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バッシング文化と死後30年(中部大学教授 武田邦彦)
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バッシング文化と死後30年(中部大学教授 武田邦彦)

2014-05-28 20:30
    バッシング文化と死後30年(中部大学教授 武田邦彦)

    今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

    ※この記事は2014年05月14日に書かれたものです。

    ■バッシング文化と死後30年(中部大学教授 武田邦彦)
    私が高校生の頃、父は「クニ、生きている間に評価されてはダメだぞ。死んで30年ぐらいが良い」と教えてくれた。このことは一度、このブログで、また先日、中日新聞や東京新聞が載せてくれた。

    社会は「普通の人の集まり」だから、「現在、正しいと思っていることを正しいとする」ということで成立している。人間は一つ一つの言動を「自分が正しい」と思うことに従ってやるのだから、「何が正しいか」が決まっていなければ生活ができない。だから「今、正しいと思っていることに従う」のは当然なのである。

    でも、世の中を切り拓く人とか学者はどうだろうか? それらの人たちは現在と違うことをするのだから、当然、「今、正しいと思っていることには従わない」という特殊なことが求められる。おやじは高校生の私にそれを教えてくれたのだ。

    その後、私は企業の研究者となった。企業の研究の中では超長期の研究だったから、「世界ができないと言ったこと」にチャレンジすることになったが、それでも「企業」という保護体の中でのことだったから、どんなに奇妙なことを言ってもバッシングを受けることはなかった。事実、企業にいる時には外からのバッシングは企業が防いでくれた。

    大学の先生になってから、私は学問の自由を手にして深く社会に感謝し、私のつたない学問的業績はすべてオープンにして恩返しをしてきた。でも学問なので「今、正しいと思っていることと違う」ことだらけだった。

    「すべての燃えるものは燃えない」、「人工的に作られたものも命を持たせることができる」、「リサイクルはすれば環境を破壊する」、「CO2は増やしたほうが良い」というようなことだから、これがバッシングされないで済むはずもない。社会と正反対だ。

    でも、自分は研究や調査を通じて、それが正しいと思っている。自分が思っているだけで間違っている可能性もあるが、学問と言うのはそれで良い。政治ならいくら正しくても人を説得しなければならないし、商売ならとても役に立ってもお客さんがそう思ってくれないとだめだ。

    でも、学問は自分だけでよい。どうせ自然に対しては私たちは小さい。その代り、それが本当になるのは30年後で、その時には私の子供や少しの友人が「あの人は正しかった」と言ってくれれば満足だ。

    もし、間違いだったら、「あれはダメだったね」と言ってくれれば良い。その時はできると思ったのだから。

    私が「バッシングは平気です」というとみんなびっくりする。「なんと傲慢な人か」、「おかしいんじゃないか、あいつは?」ということになるけれど、それが親父の教えてくれたことであり、私の望みなのだから、始末が悪い。攻める方は一般的な攻撃手段が取れない。

    ある時、会社の顧問をしていたが、社長が「ほかの人は簡単だけれど、武田先生は厄介だ。お金で動かないから、どうしたら良いかわからない」と言った。私もお金がいらないということはない。その頃は大学の先生の給料だけだったから、豊かではなかったが、朝ご飯を食べ、電車に乗り、大学で研究をすることができた。別に私の人生にとって十分だった。

    そんな私にとってSTAP事件は驚くことばかりだ。どうもお金や名誉のために論文を出している人が多いらしいし、人が親切心で論文を出したのだから、良いところだけを取ればよいのにバッシングしている。それより、小保方さんの論文は上出来で、面白い。でも、競争やお金の中にいる人は欠点が目につくのだろう。

    ノーベル賞やオリンピックのメダルを取る人は偉い。私は素直に尊敬する。でも、その人たちは、地位も、名誉もいらないはずだ。自分の好きなことをして世界的なレベルに達したのだから、それで満足しているだろう。もし、足すとしたらお金や地位ではなく、「みんなの尊敬のまなざし」だけではないか?

    執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2014年05月28日時点のものです。

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