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女性の幸福な人生(6) ある「復職」の想い出(中部大学教授 武田邦彦)
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女性の幸福な人生(6) ある「復職」の想い出(中部大学教授 武田邦彦)

2013-04-26 14:04
    女性の幸福な人生(6) ある「復職」の想い出(中部大学教授 武田邦彦)

    今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

    ■女性の幸福な人生(6) ある「復職」の想い出(中部大学教授 武田邦彦)
    女性の人生は難しい。自分の周りはどれもこれもハッキリ決まらないものだらけなのに、社会のシステムの方は「決めろ、決めろ」と言ってくる。 結局、自分が折れて、「決めろ」という社会に背を向け無ければならない。

    私が40才を少し超えたぐらいだっただろうか、国際的な仕事をしていたのでタイピストが必要だった。当時は、パソコンなどなかったのでタイプで正式文書や英語の手紙を打つ必要があった。

    そこで、私の研究所も女性のタイピストをパートで雇っていたけれど、ある日、「子どもが幼稚園に通うようになったので、送り迎えで、仕事を止めなければなりません」と言ってきた。 そこで、私は止めなくても一時、休職にしてもらいたいと思って勤労と掛け合ってみたら、「パートの人はもともとパートなので休職などの制度はない」と言われた。

    比較的、進歩的な労務政策だったが、なにしろ数万人規模の会社だったので、規則はやむを得なかったのだろう。 その女性は退職した。

    しばらくして、女性から電話があり、「母(おばあさん)の膝が治ったので、子どもを幼稚園に連れて行くことが出来るようになりましたので、また雇ってもらえませんか?」と聞いてきた。

    私はまた勤労に電話すると、「それはダメです。雇用は特別な理由が無い限り、公募して選考し、配属します」ということだった。確かにこれから仕事をやりたいと思っている人の立場になると、公平にやってもらいたいだろう。

    でも、私も若く、熱血漢の時代だったので、「仕事にも慣れて、いい人だった。是非」といっていわば強引に再雇用してもらった。

    ・・・・・・・・・

    もともと、そのタイピストはかなりの腕前だったので、パートでは無く正社員として十分に仕事ができる人だったが、、おそらく結婚か、子どもが生まれた時に仕事をやめてパートになったのだろう。

    いつ結婚するか、いつ子どもが生まれるのか、お母さんと同居するのか、旦那は理解のある人か、そして、子どもが生まれた後も、保育所は近くにあるか、子どもは病気がちでは無いか、おばあさんに膝の具合ひとつで、生活は変わる。だから、男が作った規則ずくめの社会ではお母さんは苦しむばかりだ。

    第二次世界大戦後、女性の社会進出が進み、男性社会に飛び込んだ女性の大半は差別を受け、苦しみ、挫折した。その原因を「男性」に求めたのは女性に失敗だったように思う。

    その理由は、

     1)もともと女性のいなかった男性社会は、男性の論理でできている、

     2)それは「良い悪い」の問題では無く、事実だった、

     3)男性社会に女性が入れば、軋轢が生まれる、

     4)男性は「女性のために」自分たちが不利になる改良をしない、

     5)女性のための社会は女性が作らなければならない、

    ということだった。

    「男性と女性は同じなのだから、同じ取り扱いを受けるべきだ」と女性は言った。それは正しい。でも、そう言うと男性は「同じ取り扱いをしているよ」と素っ気ない。「同じ取り扱い」が「女性に不利」になるのは、男性社会だからで、男性から見ると「勝手にあとから入ってくるからそうなる。もし不満なら女性だけの会社を作ったら良いじゃないか」ということになる。

    そんなことを言っても、今まで会社つとめしていない女性が急に会社を作ることもできない。だからそのハンディキャップは男性が埋めてくれと女性は言った。 そうすると男性は「これまで戦争で死んできたのは男だ。女性も少しは辛い思いをしろ」といって埒があかず、前進しない。

    女性が男性を非難したから、男性が動かなかったのだろうか? それとも男性は自分の身を守ることを優先したのだろうか? 人間にとって身を守るというのは不当なことだろうか? 女性は作戦に失敗したのだろうか?

    戦後の女性の辛さ、悔しさを見ていると、私には「作戦不足」という感じがする。今でも、それは同じで、やはり勝つためには正義を主張するだけでは無く、作戦が必要なのでは無いだろうか?

    執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2013年04月22日時点のものです。

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