死ぬまでに身につけたい技術:他のものを貶めないで褒める

今回はnext49さんのブログ『発声練習』からご寄稿いただきました。

■死ぬまでに身につけたい技術:他のものを貶めないで褒める
自分が良い、素晴らしい、感動したというものを見つけた時、誰かと共有したくなるのは、よくあること。でも、これは結構難しい。特に不特定多数にこれを行うとき、たいていはトラブルになる。なぜかといえば、何かを褒めるときに別の何かに比べてどれくらい良いのかを説明することが多いため

Aを褒めるときに、Bと比較して、AがBよりも良いという方法で褒めるのは、Bを良いと思っている人にとって愉快な状態ではない。なので、Bを良いと思っている人は、愉快でないから、BはAと比べて負けていない、むしろ、Bの方が良いということを主張することになる。そうすると、Aを良いと思っている人は面白くない。そして、喧嘩になる。もともとは、単にAが素晴らしいと相手に伝えたいだけなのに、いつのまにかAとBのどちらが良いのかという話にすり替わってしまう。

みんな経験的に「何かを褒めるときに別の何かに比べてどれくらい良いのかを説明する」という方法が、トラブルを招くのは理解している。でも、やってしまう。なぜか? それは、尺度がないものについてはある事柄の良い悪いを説明するのが難しいため。尺度がないときに、ある事柄が良いのか悪いのかを議論する際の一番簡単な方法は、別の事柄と比較すること。

たとえば、「~がおいしい」というのは絶対の尺度がなく、個人個人によっても感じ方が異なるもの。なので、ほとんどの人が「以前食べた~よりも、今回食べて・・はおいしい/まずい」という方法で「~がおいしい」というのを順位づけしている。一切の比較なく、自分が食べたものがどのくらいおいしいのかを説明するのは、結構難しい。それよりは、「コンビニ弁当よりもおいしい」と比較対象を与えた方が簡単にどのくらいおいしいのかを説明できる。

また、多くの分野の実験のお作法として、必ず対照実験(制御実験)というものを用意しなければならないというものがある。これも、比較を使った「どのくらい」違うのかを表す方法。

なので、他のものを貶めないで褒めるというのは、簡単な技術ではない。でも、自分が良い、素晴らしい、感動したというものを見つけた時、誰かと共有したくなるのは、よくあること。しかも、Webが発展し、誰でも情報発信ができるようになった現在、不特定多数と共有したいというのもよくあること。なので、ぜひ、他のものを貶めないで褒める技法を死ぬまでに身につけたいと思う。

執筆: この記事はnext49さんのブログ『発声練習』からご寄稿いただきました。

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