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斎藤工さんインタビュー「映画祭は夏祭りみたいに気軽で楽しい場所であるべきだと思う」
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斎藤工さんインタビュー「映画祭は夏祭りみたいに気軽で楽しい場所であるべきだと思う」

2014-02-03 20:30
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    2月27日(木)~3月3日(月)の期間、北海道・夕張で開催される「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014」。15日に行われたラインナップ記者会見では、万城目学のべストセラーを映画化した『偉大なる、しゅららぼん』(濱田岳、岡田将生主演)や大林宣彦監督が北海道を舞台に、美しい四季と人間の物語を描く『野のなななのか』をはじめ、魅力的な招待作品が明らかになりました。

    毎年個性的な作品を上映し、他の映画祭には無い独自のイベントも話題の「ゆうばり国際映画祭」。コンペ作品には国内のみならず、世界中からバラエティ豊な作品が集結しています。

    今年、審査員の一人としてそれらの作品を選出するのが俳優の斎藤工さん。子供時代から映画に親しみ、雑誌『映画秘宝』での連載や、映画番組のMCなど、常に幅広い知識で私たちに映画をナビゲートしてくれます。今回は斎藤さんにインタビュー。今年の「ゆうばり国際映画祭」の見所や映画へのアツい想いを聞いてきました。

    【関連記事】「得体の知れない映画ファンが全国から集まるのが嬉しくて」代表理事に聞く『ゆうばり国際映画祭』の魅力

    http://getnews.jp/archives/500758

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    ――今年の斎藤さんは審査員としてコンペ作品を選出する立場ですが、昨年も「ゆばり国際映画祭」に訪れていたそうですね。

    斎藤工さん(以下、斎藤):昨年は自分が声優を務めたアニメ作品が上映された事もあり、急遽一日だけ参加しました。雪が3mくらい積もって、夜は特にシェルターみたいに良い意味で閉鎖的な空間なんですよね。皆大人だけど秘密基地で遊んでいる雰囲気がとても楽しくて。地元の方がたくさん訪れている事も本来の映画祭あり方だなと。

    海外にも名だたる映画祭はありますが、多くがバイヤーの為の映画祭なんですよね。僕はそれに少し疑問を感じていて。「ゆうばり国際映画祭」は観客の為の映画祭で貴重だなと。

    ――映画祭がどの方向をむいているか、という事ですね。

    斎藤:「ゆうばり国際映画祭」の姉妹映画祭である韓国の「富川(プチョン)映画祭」に以前訪れた時に、ボランティアの学生たちの盛りあがりがものすごかったんですよね。映画祭終わった後に皆で飲んだり、お店の方が焼酎を差し入れしてくれて、おー!と盛り上がったり。僕は「東京国際映画祭」にも携わらせていただいているのですが、学生と一緒にポップコーンを開発したりして、もっと地域の方々と密着したいなと。ゆうばりや富川の映画祭をお手本にしたいんです。

    ――観客も一緒に映画祭を作るというか。

    斎藤:そうですね。夏祭りや学園祭みたいな気軽で楽しい場所であるべきだと思うし、今「映画」って高尚な存在になりすぎている気がして。映画ってあくまで衣食住に関係無い、生活に直結するものじゃないから、楽しいものではないといけないと思っています。

    ――ディズニーから、キレキレのゴア作品までラインナップが本当魅力的ですものね。

    斎藤:シッチェスとか個性的な映画祭もありますがゆうばりも負けてないですよね。良い意味で仕分けしてないというか。「旨いものは旨い」みたいな感じで(笑)。

    ――もちろん審査のお仕事はありますが、珍しい作品をたくさん観るのも楽しみですね。映画漬けの4日間という感じで。

    斎藤:映画番組のMCや映画コラムの連載など、映画に関わるお仕事をいただく事が多かったので、もっとしっかり映画を観なくてはいけないと思って、自宅にホームシアターセットを設置したんです。音響も映像もこだわったのですが、何かが足りないと思って。それが、映画館で知らない人と映画を共有する事だと気付いたんですよね。映画が終わった後に感想を言い合うわけでは無いけど、同じ空間で同じ作品を観るという心地良さが映画の醍醐味だなぁと。

    ――一人で観ても、一緒に共有出来る空気感というか。

    斎藤:だから、若い方にもっと映画館で映画を観てもらって、その雰囲気を味わって欲しいというのが僕の願いです。映画の料金も高すぎるから、月に何本も観れないですよね。海外に比べて日本は映画が富裕層の娯楽になっている傾向があって。だから、こうした映画祭で若い方に映画に触れる体験をしてもらって、映画が大好きになって欲しいんです。映画祭で色々な作品を観て「これ面白いな、この監督の他の作品を観てみよう」とかどんどん連鎖していって欲しい。

    ――それで監督同士の関係とか「あ、またこのスタッフ同士で映画作ってるな」とかつながっていく感じがたまらなく面白いんですよね。

    斎藤:今は娯楽が多過ぎて、映画の為に2時間割くのってハードルが高いんですよね。昔の2時間と今の2時間は全然違う。『ゼロ・グラビティ』が92分ですけど、あれが現代のちょうど良い映画の“尺”だと。人間が集中出来るサイズで映画を作る、そういうった事も映画離れを食い止める為に必要だと思うんですよ。音楽業界の話で「CDが売れないけどライブのチケットは売り切れる」という事をよく聞きますが、皆本能的に「同じ空間で同じ感動を人と味わいたい」と思っているからだと。

    映画を観ている時間は、自分じゃない人生を味わう時間だと思うので。誰かの人生を疑似体験する、後は色々な職業を知れるとか、そういった体験が映画の醍醐味ですよね。

    ――今の若い世代は生まれた時からDVDがあって、レンタルして観るのが当たり前の習慣になっていますものね。

    斎藤:リュック・ベッソンが「映画のDVDを家で観るという事は、映画館で観た記憶のアルバムを再び開く事だ」と言っていて、その通りだと思ったんですね。

    ―― 最初からDVDで観るのは映画の本来の姿じゃないぞ、というか。忘れられない映画体験をした若者が、今度は作り手になって、映画体験を与える側になると素晴らしいですよね。

    斎藤:今回「フォアキャスト部門」で上映される『ぽんぽん』という作品があるのですが、僕はこれを「東京学生映画祭」で観てるんです。よく自主映画って監督・脚本・撮影・出演を数人で兼任していたりしますが、完全に分業で作っているんです。セクション分けがしっかりされている。その学生達と話した時に「今後どうするの?」と聞いたら、監督の子が「こいつが脚本書いてくれないと俺映画撮れないので、今後も一緒にやっていきます」と言っていました。こんなエネルギーにあふれた作品があるんだと感動しました。

    本当は僕も学生達と一緒に映画を作りたいんです。学生と俳優の間にパイプが無いだけで、企画や物語が面白ければ、学生の作る映画に出たいという役者さんも多いと思うんですね。だから、今後僕がそのつなぎ役になれたらなって、そんな事は常に考えています。学生達にたくさんの事を学んだので、この「ゆうばり国際映画祭」でもそんな出会いがあると嬉しいなと期待しています。

    ――私も今からとても楽しみにしています。どうもありがとうございました!

    ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014
    http://yubarifanta.com

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