今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
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■秘密保護法がなぜ国会を通過するのか?(中部大学教授 武田邦彦)
奇妙な現象が起こりつつあり、それを主権者である国民が止められないという異常な事態が起こっている。民主党政権の3年間、日本国民は目の前で選挙の時に公約したことと正反対のことが次々と決められていくのに唖然とした。
今度は、「民主的に物事を進めてくれるだろう」と期待して自民党に投票してみたら、国民の18%しか支持していないのに(2012年12月総選挙)、小選挙区の欠陥で国会の絶対多数を得て、国民が嫌だ!と言っていることを強行しようとしている。
増税、原発再開、そして秘密保護法だ。NHKを味方につけて何とか強行突破しようとしているが、すでに日本国民はそれほど甘い考えを持っているわけではない。すこし遅きに失したが、これからのこともあるので、秘密保護法の欠陥を指摘したいと思う。
まず、法律の目的がはっきりしないということで、法律を作る前段階をやった委員会が示した「目的」は次のようなものだった。
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http://getnews.jp/img/archives/2013/12/d0801.jpg
この前段はまともなことが書いてあるが、「これまでは秘密は保護されていなかったのか?」ということが説明されていない。「制度を整備する必要がある」というためには、「これまでの制度に問題があった」ということであり、「それによって具体的な損害が発生している」ことを示さなければならない。
多くの人がすでに発言しているように、これまでも必要な秘密は守られてきたし、むしろ「情報公開」を進めなければならないといわれていたことと真逆である。現在でも、原発の外から原発の煙突を撮影しても警察官が飛んできて「すぐ破棄しろ!」というまるで「恐怖政治国」のようなことが行われている。
また、世論では「特定秘密」の定義などが問題になっているが、私は自民党側の土俵に立つのであまり議論したくない。それより「誰が秘密を指定するのか」ということが問題だ。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://getnews.jp/img/archives/2013/12/d0802.jpg
これは同じ委員会の秘密指定をする人の「概念」を示しているが、私とは全く違う。
私の考え(これまでの最高裁の判決)は、「民主主義国家における秘密の指定権者は国民である」という大原則を示し、「秘密を守ることは公開できないということである」という物理的事情との調和を図るために、「秘密を10年程度で公開し、秘密としたのが適切かどうかの判断を国民に委ねる」という事後承認方式をとる。
そして、仮にその10年間で「秘密を洩らした」ということで罪に問われた人がいて、その秘密が「秘密として不適切だ」ということになったら、「秘密を洩らしたかどで逮捕された人が釈放され、秘密を指定した人(行政機関の責任者)が秘密を洩らしたとされた人と同じ罪に服する」ということを決めることだ。
もともと国民が上位で、秘密を指定する役人(行政機関)は国民が税金で雇っているだけだから、逮捕された国民より、間違って秘密を指定した役人の方が重罪になるのは当然でもあるが、最低でも「同じ罪」にならないといけない。これでやっと「双務的」になる。
このような法案ができるということは、国民はここでいったん、「行政機関」というものを解散させて作り直したほうが良いだろう。いつのまにか、自分たちの方が上司のように勘違いしているようだ。
「お上が国を運営する」というのは封建制度で、すでに150年前に終わっている。今は「国民が国を運営する」ということだが、まだ日本は封建制度だ。現在の法律は廃案とし、改めて外国との関係でどのような秘密の指定が必要か、秘密漏えいの罪(指定したほうの罪)はどうするのかを決めてから再提案にするのは当然でもある。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年12月08日時点のものです。
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