していただき、二度とこういうことがないようにして欲しいということで、あえて金額は非常に低く、過大な請求はせずに抑えた数字になっています。

    記者

    捜査する側としては2ちゃんねるでの麻薬特例法違反の幇助容疑と関係があるということで書類送検されたと思うのですが、今回西村さんに対して第一被疑事件では関係がないということですか?

    弁護士

    書類送検されただけで、この先検察庁が処分を判断するので、まだ最終処分されているわけではないです。逆に言うとみなさんご存知と思いますが逮捕されているわけでもないので、ある意味警察としては思うように捜査は進まなかった。書類送検はしたけれども、逮捕に至っていないというふうに認識されている訳で、もちろん警察は書類送検するために必要だったと主張すると思いますが、どれだけ具体的に幇助という容疑があったのかと裁判の中で証明していただきたいところです。

    深水

    書類送検というのはニュースではあるかもしれないですが罪ではないわけです。「ニュースだけれども罪ではない」そこをきちんと認識もっていただきたいと思います。

    弁護士

    単なる途中経過ですし当然、推定無罪の原則というのもあるということで考えております。

    記者

    そういった意味では第一事件も第二事件もまだ捜査終結になっていないと思いますがPCなど押収物は全部還付されているわけですよね? 通常、事件と関係があったなら還付されないですよね?

    弁護士

    そうです。還付されたということは関係なかったということを公的に認めている訳です。訴状に書いてありますが警察としてはある意味公的に必要なかった。「必要ないものを押さえた」ということになり、それは私どもからみれば関係なかったことの裏付けということです。それは訴状にも書いております。

    記者

    押収されて還付されるまでは従来の仕事は? パソコンとか使えなかったわけですよね?

    深水

    そうですね、記者や編集者が使っているパソコン・ファイルサーバーなど押収された訳で、復旧したり新たなパソコンを準備したりと、非常に手間もお金もかかり、データそのものも失われた訳ですから、バックアップから復旧し手間もかかり、我々に迷惑がかかりました。

    記者

    会社として西村さんが原告に加わっていない理由は? いちおうご自宅も捜索されたということですが。

    弁護士

    理屈はそうですが先ほども申しあげたように、これは会社が受けた損害ととらえて構成しているということです。

    深水

    そこまできいてないので本人にきくしかないですが、私としては会社の代表として会社が受けた損害を、こういう形で訴えるということしかできないです。

    記者

    西村さんの自宅にあったものも基本的には会社に関係すると考えてよいのでしょうか?

    深水

    そうですね、会社に関係するものも含まれているということですね。

    弁護士

    すべてではないですがコンピューターほか業務に使っていたものもあるということです。なので会社の損害になるということで今回は会社の方が原告としてやるということです。西村さんがやるということは西村さん本人の問題です。本人が原告になってもやるということを言ってきているのではないので会社としてやりたいということでやっているということです。

    深水

    PCや携帯等が押収されて実際連絡がとれなくなったということもありましたし業務に支障が出ました。

    記者

    第一事件に関してはこれ以外にも何ヶ所か家宅捜索に入っていたと思うのですが、他の件に関して今回は入っていない理由があるのですか?

    深水

    お互い知りませんから。要は連携して出すという話だと思いますがお互いの考えを知らないので、国家賠償請求訴訟を一緒にやりようがないですね。

    弁護士

    それぞれが考えることで。この会社としては国家賠償請求訴訟をやりたいということでやっている訳です。

    深水

    一応10ヶ所とか報道されていましたけども、全く知らない訳ではなく名前が出てるところは「あー、そうか」とわかるところもありますが、それ以外は本当にわからない状態です。

    記者

    未来検索ブラジルという会社の表現のしかたなんですが2ちゃんねるの検索サービスのシステム開発なのでしょうか?

    深水

    実際にやっていることはいろいろあるのですが、元々はウェブサービス中心の開発会社で、その一部として2ちゃんねる検索というサービスを実施しているということです。その他広告代理店業務やネットメディア事業も行っております。もちろん検索エンジンを開発するというのが当初の目的として設立された会社なので検索エンジン開発の仕事もいろんなお客様のところに入ってやっています。

    記者

    報道機関に対しての名誉毀損なんてのは今後お考えになってますか?

    弁護士

    それは直接的には警察が公表しているから報道する訳で、今回の場合は警察の違法な家宅捜索が問題なのでそこだけをターゲットにしています。

    深水

    訴状としてはそういう表現にならざるを得ないのですが、実際に受けた迷惑に関連して報道機関の問題というのもあります。我々側からはこの事件に関していっさい情報を外に出してないのですが、いろいろと報道されたわけです。もとをただせばこの情報源はすべて警察側にあるわけで、その警察の情報を受けて報道側が発表されたと言う形になると思うのですが、それによって起きた風評によって社会的評判を落とし我々が損害を受けたということはあります。それによってお客さんを失ったりもした訳です。だから本心としては警察から情報が漏洩してマスコミの方々が風評を流すということをやめていただきたいという気持ちもあります。ただ訴状にはそれは表現できないということですね。今回司法記者クラブさんにお願いしたいことがあります。今回この裁判を提起するということ自体我々は発表していなかった訳ですが事前に警察側の刑事の方が「未来検索ブラジルがこのような訴訟をやるんだがどうしてだ」ということですでに調査を始めているそうです。「訴訟をやる」ということは司法記者クラブさんにしか申し上げていないので、情報源としてはここしかないはず。それが漏れているのは何ででしょうか? という話です。もしかしたら司法記者クラブさんから警察の方に何らかの取材なり情報の提供があって、こういうことが行われたのではないかと推測はする訳ですが、今後そのようなことが行われないようにと強く申し上げたいと思います。もしそのようなことをされた方がいらしゃったら今後はぜひやめていただきたいと思います。よろしくお願いします。

    記者

    家宅捜索の警察側の意図についてはどういうふうに見ているのでしょうか? 見込み違いという見方をしているのか、なにか別件捜査するつもりだったのか? そちらのお考えは?

    深水

    うーん、実際のところはわからないですよね。ただ手広く調べたかったのかな、というのは推測ですがあります。最近はこういう捜索押収や冤罪事件や誤認逮捕など、いろいろな警察側のゆるみというところが問題になっているところではありますが。今回の訴状にPC遠隔操作事件の件もはいっています。警察側は「緩く広く捜査すればなにか出てくるだろう」という気持ちで捜査されているのではないかという疑念を私自身はもっております。ただそれによって我々が被る被害は甚大ですしそのことをもっと考慮して家宅捜索や押収等などは行われるべきではないかと僕は思います。

    司会者
    それでは、会見を終了いたします。

    深水、弁護士

    ありがとうございました。

    東京地裁

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