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ほろ酔いで向上する能力
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ほろ酔いで向上する能力

2013-05-10 16:33
    ほろ酔いで向上する能力

    今回は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

    ■ほろ酔いで向上する能力

    「Flicker paradigm」『YouTube』

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://youtu.be/rG8NZMCsM-s

    このYouTube動画はFlicker paradigm(フリッカーパラダイム)と呼ばれ、Change blindness*1(変化の見落とし*2)の研究ではよく使われる題材なのだそうです。の研究ではよく使われる題材なのだそうです。一ヶ所違った部分があるだけで、あとはまったく同じ2枚の画像が交互に現れますので、どれだけ早くその違いに気づくことができるか、まずは試しにやってみてください。そして、もし違いがわからなかった画像があったら、今度はお酒でも1杯引っ掛けてからもう一度やってみてください。どうでした?今度は違いがはっきりと見えてきましたか?

    *1:「Change blindness」 『Wikipedia』
    http://en.wikipedia.org/wiki/Change_blindness

    *2:「[知性の探求] 第1回 Change Blindness」 2006年01月10日 『AI開発ノート』
    http://masazo.blog44.fc2.com/blog-entry-11.html

    米イリノイ大学シカゴ校のJennifer Wiley氏らは、当初飲酒が認知機能にどれほど悪影響を与えるのかを調べる目的で、このフリッカーパラダイムの実験を48名の男性に対して行いました。すると意外にも血中濃度にして0.08%のアルコールを摂取したグループの方が、まったく飲んでないグループより、すばやく違いに気づくことができたというのです。血中濃度0.08%は、酩酊度でいえば微酔期にあたり、運動の協調性が低下したり、反射に遅れがでるといった影響がある*3ようですが、少なくとも「変化の見落とし」に関しては、変化に対してより敏感に反応できるようです。

    *3:「エタノールと人体」 『Wikipedia』
    http://ja.wikipedia.org/wiki/エタノールと人体#.E9.85.94.E3.81.84

    Wiley氏によれば、変化の気づき方には2通りあるそうです。ひとつは、画像の端から丁寧になぞって違いを探す積極的なやりかたと、交互に入れ替わる画像全体をただボーっと眺め、違いに気づくのを待つという消極的なやりかたです。酒を飲むと、集中力が欠けた結果、後者のやりかたに磨きがかかるのでしょうか?はっきりとした理由はわからないようです。

    Wiley氏らが以前に行った、言葉の連想テスト(Remote Associate Test:いくつかの単語から共通に連想される単語をあてるテスト、参考PDF*4)でも、飲酒グループの方が好成績だった*5ことから、今回の結果は、同氏らの「適度な飲酒は創造力を向上させる」という主張を支持するものだとコメントしています*6。

    *4:「洞察課題としての日本語版 Remote Associate Test の作成とその評価(PDFデータ)」 『日本認知科学会』
    http://www.jcss.gr.jp/meetings/JCSS2011/proceedings/pdf/JCSS2011_P2-35.pdf

    *5:「Uncorking the muse: alcohol intoxication facilitates creative problem solving.」 『NCBI』
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22285424

    *6:「Drinking may improve ability to detect changes」 2013年02月11日 『UIC NEWS CENTER』
    http://news.uic.edu/drinking-may-improve-ability-to-detect-changes

    一方、今回の研究でWiley氏らは、「変化の見落とし」度以外に、飲酒がワーキングメモリーに与える影響も調べました。これは、脳トレであるような、繰り返し出される暗算問題を解く中で、解き終わったばかりの解答を書くのではなく、いくつか前に行った暗算の解答を書くといったテストです。複数の作業を同時に行わなくてはならないので、集中力が必要です。

    こちらのテストでは、飲酒により成績が15-30%ほど低下したそうです。やはり飲酒をすると、集中力の要する作業は苦手になるようです。

    今回の研究成果は、Consciousness and Cognition誌3月号(2013; 22 (1): 231)*7に掲載されています。

    *7:「Drunk, but not blind: The effects of alcohol intoxication on change blindness」 『ScienceDirect』
    http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1053810013000032

    参考資料:
    イリノイ大学シカゴ校・プレスリリース
    「Drinking may improve ability to detect changes」 2013年02月11日 『UIC NEWS CENTER』
    http://news.uic.edu/drinking-may-improve-ability-to-detect-changes

    執筆:この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2013年05月02日時点のものです。

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