今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■ベンチャーと大学(メカAG)
ネットのオピニオンリーダーたちは、あまり良く考えず思いつきで発言し、それがオピニオンリーダーの発言ゆえに、いつのまにか根拠のある主張であるかのように「常識」になってしまう事が少なくない。
もともと根拠がないから1~2年で廃れるのだが、そのたびごとに多くの人が無駄に思考や言論の時間を費やしているな、と残念な気持ちになる。
最近では大学の是非(笑)。ようするに大学に行っても無駄だから、有能な人間はさっさと起業しろ、と。
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個々の人間については予測できないから、中にはそうした方が良い人もいるだろう。そして実際にそれで成功する人もいるだろう。でも予測できないことは予測できないのだから、論じてもしかたない。例外的な人間は例外として尊重するにしても、予測できるものこそ論じるべき。
一般的にいえば大学の地元にベンチャーが多いと思うんだよね。むろんその代表は東京だが、細かく見れば地方の都市でも理系の大学の近くにはその学生や卒業生が起こしたソフトハウスとか多いと思う。少なくとも大学がない地域よりは。
シリコンバレーだってもともとはスタンフォード大学がそこにあったからだよね。大学の学生が仲間を集めて何かを始める。当然仲間は大学の近くにいるから、大学の近くに拠点を構える。
自分たちが卒業したり大学をやめても、新たな学生をバイトで雇うのに都合がいいから、そのまま大学の地元で会社を続ける。なにしろかつて知ったる大学や大学の地元なわけで、どういう学生が多くて、どこを探せば優秀そうな学生がいるかもわかっている。
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まあようするに地方にベンチャーを育てたいなら、いまの時代それが可能かどうかそもそも怪しいが、可能だとすれば大学とその城下町を育てるしかない。政治家も馬鹿じゃないから、以前そういう主張はあったと思うのだが(10年~20年ぐらい前?)、いつの間にかなくなってしまった。なんか「先端○○学部」とか「先進○○大学院」とか変な名前の大学や学部が増えた頃だったと思うが。
まあ少子化と大学の乱立で、そもそも大学があまり気味になってしまったから、そういう政策は打ち出しにくいのかもしれないが、方向としては優秀な大学→大学の城下町→新規産業という道しかないと思うんだよね。むろん長い時間かかる。地方の大学を特定の分野で一目置かれるぐらいの存在に育てるだけで、最低でも10年以上かかるだろう。成功するとは限らないし。
日本の地方の活性化という大それたことに取り組むなら、そういう長期的な視点で政策を勧めるしかない。流れを変えるなら下流ではなく、はるか遠い源流から変えないと。文化を育むというのは時間がかかるものだ。ストレートな「○○はお得!」みたいな即物的なメリットでは一過性の変化しかもたらさない。箱物行政と同じ。
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市民運動的な活動はしょせん自己満足だと思うんだけどね。市民運動だと10年とか20年先を見て活動するというのは難しいだろう。こういうことはやはり行政しかできない。「一人一人ができる努力をする」というのは聞こえが良いけど、精神論だよね…。「頑張ればどんな無茶なことでもできる!」と。
国民がすべきことは、自分たちで手を下すことではなく、そういう長期的な行政を行える政治家を世に送り出し、そういう人たちが活動しやすく支援することだと思うけどね。なのに現状は逆になってるよね。行政は動きが遅い、もっと即効性のある政策をやれ、何だ全然成果が上がってないじゃないか、こんな政治家はクビだ、と。こんな状態では長期的な視点に立った政策などできないだろう。
執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年07月03日時点のものです。
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