今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
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■TPP02 人に働かせてウワマエをはねる時代(中部大学教授 武田邦彦)
モンゴルが世界帝国を作り、力で全部の国をとってしまった後、それは少しやり過ぎではないかということになり、「国はそのままにして現地の人に働かせて、それを略奪する」という方法に変わった。それが植民地時代だ。
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13世紀から14世紀はモンゴルの時代だったが、その後15世紀からはスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランス、アメリカと国は変わっていったけれど、次から次へと他人の国を植民地にして略奪を行った。
スペインは少しやり方が強引で、貿易というより完全な略奪に近かったが、イギリスはもう少し利口で、形は貿易だった。たとえば、インドとの間では、イギリスから綿織物、インドから香料が貿易され、貿易はイギリス通貨のポンドで決済された。
イギリスは自分でポンド札を刷って、インドから香料を買った時にポンドで支払う。そのポンドでインドはイギリスから綿織物を買うが、余ったポンドはロンドン銀行に預けた。
インドではルピーという通貨だったから、ポンドは使い道がなく、イギリスに預けるしかなかったが、イギリスにとっては、香料をドンドンかってポンドをインド人にわたせば、そのポンドはインドでは使い道がないから、イギリスに戻ってくる。だから、ものを買っても代金を支払わないのと同じになった。
今の日本とアメリカの関係がこれと同じだ。
1) アメリカがドル札を刷る、
2) 日本に自動車を発注する、
3) 日本人が自動車を作る、
4) アメリカが自動車を買ってドルを渡す、
5) 日本はそのドルの半分で石油や食料を買う、
6) 余ったドルは日本国内で使い道がないので、アメリカに投資する、
ということが続いている。
植民地(日本)を持っているアメリカは楽ちんだ。紙を使ってドルを印刷すれば、それだけで日本から自動車を買うことができる。ドルを日本人に渡せば、日本人はそれで外国から食料や鉄鉱石を買うけれど、それでも余るし日本ではドルが使えないので、アメリカの国債などを買ってくれる。
アメリカにして見れば紙に印刷するだけで自動車が買えるので、答えられない。まるでイギリスとインドの関係と同じだ。だから日本はアメリカの植民地とも言える。
TPPは日本に損害を与えるというけれど、現状でも大損害をしているので、どちらが損害が大きいかは定かではない。現在の日本はアメリカ軍が駐留しているし、経済的にも植民地になっている。平和憲法があるけれど、アメリカ軍はれっきとした軍隊であるし、独立国に他国の軍隊が守っているということ自体が奇妙だ。
第一、平和憲法というのは日本の軍隊であろうと、外国の軍隊が日本に駐留していようとそれは同じだ。その点で「独立国日本がTPPを受け入れる」のではなく、「植民地日本がTPPを受け入れる」ということなので、その損得勘定は全く別になる。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年11月08日時点のものです。
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