今回は『5セカンズ』からご寄稿いただきました。
■ある2人の女子学生がカッコ良すぎて痺れた話
その日はやけに肌寒く、
温かい飲み物を求めて最寄のスターバックスは長蛇の列。
一人の女性がそこに並んでいると
見知らぬ人が話しかけたことからエピソードは始まる。
http://kokorodo.netより
●2人の女子学生
都内の某有名お花見スポットにお花見に行ったときのこと。
その日は前日とは打って変わってやけに気温の低い日だった。
温かい飲み物を求めて、最寄のスタバには客殺到。
私も店外に伸びた長蛇の列に加わって並んでいた。
暫く並んで、お店の入り口ももうすぐというところまで来た時、肩を叩かれた。
振り向くと、
シロガネーゼ(古)風の巻き髪お化粧ばっちりの女性。推定35歳。
「これお願い。一緒に買ってきて」
と紙を差し出す。
紙はぐっちゃぐちゃに書かれた飲み物のオーダー。
しかも「低脂肪乳で」「ホイップ追加」など注文がうるさい。
事情が飲み込めず、
ていうか誰この人?
などと頭が混乱して固まっていると、
「だから!これを買ってこいっていってるの!」
と追い討ち。
え??
女「だからぁ!子供が小さいから!子供って体が繊細なの!風邪引いたらあなた責任取れるの?」
私「…?」
女性が指差すほうを見てみると、
同じようなテイストの女性が数人とちびっ子たち。
どうやら「ママ友」たちとお花見に来た模様。
女「あなたどうせ並んでるんだから一緒でしょって言ってるの!」
私「……?」
女「メモ早く受け取りなさいよ。…あなた日本語通じる?日本人じゃないの?」
呆気に取られて声が出なかった私だが、ここでようやく一言発することができた。
ただし大いに混乱していたため、
「どちらさまですか」
という間抜けた一言。
我ながら(ノ∀`) アチャーと思ったところ、
すぐ後ろから若い女の子が爆笑する声が聞こえた(手叩き付き)。
振り向くと、
私の後ろに並んでいた派手目なギャル2人(以下仮名Aちゃん・Bちゃん)が、
腹抱えて大爆笑していた。(ちなみに二人ともモデルさんのような美人だった)
「ちょw他人に命令とかありえねぇw」
「日本語通じるとかwそれおめえだし、どんだけだよw」
「いや、マジ意味わかんねえしwてかマジどちらさまだしw」
箸が転んでも可笑しいお年頃のギャルたちは、
およそこんな感じでとにかく大ウケ。
女性の表情がみるみる般若のように変わり、
私からギャルたちにロックオン対象変更。
顔を引き攣らせながらギャルを睨みつけると、
吐き捨てるように一言、
「下っ品な…親の顔が見てみたいわ」
どの面下げて親とか言ってんだよと私もさすがに頭にきて、
「あなたねえ!」
と言いかけると
Aちゃんが私を軽く手で制した。
その後の彼女たちが、かっこよすぎて痺れた。
Aちゃん「確かにうちらチャラいけど、うちの親はウチが寒いとか文句言ってても
寒いのはみんな一緒だから、お年寄りとかウチより辛いんだから、我慢しろって言うわけ。
ズルとかしないの。絶対。
親がそんなだからウチはあんたのことありえないっつってんの。」
Bちゃん「うちの親、ウチが人にもの頼んで頭も下げなかったら、マジ100%ぶん殴るけどねウチのこと。顔見たがるのは勝手だけど、あんたも超怒られるよマジで」
女性は顔真っ赤にして、
眼球が飛び出るんじゃないかと思うような壮絶な表情で、
メモくしゃくしゃに丸めてギャルたちに投げつけて、
ガツガツと去って行った。
ギャルたちは自分たちのことそっちのけで、
女性に向かって
「てめぇお姉さん(私のこと)に謝ってけよ!」
と怒ってくれた(女性は無視して行ってしまったが)。
私のせいでイヤな思いさせちゃってごめんなさいね、
と彼女たちに謝ると、
Aちゃん「え、お姉さん被害者なのに謝るとか意味わかんないし!」
Bちゃん「てかマジ頭おかしいすよねーあのババァ。気にすることないと思う」
と逆に口々に励まされてしまった。
彼女たちの後ろに並んでいたおばさま方も、
「あなたたちやるわねえ!」
「いい親御さんなのねー」
「でももっと女の子らしく喋りなさい。てめえなんで言っちゃダメ!」
などと話しかけ、
彼女たちは照れくさそうに笑っていた。
ここからは余談。
彼女たちが
「小腹減った」「ケーキやばい超うまそう」だけど「新歓とかあるし金ヤバめ」なため
「じゃあ今日は我慢だね」
と話しているのを小耳に挟んだので、
御馳走させていただくことにした。
自分の順番が回ってきたとき、
小声で「あの、後ろのお二人にケーキを…」とオーダーすると
店員さんは一瞬怪訝そうな顔をしていたが、そこに別の店員さんが登場。
彼は一連の騒動の時に外の清掃をしていた人で、
レジの店員さんに事情を伝えてくれたらしい。
レジの店員さんは「あーなるほど」という表情に変わり、
「かしこまりました」とオーダーを受けてくれた。
ギャルたちのトレーにケーキが運ばれ、
「え、頼んでないですけど?」と戸惑う彼女たちに、
店員さんがニヤリと笑って私を指し、
「あちらのお客様からでございます」
と伝えた。
彼女たちはこちらが恐縮するほどあたふたして、
Aちゃんは「何で?何で?」と繰り返し、
Bちゃんは「払いますっ」と言うが早いかバッグの中を大慌てで漁り始めた。
私「だってさっき助けてもらったんだから、これくらいのお礼はさせてもらわないと」
Aちゃん「お礼とかほんといいですから!」
Bちゃん「うちらそんなつもりでアレしたんじゃないんで!」
私「それはわかってるのよ?でも…」
押し問答になりそうだったところ、
さっきのおばさま方が
「あなたたち、社会に出たら年上の人には御馳走してもらうのも礼儀のひとつよ」
「そうよー、ここはいただいちゃいなさいよ!」
と援護射撃をしてくれて、さっきのやりとりを見ていたらしい
店内のお客さんから小さな拍手なんかも起こって、
彼女たちはようやく承服してくれた。
「ありがとうございます!」と言われたので、
「そんな、こちらこそありがとうございました」と言って店を出た。
なんかもう本当にいい子たちだった。
執筆: この記事は『5セカンズ』からご寄稿いただきました。
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