復興庁の水野靖久参事官の市民団体や国会議員への暴言ツイートが報道されて炎上。根本匠復興相らが謝罪、水野氏は更迭されて停職30日の処分となった事件。職員の姿勢はもちろん、インターネット上での発言や対応が問われることになり、新藤義孝総務大臣が各府省の職員に対して注意喚起の具体策の検討を指示していました。
2013年6月28日には、総務省が『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当っての留意点』と題した取りまとめを通達。各府省庁などの職員への周知徹底や、内規の制定・研修の実施を行うように求めています。
取りまとめの作成に当っては、個人情報保護や著作権などの知的財産案件をはじめ、インターネットに関する法律に精通する中崎尚弁護士と板倉陽一郎弁護士が協力。ソーシャルメディアの特性や私的利用における注意点にも触れ、「国家公務員として特に留意すべき事項」として、守秘義務や政治的行為の制限に違反する発信や誹謗中傷・差別的発言など信用失墜行為に当たる発信をしないように求めています。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://getnews.jp/img/archives/2013/06/soumu02.jpg
ポイントとしては、「職務専念義務が課せられていることに鑑み、出張中の移動時間や超過勤務時間を含め、勤務時間中の発信は行わないこと」という項目があること。つまり仕事中は休憩時間や残業中でも、『twitter』や『Facebook』、『LINE』などでの発言をするな、と明記したということになります。これにより、今後各府省庁の職員による日中のツイートは、懲戒など処分されるリスクを犯してのものになるので、つぶやきが減ることに繋がりそう。
また、「業務上支給されている端末を用いて発信を行わないこと」とあるのも、GPSなどの位置情報が知られるリスクへの言及があることを含め、省庁サイドが神経を尖らしていることをうかがわせます。
注意は『Facebook』の「いいね」ボタンなどにも及び、「これを押下することにより意図せぬ発信を行ってしまう場合がある」と喚起。『twitter』のフォローや『Facebook』の友達など、「面識のない者からソーシャルメディア上の交流の申し出を受けた場合には、安易に受諾しないこと」といったつながりの管理にも言及しています。
一方、実名や所属先を明らかにして発信する場合について、その発信が所属する組織の見解を示すものでない旨を明記する必要性についても触れています。ただ、通達が出るきっかけとなった水野氏の『twitter』はハンドルネームであり、私的な発言であるとプロフィール欄に記載されていたので、不適切なツイートをしてしまった際には、断りを入れていても所属組織を巻き込む形になる可能性が高いことを留意するべきでしょう。
新藤総務大臣は、2013年6月28日の閣議後記者会見の席上、「本来ソーシャルメディアは個人の自覚と責任をもって運用するようなもの」としながら、「これを機会にソーシャルメディアについて特性について、国家公務員だけでなく一般的にもどのような留意が必要なのか整理した」と述べて、総務省から他の省庁にも対策の働きかけを行う旨の発言をしています。
これから各省庁が内規の制定や研修を行う際、新たなビジネスの舞台の萌芽も見える今回の通達。国家公務員だけでなく、地方自治体の職員や関係企業にも影響が及ぶ可能性もあり、公務員のソーシャルメディアでの発信が減る方向になるのではないでしょうか。
総務省|国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01jinji02_02000084.html
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