中国のチャン・ツィイー、韓国のチャン・ドンゴン、香港のセシリア・チャンというアジアトップスターが共演を果たした映画『危険な関係』。これまでに何度も映像化されてきた18世紀フランスの名作小説を、舞台を1931年の上海に移し映画化した耽美な大人の恋愛物語です。
本作の監督を務めたのは『八月のクリスマス』『四月の雪』など繊細な恋愛描写に定評があるホ・ジノ監督。暇を持て余した富裕層の男女が繰り広げる恋愛ゲームを色気たっぷりに描いています。
今回はホ・ジノ監督に名作をリメイクするに至って意識したこと、チャン・ツィイーなど豪華キャストとの仕事についてなど、色々とお話を伺いました。
――『危険な関係』はフランスの名作文学をアジアの豪華キャストで映画化するという面白い企画だと思うのですが、どんなきっかけでスタートしたのですか?
ホ・ジノ監督(以下、ホ・ジノ):中国の制作会社から企画を持ちかけられました。今中国はご存知の通り経済が発展していて、『危険な関係』の原作の舞台である18世紀のフランスと似ている部分もあると思うんです。上海は1930年代当時“東洋のパリ”と言われていて、華やかな世界を描くのに上海という舞台はピッタリだと思ったんですね。
この作品は私にとって初めての時代物でした。そして原作の映画化も初めて。そんな初めてばかりの作品で私が一番気をつけたのは、ストーリーの情緒です。
――チャン・ドンゴンさんは韓国の俳優さんであるにも関わらず流暢な中国語を話していましたね。
ホ・ジノ:私のもともとの作業スタイルは、現場で役者さんとたくさんお話をして演出を作り上げていくというものなのですが、本作では言葉の問題があって事前の準備にとても時間をかけました。特にチャン・ドンゴンさんは中国語が話せないのに、セリフのほとんどが中国語で苦労されたと思います。一生懸命セリフを覚えて、吹き替え無しで撮影することが出来ました。改めて彼のすごさを感じました。
――ゲームとして女性を口説き、惑わすというひどいキャラクターであるにも関わらず、嫌いにはなれないというバランスが絶妙でした。
ホ・ジノ:チャン・ドンゴンさん演じるイーファンは悪魔的で女性を惑わすプレイボーイな人物ですよね。でも、完全に悪人というわけでは無く女性も男性もちょっと共感出来る部分も持っている。それは、チャン・ドンゴンさんが本来、善良で紳士的な人物であるからこそ出てくる雰囲気だと思うんです。
――確かに、「悪い男だ」と思いつつも女性なら誰しもがときめいてしまう様な、そんなキャラクターでしたね。監督はどうして女心がそんなによく分かるのでしょうか?
ホ・ジノ:私は自分が女心が分かっているとは思っていないのですが(笑)、現場で役者さんとたくさん話して演出するので、女優さん自身の感情や考えがにじみ出る部分があって、だから女性に共感してもらえるのかもしれません。
――チャン・ツィイーさんやセシリア・チャンさん自身の想いもこめられているということですね。
ホ・ジノ:本作の始まりでは愛をゲームの様に楽しむ人々が描かれていますが、次第にゲームということを忘れて本人が愛にのめり込んでいってしまう。皆さんもこの映画を観ることによって、愛というのもがどんな物なのか考え直すきっかけにして欲しいのです。美しいドレスやインテリアにもこだわりがあるので、目でたっぷり楽しんでください。
――どうもありがとうございました!
『危険な関係』ストーリー
莫大な資産を持つ富裕層がパーティに明け暮れ、享楽的な生活を送っている上海。自分を捨てた男が年端もいかない少女と婚約したのが許せないジユは、愛人になることを条件にその少女を寝取ってほしいと、プレイボーイのイーファンに持ちかける。しかし、イーファンが目をつけていたのは、亡き夫の遺志を継ぎ奉仕活動を行うフェンユー。自分の計画を譲れないジユは、イーファンに更なる条件を突きつける。
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