今日の新聞各紙は、女性宮家を巡る政府の「論点整理」の
全容について報じている。
それらによると、「論点整理」の内容は、
1つの結論に絞らないで、
(1)女性宮家創設案をメインとしつつ、
(2)国家公務員案も併記している。
産経新聞にも記事があるものの、
昨日の政府は皇室典範の改正を断念する「方針」、
という報道との関連については、全く言及がない。
他のメディアのフォローもないようだ。
ひょっとして「飛ばし」記事だった?
そうだとすると、典範改正潰しの底意が見え見え。
かなり悪質だ。
それはともかく、「整理」は
制度改正の対象を内親王に限定することを前提に、
(1)は、A、夫や子にも皇族の身分を与える案と、
B、夫や子には皇族の身分を与えない案を併記している。
当然、1ーA案を最も優先的な検討対象にしていると考えられる。
およそ妥当な判断だが、
子は結婚で皇族の身分を離れるとしているのは、
とても支持出来ない。
それでは、一代限りの宮家となり、
中長期的には皇族の減少に歯止めをかけることが出来ないからだ。
また、結婚で夫や子に皇族の身分を与えることを
「歴史上の前例はない」としているが、
男性皇族の妻も明治以前は、
結婚により皇族の身分が与えられる前例はなかった点を、
見落としてはならない。
B案は、夫や子の戸籍の扱いなどで新たな対応が
必要となることが指摘されているように、
とても現実的とは考えられない。
(2)の国家公務員案はさらに非現実的だ。
これは、尊称だけの内親王案が憲法上、
否認されている「身分」制の導入を意味することから排除され、
その代案として付け加えられたもの。
産経新聞は何故か「国家公務員化も提起」と、
この(2)だけを見出しに入れている。
女性皇族がご婚姻によって皇族の身分を離れた後、
国家公務員の立場で、
皇室のご公務を分担して頂こうというプランだ。
だが、皇室の血筋であることを根拠に、
その「国家公務員としての公的な立場を保持」
されることになるから、
やはり憲法第14条に定める
「法の下の平等」に抵触することは避けられない。
こうして(1ーA)、(1ーB)、
(2)の3案が併記されても、
まともに取り上げるべきは、
「整理」でも最優先されている(1ーA)案のみであることは、
明らかだ(もちろん、百点満点ではないが)。
「近いうちに(!?)」予定されているという解散の前に、
今の政府の責任において、
皇室典範改正の道筋はしっかりとつけて貰いたい。