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1月12日に発売される予定だった講談社『ヤングマガジン』2013年7号に掲載されたAKB48・河西智美さんの胸部を男児が覆い隠している写真が児童ポルノ禁止法に違反するのではないかとの指摘を受けて自主回収された問題は、18日になり警視庁が編集部から事情聴取を行っていることが明らかになるなど波紋を広げています。

ところが、講談社による自主回収の発表が当日だったために一部の書店やコンビニ・駅売店などでは普通に売れてしまった号も相当な冊数があるらしく、『Twitter』では「○○書店でまだ売っていた」とか「ネットオークションに出品されている」と言った報告も飛び交っています(『Yahoo! オークション』では17日に2013年7号を出品禁止とする措置が発表されました)。

今回のグラビアが児童ポルノ禁止法違反に該当するか否かに関しては賛否両論ありますが、もし該当するのであれば奈良県内の書店やコンビニ、駅売店でこの号を買った人は今すぐ廃棄しなければ逮捕される危険性があります。なぜかと言うと、奈良県では2005年から施行されている『子どもを犯罪の被害から守る条例』により13歳未満の児童(今回のグラビアで問題となっている男児が13歳未満かどうかは公表されていません)を被写体とする児童ポルノの単純所持が禁止されているからです。当然ながらこの条例は非親告罪なので、第三者が被疑者不詳で「奈良県内で『ヤングマガジン』2013年7号を購入した全員」を告発することも可能となっています。

普通ならば「誰が買ったかなんてわからないだろう」と考えるところですが、もしあなたが駅の売店や駅ビルの書店、あるいはコンビニで買い物をした時にJR西日本の『ICOCA』や近鉄(スルッとKANSAI協議会)の『PiTaPa』などのICカードを使っていたら、あなたがどこで何を買ったのかは全て記録が残っています。警察が裁判所の令状付きで「『ヤングマガジン』2013年7号の購入者リストを出せ」と言ったら、店はあなたがこの号を買った記録を提出するでしょう。

奈良県以外では京都府でも児童ポルノ禁止条例が制定されていますが、こちらは奈良県のようにいきなり逮捕されるわけではなく最初に知事の廃棄命令が通知され、従わなかった場合に罰則が適用される形となっています。それでも、京都府公報で「京都府内で『ヤングマガジン』2013年7号を購入した者全員」のような形で知事の廃棄命令が通知された場合は公報を読んでいるかいないかに関わらず(あなたが読んでいなくても、近所の図書館に公報が届いていれば「読めたはずだ」と言われるでしょう)奈良県のようにいきなり逮捕される危険性はゼロではありません。

国会での児童ポルノ禁止法改正に関する議論は遅々として進んでいません。

※主に「非実在青少年」の性表現を被害者の実在する性的虐待記録と同等の禁止対象とすることに固執し続けている議員の存在が原因で

そんな中、奈良県と京都府に次いで栃木県が近く全国3番目の単純所持禁止規定を含む条例案を県議会に提出しようとしていますが、今回の問題は法律の改正が進まないからと言って都道府県条例で「先取り」する動きは却って混乱を拡大させるばかりであることを明らかにしたと言えます。同時に、そのような運用が可能な法律や条例の現状は本来の目的であるはずの「被害者の救済」からは遠のく一方であると言う問題点も改めて認識する必要があるでしょう。

画像:講談社コミックプラス 「河西智美ファーストソロ写真集『とものこと、好き?』」発売についてのお知らせ

※この記事はガジェ通ウェブライターの「84oca」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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