漫画家の赤松健さんが主宰するウェブコミック配信サイト『Jコミ』は2011年4月のオープン以来3年余りで約500タイトルを公開していますが、その多くは原作者が存命の絶版作品となっています。そんな中、6月19日に新規登録された福井英一(1921-1954)の『イガグリくん』はサイト開設以来初めての著作権保護期間が満了した作品であり、漫画版『青空文庫』実現の第一歩として大きな足跡を残すことになるかもしれません。
手塚治虫と互いの表現手法をめぐって激しくぶつかり合ったライバル関係で知られる福井の代表作『イガグリくん』は日本漫画史を語る際にタイトルを挙げられることが多く、何度か愛蔵版として復刊されましたが、現在ではそれらの愛蔵版も絶版となっています。そのため「読んでみたい」と思ってもなかなか読めない作品でしたが、2004年末に福井の著作権保護期間が満了して以降は「漫画版の『青空文庫』みたいなサイトがあれば真っ先に登録されるべき作品ではないか」として何度か話題にのぼっていました。実際に無料公開されるのは今回の『Jコミ』が初めてであり、歴史的な一歩を刻んだと言えるでしょう。赤松さんは今後も著作権保護期間が満了した漫画作品を『Jコミ』で公開して行きたいとの意向を『Twitter』でコメントしており、今後の展開が注目されます。
なお、通常の『Jコミ』公開作品はページビューに応じた広告収入が原作者に支払われますが、今回の『イガグリくん』は著作権保護期間が満了しているため「広告収益は一旦プールされ、漫画文化の発展のために利用される予定です」とアナウンスされています。
福井英一『イガグリくん』(Jコミ)
http://www.j-comi.jp/book/comic/47591 [リンク]
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