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続・声優とプログラマ
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続・声優とプログラマ

2013-06-27 14:00
    続・声優とプログラマ

    今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    ■続・声優とプログラマ
    前エントリで自己流は100倍の効率の悪さを1000倍の時間で補っていると述べた。楽しかどうかは別として、学習の効率だけ考えれば、自己流ではなく予め用意されたセオリー通りに学習していった方が効率がいい。

    よく言われるのは、教わった通りの答えを覚えるのではなく、答えを自力で発見することが大切だというもの。これはその通りで下記のエントリで俺自身も語っている。

    「続・幹から枝葉へ、枝葉から幹へ」 2013年06月11日 『メカAG』

    http://mechag.asks.jp/568846.html

    拳法の創始者が編み出した技をコピーする能力だけでは不十分で、コピーすべきは創始者がゼロからそれを生み出した能力であると。

       *   *   *

    ただ勘違いしている人が多いのだが、先に答えを教わってしまうと、自分で答えを見つける能力が永遠に育たないのか?だ。俺はそうは思わない。答えを得て満足してしまう人は多い。その場合自分で答えを見つける能力は育たない。当たり前。

    しかし答えを教わったからといって、自分でそれを再発見する機会が失われるかというと、そうでもないと思う。表面だけコピーしている状態だと、なにかしら「ひっかかり」を感じるものだ。

    それは次第に「なぜこうなのだろう」「どうしてこうじゃいけないのだろう」という疑問に成長していく。

       *   *   *

    再びプログラムの話になるが、既存のもの、ライブラリやシステム、プログラミング言語なども含む一切のもの、に対して、プログラマはしばしば「どうしてこういう作りになっているのだろう?」と疑問を感じるはず。

    たとえばコマンド体系がなにやら冗長で、もっとシンプルにできる気がしてくる。ライブラリでもあえてひねくれた作りになっているような気がしてくる。もっといえば、自分なら上手く設計できるような気がしてくる。

    この段階というのは単に言われるままに既存のものを使っている状態では起きない。いわばその設計者の視点に少し近づいた人が感じるものだ。いままで無我夢中で覚えるのに精一杯だったのが、すこし余裕が出てきて、システムを客観的に眺められる段階になる。

       *   *   *

    もっともたいていそういう疑問は、ほとんど100%、疑問を抱いた方が間違っている。多くの時間をかけてさまざまな人によって改良されてきたライブラリなどは、一見妙な作りになっている部分があっても、それは相応の理由があるのだ。

    ただその理由を見ぬく段階の途中経過として、上記のように「俺の方がもっと上手に作れるんじゃ?」という段階がある。そしてなぜそれが間違いなのかは、実際に自分で作ってみないとわからない。山の8合目ぐらいまで登って、頂上まであと一息、これなら登りきれると思った頃に、わかる…。

    これは一般の仕事も同じで、新入社員が最初の1年ぐらいは、仕事を覚えるのに無我夢中だったのが、2年目になると「こういうやり方の方がいいんじゃないですか」とか言ってくる。なぜそういうやり方だと上手くいかないのかわかるのはもう少し先。でもこの通過儀礼は必要。

       *   *   *

    自分が教わった事に対して疑問を感じ、さらにその疑問を解決する過程で、再発見が行われる。二度手間のように見えるかもしれないが、むしろこの順序の方が効率がいいのではないかと思う。

    つまりゼロから答えを発見させるのではなく、最初に「答えはこれだ」と教えてしまう。しかしその先伸びる人間はやがて「なんで答えはこうなんだろう?」と疑問を持つはず。

    円周率とかも最初は「こういうものだ」と小学校で暗記させられるよね。円周率の求め方を習うのは大学だ。答えを先に強制的に暗記させてしまった方が効率がいい。

       *   *   *

    答えを教えてしまったら、自分で考えるモチベーションが生まれないのではないかという意見もあるだろう。でもそんなことで考えるモチベーションが失われる人というのは、答えを教えなくても考えないと思う。逆に本当に自分で考えて答えを発見できる人というのは、上述のように、答えを教えてもそれに納得せず、自分で探求していく。

    俺も自己流の方が好きだ。でも効率は絶対、形式的な学習の方が高いし、それで創意工夫のモチベーションが失われることもない。あとはどちらが「面白い」かという問題に過ぎない。

    子供の教育とかもでよく「頭ごなしに暗記させると子供の考える力を奪う」という人たちがいるけれど、それは子供の好奇心を侮っていると思うのだよね。たとえばTVゲームとか、いくら「やるな」と言っても子供はやるよね。それと同じで「考えるな」と言っても子供は考える。

    むろん子供が考えることを欲している時に、その環境を整えてあげる事は大切だけどね。でも答えを教えなければ、子供は考えるようになるというのは、違うと思う。

       *   *   *

    「自分で考えさせる」というのを「考え方を教えない」と混同している人が多い。考え方を教えなければ、自力で考え方をゼロから編み出すだろう、と。まあそういうこともあるだろうけれど、これはほとんど絶望的なほど効率が悪い。

    考え方は先人から学ぶものだ。多くの先人の考え方を学ぶことで、次第に自分なりの考え方が形成される。

    執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2013年06月24日時点のものです。

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