今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■NHK「卵子老化の衝撃」(メカAG)
なんか高齢出産のリスクは「妊娠しにくくなる」点だけだと思っている人が多いんですかね…。ダウン症など遺伝子異常の発症率が明らかに増加するのだが。それで思い出したのがNHKの放送。
「産みたいのに産めない ~卵子老化の衝撃~」 2012年02月14日 『NHK クローズアップ現代』
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3158_all.html
俺はこの放送見てないのだけど、タイトルから想像して「ああ、ようやく高齢出産のリスクについて向き合う覚悟ができたんだな」と思った。というのも以前、女性タレントが「年をとると羊水が腐る」と発言し袋叩きにあったからだ。
表現の正確さはともかく、高齢出産のリスクは動かしがたい。ところが世間はマスコミも含めてその事実から目を背け、表現の不正確さだけを問題にしたて、彼女を叩きまくった。まるで嫌なことを指摘されてヒステリーを起こすようなありさま。
* * *
いま調べると「羊水が腐る」発言は2008年のようだ。それから4年を経た2012年にNHKがようやく高齢出産のリスクについて正面方取り上げる特集番組を作った。
ネットでは「彼女は正しかったのか」とか「だったらもっと早く教えて欲しかった」という声が少なくなかったように思う(俺は番組は見てなかったけどネットの反響は見てたんだよねw)。
で、てっきり俺は高齢出産の遺伝子異常についても、ちゃんと向き合え、おおっぴらに語れる社会になったんだと勝手に思い込んでいた。思っていた…んだよね。
* * *
ところがなんかおかしい。そこで改めて上記のリンク先のNHKの番組のあらすじを読んでみると、妊娠しにくくなるという点は繰り返し書かれているけど、遺伝子異常が増えるという点はほとんど書かれていない。ダウン症なんてひと言も出てこない。
卵子は胎児のときに最も数が多くって、そして50歳でゼロになるまで、どんどん減少していくんですね。減少するだけではなくて、染色体という遺伝のもとになっているところの、過不足が年齢とともに増加してきます。それによって、妊娠が成立しない、妊娠能力がどんどんなくなっていくということが起こりえます。同じような原因で、染色体の異常によって、流産も、それから着床障害、そして受精の障害も起こってきます。
遺伝子異常について触れられているのは、あくまで受精しにくくなる、流産しやすくなるといった部分だけ。安易に扱えない問題だということはわかるよ。でもね…これじゃ不妊治療さえ一生懸命すればなんとかなると思ってしまう。
* * *
また同じ繰り返しになるんですかね。何年かして社会が遺伝子異常に向き合う準備が整った時、「もっと早く教えてほしかった」と…。現実を直視させるのが残酷か、直視させないことが残酷か…。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年10月02日時点のものです。
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