この記事はフリーライターの矢島詩子さんよりご寄稿いただいたものです。この問題については引続き矢島さんのブログで執筆されるとのことですので、興味あるかたは矢島さんのブログもあわせてご覧ください。
■保育園入所不承諾への異議申し立て実行@大田区
各所で報道されているとおり、3月7日、大田区の親子が集団異議申し立てを行いました。
朝10時の集合に合わせて集まったのは、ご夫婦2組を含む14人の親子。そのうち1名は、今日のことを知らずに預け先の相談に区役所へ来た方が急遽加わりました。
マスコミも多数集まりました。ほぼ一通りの報道機関が集まっていたので、この問題への注目度がより高まることを願います。
申し立て書を読み上げるのは今回の異議申し立てを呼び掛けた遠藤さんご夫妻。
3月で1歳になる娘の咲良ちゃんも一緒です。
大田区保育サービス課の市野由香里・待機児担当が、申し立て内容を読み上げる親たちの真剣な訴えを聞きながら、人数分の申立書を1通ずつ受け取っていました。
一通ずつの提出になったのは、申立書に一人一人の声が書かれているので、しっかり受け止めて欲しいため、という願いも込められています。
申立人の中には、読み上げながら涙をこらえる方も。
泣きたくなるのも当然です。
どこにも入園できないという絶望感、仕事も失いそうになっている、そして生活基盤への不安に直面している人たちばかりです。
保育サービス課長・小泉邦雄参事は、大田区の待機児童の現状と平成25年度の待機児童数、そして今後の施策について、「待機児童解消の取り組みをさらに強化して、保育サービスの質の確保が重要と考えているので、基盤整備に力を入れていきます」と話していました。
杉並区のように、この場で緊急的な施策が発表されることも少し期待していましたが、残念ながらありませんでした。
●今後の動きは
本日の異議申し立ての後、大田区は申立人に対して何らかの回答をすることになります。
また、大田区ではこれから保育園入所の2次選考が行われるため、辞退者などの枠によって、1次選考で不承諾だった人でも、入園できる人も少しは出てくるかもしれませんので、その結果を待つことになります。
しかし、400人もの待機児童がいるなか、この行動によって申立人たちがすぐに入園できるとは限りません。
今日、申し立てした人たちは4月からの預け先として、ようやく見つけた、自宅から離れた認証保育園に入園する人もいれば、友人に預かってもらうという人もいます。
それぞれの家庭の事情、勤務時間などで違いはありますが、どれも長く続けるべきでない保育状況と言えるでしょう。
●大田区の具体的な努力が今ひとつ見えてこない……
小泉参事は大田区における待機児童問題を引き起こした要因として次の通りあげていました。
・就学前人口が微減する予測だったが、実際は微増になり、見込み違いをした
・大田区池上・久が原、大森駅周辺などで顕著にファミリー世帯が多く入居できるマンションが建設された
・リーマンショックの影響もあり、働きたい人が増えたのではないか
参考まで、大田区の待機児童数の推移です。
※表は厚生労働省の発表資料から筆者が作成。
2007年(平成19年)からうなぎのぼりです……。
リーマンショックは2008年(平成20年)に起きています。
平成21年度から待機児童が急激に増加しているので、それに対応すべく大田区3カ年プランを打ち出し、定員を増加させたと説明しました。
ようするに、現状、進んでいるプランはあるかもしれませんが緊急の施策は今のところ期待できそうにないということのようです。
大田区では「おおた未来プラン10年」という区政の基本構想を持っており、その中で平成30年に待機児童の解消を目指しているとされていますが、平成30年までに10年も待たせる気なのかという疑問と、どうもこの調子じゃ10年かかっても無理なんじゃという気持ちになってしまいましたねぇ。
それにしても、大人が大勢、しかもカメラがいっぱいの中で、しかも暑くて落ち着かない中を一緒にやってきた0歳児さんたち。
彼女・彼らには長い半日になりました。お疲れ様です。
手はかかるけど、やっぱり乳幼児はかわいいわ。
(矢島詩子)
※この記事はフリーライターの矢島詩子さんよりご寄稿いただいたものです。
http://harunop.hatenadiary.jp/
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