集合写真

3月9日、ミクの日に銀座ソニービルにてボーカロイド曲の映像作品上映イベント『VOCALOID CINEMA PARTY2013』が開催された。3月9日が語呂合わせでミクとなることからリアルやネットを問わず様々な場所でボーカロイド関連のイベントが開催された。その中の一つである『VOCALOID CINEMA PARTY2013』は、いわば動画職人たちのイベントだ。

『ニコニコ動画』を中心としたネットカルチャーに一大ブームを巻き起こしたボーカロイド。音楽のジャンルとしてボーカロイド誕生当初は、一枚の印象的なイラストの上に歌詞があるだけのシンプルな動画が『ニコニコ動画』に多くアップロードされていたが、いまやボーカロイド曲と言えばPV(プロモーションビデオ)やMV(ミュージックビデオ)があって当たり前のようになってきている。一つの楽曲に対して複数の動画が作られることも多々あり、それぞれの動画職人、クリエーターたちの想像力や技術力によって同じ曲でも全く違った面を観ることができるのがボーカロイド曲の魅力でもあるといえよう。

今回のイベントは銀座ソニービル8Fのオーパスという高音質・高画質の会場を借りて、クオリティの高い環境でボーカロイドMVを上映してみんなで楽しもうというもの。その楽しみっぷりは、同じ銀座ソニービルの7Fにあるサバティーニ・ディ・フィレンツェさんから提供されたドリンクや軽食が、なんと完食されるという様子からも伺えるだろう。息をのむハイクオリティの動画や、思わず微笑んでしまうかわいい動画、会場から笑いの起こる動画など様々なMVが一挙に上映される非常に充実したイベントであった。また、2.5次元てれび協力の下でネット配信もされており、遠方のファンにもイベントの様子が中継されていた。

ミクグッズ

ps3ミク

会場となった銀座ソニービルでは、期間限定初音ミクグッズの展示も行われていた。予約即完売となったウォークマンや、ミク仕様のPS3など様々なグッズが展示されていた。

●4KボカロMV世界発上映! クリエーターもファンも興奮!
4Kとは、地デジの約4倍キレイな超高精細な動画規格。会場で生まれた名言を借用するならば16:9の映像にして、『ニコニコ動画』の画面36枚分となる“36ニコ動”相当の映像を詰め込めるのだ。残念ながら、4K映像のキレイさを写真でお伝えすることは不可能なので想像していただくしかないのだが、今回の『VOCALOID CINEMA PARTY2013』では、そんな超高精細な動画が4本も上映されることとなった。

4K映像はフルHDと呼ばれる規格の縦横ともに約4倍の広さとなる。身近な例で言えば、普段A4用紙を使っている人が、A4用紙を横に4枚縦に4枚の計16枚に広げたものを使うようなものだ。フルHDはたまに耳にする言葉だと思うが、4Kはおそらく耳なじみのない言葉であろう。当然、対応するモニターもほとんど発売されておらず、動画製作者のコメントを聞いていると、完成品を見られるモニタがない、編集後の書き出しにめちゃくちゃ時間がかかる、などかなり苦しんだ様子が伺えた。しかし、産みの苦しみがある分、完成した4Kの映像はこれまでのMVとは一味違う感覚を味わうことができた。

画面いっぱいに広がる映像への没入感であったり、一本一本の線の繊細な描写であったり、吸い込まれそうになる感覚といったものは4Kならではの感覚であるといえるだろう。全作品上映後のお楽しみとして最後に上映された4K作品だが、イベントの感想が「4Kすげぇ……」と全部持っていった形となるほど強烈な印象を残した。今後もイベントが続くことになれば、おそらく4K作品に挑戦するクリエーターも登場してくることになるだろう。また、ボーカロイドMV制作者にとっては新たなステータスとして「4K制作済」のようなタグが追加されることは想像に難くない。

●“VCP2013”感想
看板
『VOCALOID CINEMA PARTY2013』の特徴は、実際の動画制作者が来場している点である。また、上映した動画の制作者が、動画の上映後にコメントをするというのも特徴的で、作り手と受け手の距離がここまで近いイベントもあまりないだろう。筆者自身はボーカロイドの曲も、映像も作った経験がないので、作り手側の苦労など知らずに映像を楽しんでいたのだが、様々なクリエーターたちの創作への思いや苦労などを聞くとこれから見る作品全ての見方がガラリと変わるような思いがした。

また、来場していた方から感想を聞くことができたので掲載させていただく。

作り手として、他人の作品を観て勉強することはオンラインでも出来ることですが、自分の作品を観た人からのリアクションやレスポンスを直接肌で感じることは上映会ならではのことです。匿名のコメントではなく、生で聞く自分らと同じ作り手側からの感想は好意的なものも批判的なものも、どちらも創作する意欲に繋がりお互いを高め合う貴重な経験となります。

そんな新しい出会いは新しい作品を生み出すきっかけにもなっていました。このようなイベントがもっともっと増えて欲しいです。

自分はお客さんとしてこのイベントを観に来たつもりだったんですが、クリエーターさんたちのお話を聞いていると自分も作り手になったような気がしてきちゃいました。制作秘話を聞いた上で改めて映像を観てみると、確かにそこにこだわっているなあと感じたり、ここはもうちょっと工夫できるな、とか批評的な目線でも作品を観られるというような視点の変化も起きました。

自分の作品がこんなに高画質で大画面に表示されて、観ている人を喜ばせられるのなら、映像を作ってみたいなあと思ってしまいました(笑)。

以上が頂いたコメントである。無数にあるボーカロイド曲の数々。ともすれば楽曲そのものの印象を180度変えてしまうことすらあるボーカロイドの映像作者に注目してみるのも面白いと感じるイベントであった。映像の中にあるモノの動き方、魅せ方、刻み方、色彩の濃淡や色の温度など、様々な要素が複雑に絡み合って素晴らしい映像ができていることに気づいた時、あなたはもうボカロMVの深みにハマっているかもしれない。

VOCALOID CINEMA PARTY2013
http://www.vocalocinema.net/

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