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「ブラック企業」はIT企業が発祥?
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「ブラック企業」はIT企業が発祥?

2013-09-18 14:00
    「ブラック企業」はIT企業が発祥?

    今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    ■「ブラック企業」はIT企業が発祥?
    意見:「なぜIT労働者たちはネットに「ブラック」と書いたのか?~今野晴貴さんが語る「ブラック企業」という言葉の起源」2013年09月12日『BLOGOS(ブロゴス)』
    http://blogos.com/article/69849/

    ブラック企業という呼び名は、IT企業が発祥で、さらにいえばプログラマ35歳定年という特殊性だという。違うと思うけどな。俺が「ブラック」という言葉を目にしたのは2chの就活学生たちのスレッドだったと思う。時期は2000年をちょっと過ぎたあたりだろうか。「○○はどうでしょう?」「あそこはブラックだからやめとけ」とかいう会話がされていたように思う。

    で、ブラック企業として話題になってたのは、普通の企業で、あまり、というかほとんどIT企業は含まれてなかったのではなかろうか。

       *   *   *

    そもそもプログラマ35歳定年説というのは、都市伝説みたいなもので、実態がない。そろそろ頭も固くなってくるから、第一線から退いて管理職にでもなるか、という冗談と自虐が込められた言葉だと思う。ちなみにプログラマにとって管理職になるというのは、ぜんぜん嬉しくないこと。だから「自虐」なのだ。

    この35歳定年説というのは1980年代頃にはすでにあったと思う。悪名高き「シグマプロジェクト」でも危機感を煽るために出てきたような気がする。ちなみにシグマプロジェクトというのは「このままではプログラマが不足する!なんとかしなければ!」と当時の通産省(現在の経産省)が始めた国家プロジェクト。プログラマの育成のシステムやプログラムの統一開発環境の整備など、ものすごい目標を掲げたのだが…なんの成果も残せずに、最後はひっそりと消えるように終了してしまった。

    シグマプロジェクトがなぜ失敗したかというと、掲げた目標があまりに壮大だったこともあるのだけど、現実の進歩を計算に入れていなかった。シグマプロジェクトがちんたら官僚的にやっている間に、現実の世界は市場原理でどんどん進歩し、開発環境も整備され、結局シグマプロジェクトは追い越されてしまった。シグマプロジェクトが完成した時には、誰も使わない時代遅れなシステムができただけだった。

       *   *   *

    1980年代はアセンブラが主だったんだよね。これは職人芸の世界で、おいそれと誰でもプログラミングできるようなものではなかった。しかしその後高級言語(C言語とかC++とかJavaとかPerlとか)が主流になっていき、それに比例してプログラミングの難易度は下がっていった。

    CPUの性能が上がったことで、むかしほど技巧を凝らしたプログラミングも必要なくなったし、特に近年はインターネットの普及で、わからないことがあればGoogleで検索すればいいし、サンプルプログラムも転がっている。むかしは本を読んで全部自分の頭の中に入れておかなければならなかった。

    ただ一方でプログラミングの難易度が下がったことで、むかしなら考えられないような「プログラミングに向かない人」もプログラマとしてやっていけるようになった。しかしそういう人はしょせんは高度な作業ができず、技術力の向上もすぐに頭打ちになり、行き詰まって辞めていく人は少なくない。

    逆に35歳まで続いているならそれなりに「プログラミングに向いた」人間なわけで、結構しぶとかったりして(笑)。つまり向いていない人はそれ以前に淘汰されてしまう。

       *   *   *

    ということで、どうなのかねぇ。プログラマという職業が辛いか辛くないかといえば、辛いだろうけど、他の職業だってそれなりに辛いのではなかろうか。

    労働組合がある大企業の製造業とかに比べたら、確かに労働環境は整備されてないかもしれないが、そういう業種って他にもたくさんあるよね…。その中で群を抜いてIT企業が劣悪で、しかもそれがブラック企業の発祥だというのは、同意できない。まして実態のない都市伝説レベルの「プログラマ35歳定年説」を根拠にされては、ね。

    「プログラマ35歳定年説」というのは「石油が枯渇する!」とか言うのと同じだと思うのだよね。警鐘を鳴らす意味はあるかもしれないが…。あるいは女性が30歳になるのを恐れるのと同じかもしれない。なる前は恐れるが、いざなってみると別にすぐにどうということはないわけで。

    だいたいIT企業が世間から注目されだしたのは最近かも知れないが、プログラマという職業は上述のようにむかしからあるわけで、プログラマという職業の特殊性と新興企業、そしてブラック企業の3つを結びつけるのは、根拠が弱すぎ。

    主旨もよくわからない。35歳定年でない職業にはブラック企業がないと主張したいわけでもないだろうし。22歳から数えて35歳なら13年も勤続するわけだし、それを短期で使い捨てとはいわないだろう。どういう主張をしたいのか、よくわかりませんな。

    ブラック企業問題を扱っている中心的NPOが、ネットの俗説レベルの大雑把な認識でいることに、ちょっと驚き。こんなんで適切な改善策とか提言できるんでしょうかね。

    執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
    寄稿いただいた記事は2013年09月12日時点のものです。

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