今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
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■なぜ、中国だけが白人側についたのか?
今から100年ほど前、アジア人のほとんどが白人の植民地となり、苦しんでいた。その苦しみたるや並大抵ではなかった。たとえば、
1)アメリカの奴隷となった黒人は、アフリカで家族と平和に暮らしているとき、突如として銃を持ったアメリカの奴隷商人に拉致される。泣き叫ぶ家族と引き離され、奴隷船に乗せられる。嵐が来ると、20人ずつ鉄の鎖につないでそのまま海に捨てて溺死させる。
2)インドでは優れた若者がでると、イギリス軍がその人の両手首を切り取って活躍できないようにした。
3)インドシナ(今のベトナム、ラオス、カンボジア)に支配しているフランスから見てよからぬ若者がいると、微罪でしょっ引き、そのまま独房に入れて死ぬのを待った。
これが白人による有色人種の支配の実態だった。だから、有色人種は何とかして悲惨な状態から立ち上がろうとしていた。ところが有色人種の国で、特別な国が4つあった。エチオピア、シャム(今のタイ)、中国、そして日本だった。
● エチオピアはひどい風土病があって、白人が入るとたちまち死んだ。だから白人はエチオピアには入らなかった。
● シャム(タイ)はイギリスとフランスの植民地の間にあり、白人同士の争いを回避するために緩衝地帯として白人が残した(タイの王家の貢献もある)。
● 中国は領土が大きかったので、白人が領土を要求すると、割譲しながら一応、国家の形だけを残していた。
● 日本は軍備を整え、白人と対等の力をつけ、日露戦争に勝って有色人種で唯一、完全な形での独立を果たした。
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http://getnews.jp/img/archives/2014/02/ph01.jpg
日露戦争直前のアジアの地図、この地図はときどきこのブログでは示しているが、驚くべきことにはっきりとした独立国は日本だけ、シャム(タイ)や中国は薄い色で塗られている。
もし、日本人の多くが「正しい」と考えていること・・・その国はそこに住んでいる人のものであり、外部から軍事力をもって侵略することは許されない・・・とすると、ロシア、イギリス、フランス、オランダ、アメリカ、ドイツがまず第一に非難されるべきであり、侵略戦争の担い手、そのものであったことがわかるだろう。この事実を見ない、見ようとしないのが、哀しいことではあるが現在の日本の知識人とその知識人に教えられた一般国民ということになる。
ところで、このような状態にアジア人は永久に甘んじるのだろうか? もちろんできるだけ早く力をつけ、白人を追い出さなければならなかった。でも、有望な若者が出ると両手首を切られるのだからなかなか発展できない。頼りは日本だけだった。
そんな状態の時、つまり第二次世界大戦がはじまる直前、中国(当時は中華民国)は上海にいた日本軍を攻撃した。当時、上海には100年ほど前の1842年に起こったイギリスと中国の間のアヘン戦争で敗れた中国が、「租界地」を外国に提供していた。租界地にいたのはイギリス、アメリカ、フランス、日本だったが、中華民国はドイツ人軍事顧問とチェコからの機関銃などで軍備を整え、日本だけに攻撃を仕掛けてきた。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://getnews.jp/img/archives/2014/02/ph02.jpg
もちろん、イギリス、フランスはもとより、この写真(アメリカ海兵隊)のように各国ともに上海に軍隊を配置していた。
中国はなぜ「大東亜共栄圏」を掲げて、植民地解放を唱える日本と共同せずに白人側についたのだろうか? これはヨーロッパで戦争がはじまり、ユダヤ人がドイツから追放されたとき、日本は18000人のユダヤ人を上海の日本租界地に保護した。中国は終始、白人側に立っていた。
中国以外のアジア人、つまり満州人、朝鮮人、台湾人、インドシナ人、インド人、マレー人、ビルマ人、インドシナ人、フィリピン人(やや性格がおとなしくアメリカ側の人もいた)はすべて独立のために白人と激しい戦争をするが、中国だけはもともと白人側についたので、日本がアメリカとロシアに敗れるとそのまま独立を確保した。
中国人は人種的にはアジア人であるが、「中華思想」があり、清(中国の最後の王朝)の時代までアジア諸国を属国としていたので、属国と協力する考えがなかったように見える。そして白人が中国領土を求めると戦わずして割譲した(満州をロシアに、遼東半島をドイツに、香港から揚子江をイギリスに、南部をフランスに)のに、日本がドイツに代わって遼東半島を、上海租界地にいることだけは我慢が出来なかったというのが事実だった。
この問題はこの記事が最初の整理であり、さらに深めていきたい。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年02月14日時点のものです。
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