1999年にアメリカで出版され、「ライ麦畑でつかまえて」の再来とも言われたベストセラー青春小説を、「三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」のローガン・ラーマン、「ハリー・ポッター」シリーズのエマ・ワトソン、「少年は残酷な弓を射る」のエズラ・ミラーによって映画化した『ウォールフラワー』。
原作者であるスティーブン・チョボウスキーが自ら監督を務めた本作は、高校入学初日にスクールカースト最下層に位置付けられ、誰からも話しかけられず、「壁の花(Wallflower)」のようにひっそりと息を潜めて毎日をやり過ごすことに注力していたチャーリーがとある兄弟と出会ったことで初めて友情や恋をするという青春ストーリーです。
先日11月22日に公開されると、口コミを中心に話題を集め、ヒットを記録しています。ガジェット通信ではスティーブン・チョボウスキー監督にインタビューを敢行。作品への想いや、エマ・ワトソン起用への想いなど色々なお話を聞いてきました。
――――『ウォールフラワー』観させていただいて、映像や音楽がとっても美しく、切ないストーリーがとても魅力的でした。本作はティーンの青春と痛みをリアルに描いていますが、監督ご自身はどの様なティーンだったのですか?
チョボスキー監督:高校の時の自分の中には2人の自分がいたんですね。1人は、成績優秀でスポーツが大好きなフレンドリーな自分。もう1人は内側にこもりがちで、色々な事を悩んでいる自分。そんな姿を周りには見せない様にしていました。
――――悩んでいる自分を周りに見せられないのは辛かったのでは無いでしょうか?
チョボスキー監督:確かに辛かったね。でも本能的に「これから絶対に良いことがある」って分かっていたから頑張ることが出来たんだ。今は妻と子供に囲まれて、大好きな映画を作れるんだから本当に幸せです。だからこの『ウォールフラワー』には、今は辛くてもこれから絶対に良いことがあるよっていう若者へのメッセージでもあるんだ。
僕が10代の頃は『卒業』とか『ブレックファスト・クラブ』とか『いまを生きる』とか、映画を観る事によって「自分が感じていることはこういう事だったんだ」と分かることが出来て。『ウォールフラワー』もそういう作品であって欲しいんです。
――――監督は原作者でもあるわけですが、この作品を発表した時の読者の反響はどの様なものだったのでしょうか?
チョボスキー監督:「この本のおかげで生きる事が出来ました」「自殺を思いとどまりました」と手紙に書いてくれる人がたくさんいて、あとは手作りのミックステープを贈ってくれたり。そんな声にすごく自分自信も救われたよ。
――――奔放で魅力的なサムを演じた、エマ・ワトソンの起用の理由についても聞かせてください。
チョボスキー監督:『ハリー・ポッター』シリーズの中で、ダンスの後ハリーに何かを言われてハーマイオニーが泣いているシーンがあったんだ。それを観た時に『ウォール・フラワー』のサムのキャラクターにピッタリだと思ったんだ。彼女との仕事は人生最高の経験だったね。彼女は裏表が無くて、まっすぐで、優しくて、可愛らしい素晴らしい人だったよ。彼女によって僕はより良い監督になれたと思うんだ。
――――青春っていうのは大人になって振り返るととても眩しいものですが、現在進行中の身としては悩みは尽きなくて辛かったりしますよね。監督は10代に戻ることが出来るとしたら戻りたいですか?
チョボスキー監督:今回の撮影で、僕は10代の頃の僕に戻りました。生まれ育ったピッツヴァーグにいる時間「昔よくここに来たなあ」とか「ここで自主映画を作ったなあ」とか感慨深い気持ちになりました。実際に10代の頃は辛いこともあったのに、今は楽しかったことばかりを思い出して。何を言いたいかというと「思い出は書き換えられる」ということです。
今悩んでいる君へ。まず自分を支えてくれる存在である良い友人、先生、家族。全てが揃っていれば最高だけど、そんなことはなかなか無くて、そのうちの1つがあれば大丈夫なんだよ。16年しか生きていなければ、小さな出来事もすごく大きな事に感じるじゃないですか。でも45年生きていれば、人生のうちのほんのちょっとのことなんだよね。辛いことも悲しいこともいつか消え去る。そんなことを知っているだけで、気持ちはずっと楽になるんじゃないかな。
――――どうもありがとうございました!
『ウォールフラワー』ストーリー
小説家を志望する16歳の少年チャーリーは、高校入学初日にスクールカースト最下層に位置付けられてしまう。誰からも話しかけられず、「壁の花(Wallflower)」のようにひっそりと息を潜めて毎日をやり過ごすことに注力していたチャーリーだったが、陽気なパトリックとその妹で美しく奔放なサムに出会い、生活が一変。初めて友情や恋を知るが、過去のある事件をきっかけに、3人の青春の日々は思わぬ方向へ転がり始める。
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