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池田信夫は金融政策というものをホント勘違いしてるのだな
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池田信夫は金融政策というものをホント勘違いしてるのだな

2012-12-12 14:31
    池田信夫は金融政策というものをホント勘違いしてるのだな

    今回はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。

    ■池田信夫は金融政策というものをホント勘違いしてるのだな
    「必要なのはインフレではなく成長だ」 2012年12月08日 『池田信夫 blog part2』
    http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51830029.html

    池田信夫はいったい何を言ってるのだろう。成長するためにインフレが必要なのであって、インフレ=成長でないのは当たり前の話。トンデモさんの一つのパターンとして、誰もそんな勘違いをしていないのに、「みんなこんな勘違いをしているが、それは間違いだ」と主張することが少なくない。

    おそらくトンデモさん自身が最初そういう勘違いをしていて、ある時その勘違いに気づいたのだろう。そして「気づいたのは俺だけだ」と思い込んでしまう。

       *   *   *

    ここで政府が公共事業で携帯電話を買い上げて1兆円の需要を追加しても、潜在GDP(供給能力)を増やすことはできないから、公共事業が終わったら元の木阿弥だ。

    そんなことはない。携帯電話の売り上げの一部は企業の内部で開発費に回されるのだから、売り上げが増えれば開発費が増えるということ。つまり優れた製品を作り出せる。

    まさか池田信夫は「投資」でなければ、研究開発費に組み込まれないと思っているのだろうか。企業は既存の製品の売り上げを新製品の開発費に回しているという基本的なことも知らずに、池田信夫は「日本製品は競争力がない」とか言っていたのだろうか。それってつまり金も物もないけど、努力と精神力で頑張れ!という旧日本軍と同じだよね。

    金があればこそ優秀な人材を抱えられるし、研究開発も行える。物が売れなければ研究開発費も削減されるから、優れた製品も生み出せなくなる。別に日本人が無能だったり怠けているわけではなく、金の問題に過ぎない。

       *   *   *

    金融政策で日銀が通貨を供給しても、ゼロ金利では投資が増えないので、GDPギャップは埋まらない。

    ゼロ金利と投資が増えるかは直接的には何も関係ない。池田信夫は成長が大事だという割には、こういう時は成長ではなく金利だけの話をするのだよね。ゼロ金利でないなら成長するというのだろうか?「ゼロ金利だと投資が増えずに成長しない」というのだから、「ゼロ金利じゃないなら投資が増えて成長する」と言ってるように読めるのだけど。

    金利にせよ投資にせよ、それは成長の必要条件でしかない。投資が増えたからといって経済成長するとは限らない。これはゼロ金利であろうがなかろうが、変わらない。

    しかし投資が増えれば成長するとは限らないが、投資がなければ絶対に成長しない。上述のように金がなければ研究開発ができないのだから、競争力のある製品を生み出すことができない。すべては金。

    そしてゼロ金利だから投資が行われないというのは正しくない。正確にはデフレだから投資が行われないのだ。現金を持っていた方が黙っていても価値が上昇していく。物の値段が下がるということは現金の価値が上がるということ。失敗するリスクを犯してでも投資するよりも、現金のまま持っていて、確実に価値が上がる方がよいだろう。

    だからデフレは経済に悪影響を与えるということなのだ。デフレ下では投資が抑制され、その結果成長が阻害される。だから各国は一生懸命デフレ脱却を模索しているわけだ。

       *   *   *

    他方、生産要素を移動すれば、需要と供給のギャップが埋まる。この例でいえば、ガラケーの労働者がスマホに移動して(略)となれば公共事業も金融政策もなしで1兆円の成長が実現でき、GDPギャップも埋まる。

    池田信夫の立てた前提条件をあくまで架空のものと断った上で、その前提条件で考えるなら、ガラケーよりもスマホを作ったほうが売れる状況なら、何も池田信夫に教えてもらわなくても、メーカーは自主的にそうやっているはず。

    そうなってないと池田信夫が思っているなら、彼が立てた前提条件が現実と乖離しているということだろう。一例としてスマホの生産が主として海外で、ガラケーの生産が国内だとすれば、簡単に労働者を移動するわけにはいかない。しかもその場合売り上げ(=労働者の給料)は国内に落ちず、海外に行ってしまうのだから、日本国内の購買力は下がる一方。

    国内でスマホを作った場合、人件費の安い海外と直接競争しなければならない。国内で作るよりも海外から輸入したほうが安いんだから、勝負にならない。ガラケーなら国内でしか作ってないから、結果的に(重要がある限り)作った分だけ売れるわけだ。

    海外と日本人の人件費の差を考えれば、スマホで競争は無理だから、はなはだ後ろ向きではあるが、ガラケーという閉じた市場で売り上げを上げるしかない。スマホ市場で海外と競合してあっという間に潰れるか、ガラケーの売り上げでほそぼそと食いつないで延命するか、だ。

    そういう状況は日本人の人件費の高騰がもたらしているのだから、その元凶たる円高&デフレを何とかしなければ、永久に日本は海外と競争できない。あるいは関税をかけて輸入品をシャットアウトするかだ。

       *   *   *

    もう一つの選択肢として池田信夫がどうしてもデフレ&円高をこのまま続けたいというなら、日本人の給料を果てしなく下げることを主張すべきだろう。俺は円安にして実質的に下げるべきだと思うが、池田信夫はそれは嫌だというなら、円での給料を下げるしかない。

    給料が下がれば海外からの製品も買えなくなるから、国内の製品を買うしかなくなる。その頃には日本人の給料が下がった分、国内の製品も安くなっているだろう。

    選択肢は3つだ。

    1) 円安&インフレにする。

    2) 給料の額面を下げる。

    3) 高い関税をかけて鎖国する。

    俺は1番がいいと思うけどねぇ。池田信夫はどれも選ばず、

    4) 精神論で乗り切る。

    を主張しているっぽいが。3つのうちどれも嫌だというなら、そうとしか解釈できない。池田信夫って国内しか見てないんだよね。彼が参考にした本はひとつの国の中の経済の事情しか書いてないらしい。実際彼の過去のエントリでも国家間にまたがる内容って少ないよね。

       *   *   *

    というか池田信夫って、呆れるほどぜんぜんわかってないよね? たぶんNHKの社員だった頃から中身は変わってないのだろう。経済の本を読んで吸収した分の知識はあるのかもしれないが、初歩的すぎて本に書いてないことは、逆に基本的なことすら知らない。

    経済評論家といいながら、基本的なことほど知らない。上っ面の流行りの言葉やカッコイイ言葉だけ、真の意味もわからず丸暗記してるだけだ。学生が本を丸写ししてレポートを書いているようなもの。本で学んだとしても「なぜこうなるのか」「この意味はなんだろう」と考えながら読んでいれば自然と基礎もつくはずなんだが。

    余談だけど「池田信夫が言うことのうち経済以外のことは正しい」と誰かが言っていた。う~ん、これも同意しかねるけどな。たとえばコンピュータ関係のことなんか、あまりにバカらしすぎるから経済関係ほどは突っ込んでないだけだし。というかむしろ「一生懸命頑張って調べてるな」と、見守りたくなったりして(笑)。

       *   *   *

    短期的な事は現場でなんとかするんだから、長期的な話にターゲットを絞って欲しい所。http://twitter.com/chintaro3/status/277738526907445250

    金融政策の話が短期的な話? 馬鹿ですな。

    執筆: この記事はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。

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