学生気分は永遠に抜かなくていい

今回は電脳くらげさんのブログ『脱社畜ブログ』からご寄稿いただきました。

■学生気分は永遠に抜かなくていい

新入社員を説教する決まり文句に、「学生気分が抜けていない」というのがある。僕は、この文句が心から嫌いだ。

はじめに表明しておくと、僕も自分の会社を畳んで、会社員をやるようになってそこそこ経つが、自分の学生気分はまだ抜けていないと断言できる。別に今後とも学生気分は抜かなくていいと思っているし、むしろ抜けないように気をつけている。会社まで距離があるのに、いまだに大学の近くに住んでいるのもそのためだ。たまに大学の周辺を散歩したり、学生の頃に通っていた定食屋に入ったりして、彼ら(大学生たち)と自分があまり変わりすぎないように、気をつけている。

こういうことを書くと、僕が一種のピーターパン症候群に罹患しているかのように見えるかもしれないが、僕が学生気分を抜かないようにしているのは理由がある。それは、大学生が持っている以下のような性質を、絶対に失いたくないからだ。

・組織の一員であることを絶対視せず、組織と自分を切り離して考えられる

・人間関係や仕事が辛くなったら、さっさと逃げることができる

・お金がなくても、それなりに楽しく過ごすことができる

学生気分を捨て、いわゆる「社会人」生活に洗脳されてくると、こういった性質がどんどん失われていく。

学生のころは、そこまで自分の所属する大学を強く意識したりすることはなかったと思うが、会社員になると、自分の所属する会社=自分の生きる世界になってしまう人も少なくない。そこで出世したり、認められることと、自分の人生を過度に重ねてしまうのは、実はとても危険なことだ。自分の人生と会社は、常に切り離して考えられるようでないと、過度に自分を追い込んで、精神を傷つける可能性がある。

また、学生の時は、たとえばサークル内で人間関係が悪化したり、運動部で練習が辛いといった場合には、さっさと辞めて逃げるということが普通に行われていたはずだ。でも、会社員になってしまうと、「職場の人間関係がよくない」とか、「仕事が辛い」という理由で逃げようとすると、ものすごく批難される。そのまま追い詰められて取り返しのつかないことになる人も少なくない。本当に逃げるかは別として、「逃げる」という選択肢は、学生の頃のように常に保持しておいたほうが絶対にいい。

お金に関しても、明らかに学生の頃より今のほうが稼いでいるのに、全然楽しくないという人もたくさんいるんじゃないかと思う。会社員になると、お金で時間を買うようなことも平気で行われるようになる。これは、あまり健全な状態ではない。収入の増加に伴って、出費もどんどん増大しているんだったら、大学生のころの生活や金銭感覚を一度思い出してみるべきだ。

これを読んで、「学生気分が抜けていないというのは、そういうことじゃないんだよ。例えば、言葉遣いが間違っているとか、時間を守れないとかそういうことを、学生気分が抜けていないと言ってるんだ」と思った人もいるかもしれない。僕が思うのは、例えば言葉遣いが間違っているなら、ちゃんと「言葉遣いに気をつけろ」と注意をすればいいし、時間を守れないなら「時間を守れ」と注意をすればいいということだ。学生気分が抜けていない、と一括りに言われると、過去の学生生活が全否定されたようで僕は非常に悲しくなる。

学生気分にも、大いに参考にすべきものはある。学生気分は、永遠に抜かなくていいと僕は思う。

執筆: この記事は電脳くらげさんのブログ『脱社畜ブログ』からご寄稿いただきました。

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