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『俺はまだ本気出してないだけ』福田雄一監督インタビュー「無職って全然自由じゃないですよ」
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『俺はまだ本気出してないだけ』福田雄一監督インタビュー「無職って全然自由じゃないですよ」

2013-06-14 17:33
    福田監督

    「本当の自分を探す」と会社を辞めたものの、毎日朝からゲームをしながらダラダラ過ごすダメ中年男の生活を描いた漫画『俺はまだ本気出してないだけ』。『勇者ヨシヒコと魔王の城』『コドモ警察』『HK/変態仮面』などを手掛ける福田雄一監督が手がけた同名映画が6月15日より公開となります。

    原作では、小太りヒゲ面のさえないおっさんである主人公のシズオを演じるのは、何と堤真一さん。この衝撃的なキャスティングも大きな話題となりました。

    今回は福田監督に堤さんのキャスティング話から、ご自身の“本気出した”エピソード、今話題の指原莉乃さんについてまで色々とお話を伺って来ました。

    oremada

    ――まず、お聞きしたいのは主人公・シズオ役が堤真一さんという異例のキャスティングについてなんですが。

    福田監督:俺の中ではそんなに異例でも無いんですよ。確かに、漫画の中のシズオの絵って、坊主頭で小太りで、いかにもサエないおっさんって感じで、いつもの堤さんのイメージからはかけ離れていますけど、飲み屋での堤さんって結構くだらない感じなんですよ(笑)。あと、あえて漫画を実写化するならば、そっくりそのままに作るのもあんまり意味も無いと思っているし、シズオを例えば蛭子さんにするとかいう選択支は無かったですね。

    ――確かに、作品を観ていると堤さんがどんどんシズオに見えてきました(笑)。

    福田監督:映画の中ではアドリブもたくさんしてくださっているんですが、だんだん堤さんが“行き過ぎた”演技をする様になって、俺がストップをかける事もありました。「堤さん、それはやりすぎです」って。普段の格好良い堤真一が完全に消えてしまうのは、さすがにまずいだろうって焦りましたよ。

    シズオの言動ってムカつきますよね。で、俺にソックリ。Tシャツにトランクス姿でゴロゴロしながらゲームをしているシーンなんて、自分の分身かと思うくらい。

    ――堤さん、橋本愛さんら俳優陣に加えて、ムロツヨシさん、佐藤二朗さんら福田作品お馴染みのキャストもファンにはたまりませんね。そして、指原莉乃さん。監督は指原さんを起用する事が多いですが、AKB48では指原さん推しなんでしょうか?

    福田監督:それ、よく言われるんですけど、俺は指原推しなんて言った事一度も無いですからね! 去年総選挙を見させてもらった時に「山内鈴蘭ちゃんが可愛い」って言ったら、指原のファンから「推し変だ」とか「裏切った」とか言われて、最初から推してないっていうの。

    起用するのは、あの絶妙なブス加減が今芸能界に指原しかいないから(笑)。この映画の中ではシズオの担当編集者・宇波を演じてもらっていますが、シズオが描いた漫画をバッサリボツにするシーンで、あいつの人をイラつかせる感じが欲しかったんですよ。

    ――今年公開された『コドモ警察』でも、非常に人をイラつかせる演技をされていましたもんね(良い意味で)。そういった、原作とはイメージの異なるキャスティングを含め、漫画原作というプレッシャーは感じる事は無いのでしょうか?

    福田監督:あんまり感じませんね。というのも『THE3名様』も『俺はまだ本気出してないだけ』も、俺のフィールドの中にある作品だと思っているから。仮にもしも『僕等がいた』の監督をやる事になったら、めちゃくちゃ悩むと思うんだけど(笑)。

    oremada

    ――本作も監督らしい演出が炸裂していますものね。監督自身は過去に“俺はまだ本気出してないだけ”って思ったことあったんですか?

    福田監督:そんな思い出ばかりですよ。高校生まで本気でプロゴルファーを目指していて、その夢をあきらめた時に、父親がちょっと変わっている人で「30歳までにちゃんとすればいい、仕事をすればいい」って考えの持ち主だったんです。だから、大学卒業した後もずっと仕送りをもらっていたし、劇団を立ち上げてからも生活に困った事は無くて。

    でも、やっぱりそんな状況じゃ焦るから、ある日思い立ってコンビニでアルバイト情報誌を何冊も買うんです。で、買った事に満足して仕事は探さないと。それを何度も「今度こそ本気出す!」って繰り返して、いつも劇団の仲間に呆れられていました。

    ――まさに“俺はまだ本気出してないだけ”な状況だったんですね。そんな監督が本当に本気を出したのは放送作家という仕事がスタートしてからですか?

    福田監督:いえ、結婚ですね。本気出したきっかけは。そんな、30歳まで親から仕送りをもらっているダメダメな状況でも、出身が田舎なもので「家計は男が支えるもんだ」って考えが強くて、奥さんと共働きで……っていう選択支は無かったんです。しかも、一緒に住む部屋を探している時に一目で気にいった物件にすぐ決めてしまっで、家賃で月収のほとんどが消えてしまうという。今思うと、よく奥さんもついてきてくれたと思いますが、結婚してから仕事もたくさんやる様になったし、それが本気出した瞬間ですね。

    ――そう聞くと、この作品にはシズオを通した監督の人生が詰まっていると言っても過言では無いかもしれませんね。

    福田監督:この映画を観て「自分は働いていて良かった」って思って欲しいんですよ。無職って全然自由じゃないですよ。肩身狭いし。特にシズオは結婚、離婚を経験して、子供もいるのに全然成長出来ていない。映画を観終わった後「絶対にシズオみたいになりたくない!」って感じてもらえたら成功かな。とはいえ、堤さんの熱演ぶりはもちろん、全編通して「しょうもないなあ」と笑える作りになっていると思うので、「明日から仕事頑張るぞ!」って元気になってくれたら嬉しいですね。

    ――どうもありがとうございました!

    『俺はまだ本気出してないだけ』

    大黒シズオ、42歳。バツイチで子持ち。「本当の自分を探す」と勢いで会社を辞めるも朝からゲームばかり。父親には毎日怒鳴られ、高校生の娘に借金し、バイト先ではミス連発。そんなある日、「とうとう見つけちゃった。俺、マンガ家になるわ」と宣言するのだが……!?6/15(土)より本気出してロードショー!

    http://www.oremada.jp/

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