臓器海外移植のキーマンインタビュー@新横浜

今回はうさみのりやさんのブログ『うさみのりやのブログGT~三十路の元官僚、独立するの巻~』からご寄稿いただきました。

※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/332616をごらんください。

※この記事は2013年04月24日に書かれたものです。

■臓器海外移植のキーマンインタビュー@新横浜
先週上げた臓器海外移植の記事*1に関して実際に取り組んでいるある業者から、「一度こちらの言い分もきちっと聞いてほしい」と連絡が入りました。

*1:「命の値段につけ込むのはちょっとえげつない ~臓器海外移植の業界がムゴいことになっている~」 2013年04月15日 『うさみのりやのブログGT~三十路の元官僚、独立するの巻~』
http://ameblo.jp/ipponseoinosuke/entry-11512135439.html

「確かにちゃんと業者側の言い分も聞かないとなぁ」と思いインタビューして参りましたので今日はその話です。色々と言いたいことがたまっていたようでたっぷり胸の内を語ってくれました(笑)ちなみに場所は、新横浜。あぁ懐かしい高校時代に良くJリーグの試合を見に通ったな~。

臓器海外移植のキーマンインタビュー@新横浜

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

http://getnews.jp/img/archives/2013/05/002.jpg

それでは以下インタビューです。

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Q1:なぜ臓器海外移植に取り組むようになったのか?

→ 元々自分は繊維関係の会社を上海で14年前から経営しており中国と縁が深かった。7年前に実の兄から「友人(女性)が国内で腎臓移植を希望しているが、いつまで待っても移植が実現しない。中国ではどうなのか?」と相談されたことから移植との関わりが始まった。調べてみると200万円程度で実現できるということが分かり、それを患者に伝えると大喜びした。自分としても人の役に立てて嬉しかった。それが始まりだった。

Q2:この業界は詐欺まがいの話が多いと聞いているが?

→ 確かに詐欺まがいの話がとても多いのは事実だ。移植手術の相場というものが知られていないから、法外な要求をしても皆だまされてしまう。例えば心臓移植手術だと「1億円!」と言われてもみんな妙に納得してしまうところがある。現実には自国民対象だと数百万円が相場だし、外国人対象でも経費含め2000~3000万円程度で移植手術は可能だ。余命が差し迫った人の弱みに付け込むようで、人としてどうかと思う。しかもそれを繰り返し行う。このようなことは渡航移植業界の大きな問題だ。

Q3:そういう御会は真面目にやっているのか?

→ 私ではなく実際に治療を体験した患者さんに聞いてほしい。我々は現地の様子や事実関係を実際に海外で移植を済まされた方から直接実情を聞ける「患者会」を設けている。それは誰に対してもフェアに、平等に対応してきたからこそできることだと自負している。(*これは「確かにそうかもな~」と思いました)

Q4:マスコミの「悪者扱い」の報道に関してどう感じているか?

→ 疑問を感じるところがある。臓器海外移植の取り組みに対して国際機関(WHO)が推奨していないことを以て我々に批判的な報道をしているようだが、一方で子から親のような肉親間の臓器移植はなぜか美談として報道する。しかしWHOは「親族や家族による生体間移植は健康な人の体にメスを入れる行為なので、本来の医療の姿ではない」と勧告しており、海外移植以上に批判的だ。何故ああいった報道姿勢を取るのかわからない。ダブルスタンダードとしか思えない。

Q5:今ご自分でおっしゃったように、臓器海外移植は国際的に推奨されていない。活動に倫理的な問題を感じないか?

→ 目の前の人の命と法的根拠の無い国際勧告のどちらを優先するかという問題だ。実際に自分が臓器移植しなければ死ぬという立場になって「国内で移植用の臓器が足りないから我慢してください」と言われて「それじゃしょうがないか」と納得してあなたは死ぬことができますか? 根本的な問題は国内の移植用の臓器が足りないことと、臓器海外移植の業界を取り締まる法律が無いことにある。警察も法律が無いが故に問題がある業者を摘発できずに悩んでいる状況だ。

Q6:本当に頼んだら臓器移植はできるのか?また成功確率はどれくらいなのか?

→ もちろん治療なので100%とはいかない。ただ少なくとも我々は助かる見込みがない患者や、移植治療が見込めない場合は応じていません。それは引き受ける責任を重視するからこそです。帰国後も患者会をとおして連絡を取り続けます。

Q7:中国の臓器は死刑囚のものが多いと聞いたが?

→ それは事実だ。ただし近年では脳死のドナーも増える傾向にある。中国の経済発展とともに凶悪犯罪は減少しており、特にオリンピックを境に死刑囚自体が減ってきている。一部の報道のように臓器移植で外貨を得ようなんていうことを考えているわけではない。事実外国人に対する臓器移植にも徐々に消極的になって来ている。ちなみにイスラエルやサウジアラビアといった国は、「私の国の国民を救ってくれてありがとう」と国家として中国の移植センターに感謝の意を表しており、サウジアラビア政府は医療機関へ9億円の寄付金も贈呈している。ある移植センタ-では移植希望者の70%以上が大使館または各国の外務省を通じて患者が渡航しており、手術代金も大使館が窓口となり支払われている。実際、いくつかの中国の医療機関では海外の移植希望者に対して「大使館を通じて申請してください」と言われてしまう。日本の大使館は残念ながら移植希望者への支援はしてくれないので、正直困ってしまう。渡航移植を「人道的支援」と考えるか、臓器売買と受け取るかは個人の自由だけれど、少なくとも患者自身は「健康を取り戻したいと」切なる願いから渡航していることを考えてほしい。

Q8:どうすれば日本の臓器提供は増えるのか?

→ 倫理教育の一言に尽きると思う。先進国での臓器提供者の大部分は交通事故などで助かる見込みがなくなった方々だ。臓器提供には迅速な親族の同意が必要だが、日本では臓器提供について事前に家族で真剣に話す機会がないので、迅速な判断が出来ない。小中学校の教育の時間に「移植医療の課題」を取り入れるべきだと思う。倫理問題に付いては我々のHPの「移植医療と倫理問題」を一読していただければありがたい。

「移植医療と倫理問題」 『内閣府認定NPO法人 難病患者支援の会』

http://www.npo-online.org/s/ethics.html

国内の臓器提供者が足りない問題は、厚労省や文科省がもっと本格的に臓器教育に取り組めば進展できる問題だと思う。一時、臓器移植に関する法改正があって世の中が変わると思ったけれどほとんど影響がなかった。そういえば民主党に「命を守りたい」とか言ってた首相が昔いた気がするが、結局何もしなかった。期待していたのだが。

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ということで色々と語っていただきました。まぁ業者の話なので話半分で聞くべきだと思いますが、色々と目から鱗で学ぶことが多かったです。

僕自身も深く思うところがありまして、仮に自分が交通事故で助かる見込みがなくなったら臓器提供をするべきかどうか、考えさせられるものがあります。もう少しこの分野掘り下げて機会が得られそうだったら実際に生命倫理の専門家や臓器移植を体験した患者さんにインタビューをしてみたいと思います。何となく何か自分の人生に取って大切なことが見つかるような気がしています。

ではでは、今日はこんなところで。

執筆: この記事はうさみのりやさんのブログ『うさみのりやのブログGT~三十路の元官僚、独立するの巻~』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年05月01日時点のものです。

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