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1988年のオリコンチャートが面白い
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1988年のオリコンチャートが面白い

2013-03-10 18:02
    1988年のオリコンチャートが面白い

    今回はfmnakaさんのブログ『蕎麦屋』からご寄稿いただきました。

    ■1988年のオリコンチャートが面白い
    音楽は死んだ!音楽業界は死んだ!と叫ばれてはや何年が経ったでしょうか。

    21世紀に入りCDが売れなくなり、音楽配信は違法ダウンロード跋扈のせいでここ数年は落ち込み気味。ろくな楽曲が無くオリコンのランキングはAKBとジャニーズで独占。もう未来なんてあったもんじゃない!!!!

    いやもうおっしゃる通りです。ぐうの音も出ません。

    そんなわけで、パラパラと昔のオリコンチャートとかを見ていました。そしたらちょうど四半世紀前、1988年のオリコンチャートが面白かったので起こしました。

    1. パラダイス銀河(光GENJI) 87.4万枚

    2. ガラスの十代(光GENJI) 67.3万枚

    3. Diamondハリケーン(光GENJI) 67.1万枚

    4. DAYBREAK(男闘呼組) 62.3万枚

    5. 乾杯(長渕剛) 52.1万枚

    6. MUGO・ん…色っぽい(工藤静香) 45.6万枚

    7. 剣の舞(光GENJI) 41.6万枚

    8. ANGEL(氷室京介) 37.5万枚

    9. 人魚姫Mermaid(中山美穂) 36.4万枚

    10. You were mine(久保田利伸) 33.1万枚

    という事でした。ここからいくつか判る事がありますね。

    ●その1:ジャニーズとおニャン子!
    光GENJI率のこの高さよ!そして男闘呼組。そして長渕剛の乾杯という、もう何世代も語り継がれるレベルの名曲を挟んでの工藤静香、そしてまた光GENJIですよ。
    つまりですね、もう今も昔もちょっとほっとくとジャニーズだらけ、みたいな感じになってしまうわけなんですよ。

    ここで面白いなと思ったのは、ジャニーズCDの売れた枚数です。

    40万台:1曲

    60万台:3曲

    80万台:1曲

    という構成になっており、60万枚台が中央値らへんになっている訳ですが、2012年の嵐のCD売上枚数を見てみると、

    「ワイルド アット ハート」 64.9万枚

    「Face Down」 62.0万枚

    「Your Eyes」 55.9万枚

    となっており、50~60万枚台が中心であります。

    非常に似通っております。光GENJIの上位2曲は割と知名度高く他の層にも売れた事を考えると、CDを買うようなジャニーズファンの数というのは、50~60万ぐらいで、ずっと一定で推移しているのではないかな?などと思う訳です。

    (初期SMAPなんかも大体そのくらいのスマッシュヒットを飛ばしまくってたような気がするのですが、そのへんの検証は誰かしてください)

    ●その2:ミリオンセラーがない!
    パラダイス銀河で87万枚ですよ。ちなみにこの年は随分多い方で、前年の1987年の第1位は瀬川瑛子「命くれない」で42.2万枚、1986年は石井明美「CHA-CHA-CHA」で53.0万枚です。1989年になるとプリンセスプリンセスが1,2フィニッシュをかますわけですが「Diamonds」で81.4万枚です。

    (年間の)ミリオンヒットという意味では、1983年の大川栄策「さざんかの宿」の次が1990年のB.B.クイーンズ「踊るポンポコリン」なんですね。その翌年1991年にはいきなり小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」(これカップリング曲だったんだよね)が250万枚の大ヒット、というのをはじめ7曲がミリオンセラーになり、90年代のCD馬鹿売れ時代に繋がるわけです。

    そう考えるとさ~。むしろ90年代のCDバカ売れ時代こそ異常であり時代のあだ花だったんじゃね? 今ぐらいの売れ方のほうが正常なんじゃね? などとも思えてくる訳です。

    とはいえ、一応売れてなかった話なんだから、そんな風に”売れてなかった”要因はなんでだろう?とか考えてみることにしましょう。なんとなく仮説は2つあって、

    ・ 丁度レコードからCDへの過渡期で、消費が抑制されたのかな~

    これはあるよね。レコードからCDに変わる時期だと、プレーヤーの普及率とかの影響をもろに受けるし、今まで集めてたレコードの事を考えると、流行ってるとはいえCDを買うのためらったりすると思うんだよね。その辺、当時の音楽消費の空気感とか誰かに聞いてみたいところ

    ・ やっぱり全体的に音楽が低調だったのかな??的な部分。

    これは3つ目の気づきにつながるのですが、

    ●その3:知ってる曲がすくねえ!
    なお、私1980年生まれで一応当時生きてるはずなんですけどね。
    上位2曲は知ってる(小学校でよく流れてた)、乾杯はもう言わずと知れた名曲、工藤静香はまぁサビぐらいは聞いた事ある。他はどんな曲なのか全く判りません!判りませんよ!

    つまりですよ、後世に伝わる名曲=売れた曲なんかじゃないってことなんじゃないですか!(ドンドン!)

    しかし、こう言ってはみたものの、じゃあランク11位以下でどれだけ知ってる曲があるかというと・・・

    サザンオールスターズ「みんなのうた」、長渕剛「とんぼ」、田原俊彦「抱きしめてTONIGHT」、渡辺美里「恋したっていいじゃない」、TM NETWORK「BEYOND THE TIME」「SEVEN DAYS WAR」とかそんくらいですよ。

    いやね、僕が知らないだけかもしれませんけどね、そうやって考えると、この年には次の世代に伝わる曲の数が相対的に少なかったのかな~、音楽は低調だったのかな~?などと考えなくもない訳です。

    以上まとめると、

    1. ヒットチャートが低調になると大体ジャニーズ、アイドルで埋まる

    2. ミリオンセラーが無い時代は結構長い

    3. 名曲が売れた曲とは限らない。あるいは年によっては後世に伝わる名曲が出にくい年もある

    こんな感じでしょうか。

    以上のように考えると、この1988年から四半世紀が過ぎた現在、音楽が死んだ!音楽業界が死んだ!なんて言ってるけど、

    ・ 後何年かしたら、新しい音楽鑑賞スタイルのもと、新しいヒット曲がバンバン出てくる

    ・ ミリオンヒットという言葉は死んでも、みんなが知ってる曲は出てくる

    ・ 改めて、後世に伝わるような曲が掘り起こされる

    みたいな事が近い将来にやってきそうな気がするんですけどね。我々音楽の消費者はそんな日が来るのを楽しみに待っておりますよ。

    執筆: この記事はfmnakaさんのブログ『蕎麦屋』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2013年03月07日時点のものです。

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