下積み10年とは(メカAG)

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

■下積み10年とは(メカAG)
「この変化の早い時代に、下積みに10年を費やすのは危険すぎる。」 2014年04月21日 『ヘンテナブログ』
http://hentenna.hatenablog.com/entry/2014/04/21/180756

人によって抱くイメージが違う抽象的なものを、あれこれ議論してもしょうがないと思うんだよね。「コミュニケーション力」とかその典型。

芸能界とか寿司職人とかの世界は知らないけど、いわゆるサラリーマンで「下積み」というのは、職人のお茶汲みや雑巾がけをひたすらやるような(実際の職人の世界がそうなのかは知らないけど)イメージのものとは違うと思う。

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それなりに長く続いている大企業とかの場合、社員は20歳~60歳まで、上から下までいる。んで仮に20代で入社したとすれば、10年後というのは30代で、会社の中の現場で活躍する中核の年齢層だと思うのだよね。

20代の後輩社員をまとめつつ、40代の管理職のわがまま(笑)をなんとか実現する。大変ではあるけど面白くもある。やっぱ現場の仕事というのは「自分たちが会社を支えている」という実感があると思う。

おそらくサラリーマンの世界で10年の下積みというのは、そういうことを指しているのであって、ひたすらスキルアップとは無関係な不毛な精神鍛錬みたいなものとは違うだろう。会社の中で30代が現場の仕事のピークとすれば、20代はまだその前座だということであって、30代の仕事が面白く、20代の仕事がつまらないというわけではない。

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もちろんそういうのは嫌だという人もいるだろう。しかし20歳~60歳の全年齢層がいる会社では年功序列になるのも仕方ないだろう。大雑把には年齢と能力は比例するはず。学校が各学年で分かれているように。むろんどんなケースでも例外はあるだろう。高校生よりも優秀な中学生だっているだろう。

それは特別扱いすればいいのであって(学校で言えば飛び級ですな)、例外があるからといって全体的な傾向を無視するのが適切だろうか。20代が管理職をやって、その下で40代が現場で働くというのは、一般的には難しいと思うけどね…。可能なケースは例外として対処すればいいわけだし。

実際問題として20代にとって他人の仕事ぶりを管理する仕事って面白いかねぇ…。ドラマとかだと若きニューリーダが部下を上手に使ってバリバリ実績を上げていくストーリーだが、それには本にはもちろん部下も優秀でないと。自分みたいな糞生意気な部下をあれこれなんとかいうこときかせる仕事って楽しいと思う?(笑)

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これは20~60歳の全年齢層がいる会社というのが前提だから、そうでない会社を選ぶのも一つの方法だろう。創業して間もないベンチャーとかなら30代までしかいないかもしれない。その場合30代が大企業の40代や50代の仕事をこなしているわけだ。必然的に20代は大企業の30代、さらには40代の仕事をこなす必要もあるだろう。大変ではあるけど、これはこれで面白いはず。

ということで、つまらない結論だけど「下積み」が自分の生き方に合わないなら、上の世代がいない会社、すなわち歴史の浅い会社を選ぶしかないだろう。でもその会社が10年経てば、誰も辞める社員がいなければ、平均年齢は10年上がっていくわけで、だんだん大企業の年齢分布(人口ピラミッド)に近づいていくと思うんだよね。そうならないように永遠に若さを保つには、方法はともかく勤続年数の長い社員を順次辞めさせなければならない。

その時どうなるかは、予想できない。予測できない未来もまた面白いといえば面白い。大企業の場合は10年後の自分の姿がだいたい予想できる。それが安心とかんがえる人もいるしつまらないと考える人もいるであろう。

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あと「変化が速い時代」というけど、結局は同じ気がするんだけどね。たとえば5年前の経験は役に立たない世界だとしよう。そういう世界では下積み10年は長い、せいぜい3年ぐらいだとしよう。そういう世界では3年間いま20代がやっている仕事をして、その後3年間いま30代がやっている仕事をすることになるだろう。

それはそれで結構なことだが、その後(だいたい5~6年後)はどうするのだろう?早くも現場を引退して管理職になるのだろうか。なにしろ自分が学んだことは役に立たなくなっているのだから。30歳前に現場を引退?

「変化が早い」と言ってる人は、なぜかこの点を無視してるんだよね。自分が3年間下積みで学んだ経験は、なぜかその後10年とか20年とか有効で、第一線でバリバリ働いているイメージが感じ取れるんだよね。それって変化が早い(数年で経験は役に立たなくなる)という主張と矛盾してないのだろうか。若者は中高年は現実を見ていないというが、「若者もいずれ老いる」という現実から目をそらしているのは若者の方。

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20代で学ぶこと、30代で学ぶこと、40代で学ぶことというのは、技術や社会の進歩速度とはあまり関係ないと思うのだよね。学校の勉強でも科目によらず年齢で分けてるよね。理科と算数でそれぞれ学ぶべき学年が同じペースで進んでいくというのは考えてみれば不思議なことだ。

これは学習の段階が理科や算数など科目に依存するのではなく、脳の発達段階に依存しているためだろう。人間の脳の発達段階に合わせて、どの年齢で学ぶべきことを振り分けている。仕事も技術や社会の進歩ではなく、脳の発達段階で担当年齢が決っている気がするんだよね。

小学生に高校の授業は退屈で耐えられないと思う。中学生に大学の講義は不親切で適していない。20代に40代が学ぶような管理の仕事を教えても、退屈で嫌になるんじゃなかろうか。表面的な知識だけなら、小学生にも高校の授業は「暗記」できるだろう。

学校で学ぶのはそういう暗記できる知識ではなく、思考力(問題解決能力)。単純な暗記力や運動神経などは小学生が一番優れているだろう。高校生すらかなわないはず。一方脳の成長とともに対処できる問題の複雑さは増えていく。学校の授業の内容(複雑さ)もそれに合わせたもになっているはず。社会に出てからも同じ。

物事を単純にしか物事を考えられない猪突猛進も、それはそれで良い点もあるが、問題の複雑さを認識し、それに耐えつつ根気強く対処する人間も必要。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年04月24日時点のものです。

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