「世界初4K 動画撮影対応のミラーレス一眼」……このうたい文句で開発発表がなされた『LUMIX G』シリーズの最新機種。世界中のカメラファンは少なからぬ衝撃を受けた。
2月に行われたカメラの見本市「CP+2014」のPanasonicブースでは、初披露となったことで多くの来場者の話題をさらっていった。
そんな『LUMIX DMC-GH4』はボディ本体のみで¥160,000前後、高倍率ズームレンズキットで¥200,000前後と、4K撮影が可能なカメラとしては非常に低価格といえる。
そうしたことも手伝ってか、発売日当初は予想を越える注文が殺到。生産が追いつかず、Panasonic公式サイトでは謝罪文が掲載されるという事態も発生した。
デジタル一眼カメラ DMC-GH4 DMC-GH4H お届け予定につきましてhttp://panasonic.jp/dc/gh4/1404_info.html
平素はパナソニック製品をご愛顧賜り厚く御礼申し上げます。
2014年4月24日発売のデジタル一眼カメラ「DMC-GH4」「DMC-GH4H」について、予想を超えるご予約・ご注文を頂いたため、生産が追いつかない状況となっております。
お客様には大変ご迷惑をお掛けしており申し訳ございません。
既にご予約・ご注文頂いているお客様に最優先にお届けできるよう、鋭意生産に努めてまいりますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
現在でも一部の家電量販店では取り寄せでの販売になっている。
民生用ミラーレス一眼でありながら充実した(過ぎる?)動画機能に、映像制作者たちがプロユースでの活躍にも注目しているとみられる。
かくいう筆者も『4K解像度』という言葉にときめき、販売日に勢いで購入してしまった。
せっかく手に入れることのできた『LUMIX DMC-GH4』。今回はこの機種を動画制作の観点から、レビューしてみたいと思う。
外見は前機種『LUMIX-DMC GH3』と大きな違いは見られない。
『GH4』の動画における対応解像度は次の通り。多様な動画フォーマットに対応している。
SD(640×480)、HD(1280×720)、Full HD(1920×1080)、4K(3840×2160)、※C4K(4096×2160)規格もMP4、MOV、AVCHDの中から選択できる。
※C4K(シネマ4K)はシステム周波数を24.OOHzに変更時のみ
※AVCHD設定時には解像度はFHDのみ対応
今回は動画設定を4K(3840×2160)、フレームレートは29.97p、規格はMOVで撮影を行ってみた。
ちなみに4Kは『クリエイティブ動画モード』時のみ撮影可能。
【カメラレビュー】Panasonic『LUMIX GH4』をレビュー !!
http://youtu.be/a_cjnmA266k
使用レンズ
・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6
・LUMIX G VARIO 100-300mm/F4.0-5.6
・M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8
4K解像度の環境がない場合、本来の性能を十分堪能できないのが悔やまれる。
しかしながら、通常のモニターで観ても、画の精細さがお分かりいただけることだろう(でも、4Kモニターは欲しい)。
4K環境が普通になるであろう近い将来に備え、一足先に4Kソースの映像を確保しておける、という安心感はある。
収録用のメモリカードは『Transcend SDHC カード 32GB Class10』を用いた。
これ一枚で約40 分の撮が影可能だ。SDXC 64GBなら約1時間の記録が出来てしまう。
4Kであってもこの規格のSDカードが使用可能であるということにはちょっと驚いた。正直なところ、データ量的に使い物にならないのではないか、と内心思っていたからだ。
しかし、撮影中に別の問題に遭遇した。
撮影中に『SDカードの書き込み速度が遅いため4K撮影ができません』という表示が出てしまい、4Kモードに変更できないことがあったのだ。
(その後『GH4』を何度か再起動することで4K撮影は可能になった)
転送スピードの低いメモリカードを用いた場合、同様の症状に見舞われる可能性が高いだろう。
実際、Panasonicでは、4K撮影には自社が開発した新規格『UHS スピードクラス3 SDカード』での収録を推奨している。
また、メモリカードにおいてメーカ間の相性問題が生じることは珍しくない。心配な方は、Panasonicの純正品で用意したほうがよいかもしれないと感じた。
『GH4』に限らず、一眼カメラで動画撮影をする際に気がかりなのは音声の問題。
もともとこのカメラはスチール用のため、録音に関する部分が脆弱なのは機能的に仕方のないこと。
『GH4』も本体後方に内蔵マイクがあるが、手持ちで撮影する際の操作ノイズや、撮影者の吐息までも拾ってしてしまうため、動画撮影を主眼に置くなら外部マイクは必須だ。
公式サイトでも別売りアクセサリーとして専用ガンマイクの存在を強調している。
しかし、外部マイクの件を置いておけば、一眼ミラーレスカメラでここまで動画撮影に関して配慮が行き届いた機種は無いだろう。
動画はスチールと異なり、絞りやシャッタースピード、ISO感度を調節しながら撮影することもあるため、ダイヤル操作時のノイズが収録されてしまいがち。
しかし、『GH4』はタッチディスプレイ機能を搭載しているため、ダイヤルを動かさずに諸々調整することもできる。
また、マイク端子のみならずヘッドフォン端子も併設されているため、収録音を耳でモニターすることも可能なのだ。
『GH4』についていくつか気になる部分はあるものの、逆に言えばそれ意外に不満は(いまのところ)見つからない。
本当に民生機なのかと疑わずにはいられないほど、Panasonicの本気度がうかがえる“入魂のカメラ”であることは間違いない。
今年(2014年)の6月よりテレビ業界では4K動画コンテンツの試験放送が行われる。
それを見越したかどうかは分からないが、4K専用レコーダーや、モニターに接続できるGH4専用インターフェイスユニットも本体と同タイミングで発売された。
(※業務用のため販売は法人ルートのみだが)
デジタルカメラ AG-GH4U | 放送・業務用映像システム | Panasonic (拡張インターフェースユニット部)http://panasonic.biz/sav/gh4u/
テレビに、カメラ、そしてコンテンツ。
“4K元年”ともいえる本年。このカメラが映像業界において、どんな活躍を魅せるのか楽しみだ。
……え、NHKで8K?! 一体なんのことやら……?
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