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tsutomizuさん のコメント

30~31日の卒業旅行で、田中塾は、一区切りとなったが、消費税とTPPの処理は、大変大きな議論を呼ぶ問題であり、政治の季節が、今まさに始まらんとしているのはないか。自民党内で、喧々諤々の意見が出てきて、混乱が始まるような気がします。安倍総理の敵は野党でなく、自民党であり、公明党になるのではないか。
それにしても、消費税増税は悩ましい。普通の論理で言えば、円安誘導によって、日常生活品の物価上昇はあり、公的な電気、ガソリンなどの値上げは、かなり大きく、政府日銀による意図的物価上昇は予想以上であり、さらに消費税増税で、需要供給に基づく値上がりでない政府の意図的値上げは思惑通りとなる。一方、輸出などは、消費税増税しても還元するので、影響が及ばないように見えるが、物価上昇のうえに所得を増やすなどしたら、国際競争力などなくなるので、企業が政府の思惑通り働くものの所得をアップするかどうかは、幻想に終わる可能性も捨てきれない。消費税増税を延期すれば、公約違反になるし、予定通り実施すれば、国内経済が酷いことになりそうであり、安倍総理が、他人の意見に頼れば頼るほど、抜き差しならぬ深みにはまりそう、ロボット総理の正念場が到来するようだ。
No.2
135ヶ月前
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消費税増税を巡り政府の「集中点検会合」が開かれている。安倍総理が来年から消費税を上げるかどうかを判断する参考として有識者から意見を聞く必要があるのだと言う。政府が選んだ60人の有識者が6日間にわたり官邸に呼ばれて意見を開陳している。それをメディアが連日報道する。何のためか。 まさか60人から意見を聞いて安倍総理が参考にすると本気で考えている人はいないだろう。やっている事はむしろ国民に向けたパフォーマンスである。民主党政権時代に「事業仕訳」を大々的にやったのとよく似ている。努力する「ふり」を見せ、国民の関心を引き付け、さらに国民の意識を操る材料を得るためのパフォーマンスである。 従って国民は誰が賛成で誰が反対かなどに注目するより、何のためのパフォーマンスかを見極める事が重要である。有識者60人はそれぞれがどのような意見の持ち主であるか分かっているから政府に選ばれた。その意見を総理の参考にするならわざわざ官邸まで足を運ばせる必要はない。意見を書面で提出させても十分である。 60人が議論して結論を導き出すというのなら「会合」の必要もあるだろうが、議論ではなく意見を開陳するだけなら、「会合」はカメラに撮影させるパフォーマンスに過ぎない。60人を選んだ政府は、メディアの報道によって国民がどのような印象を持つかをあらかじめ計算している。そして連日の報道を見ながら計算通りに事が運ぶかを注視している。 報道によれば有識者の意見は消費税を来年8%に引き上げる事に賛成、反対、慎重の3つに分かれ、賛成論が多数を占めていると言う。そのように選んだのだからそうなるところに政府の狙いはある。つまり予定通りに消費税は上げるが、反対や慎重な意見もあったからなにがしかの方策を取る必要があると国民に思わせ、秋の臨時国会でなにがしかの方策を取って国民を納得させるのである。 政治的な事で言えば、三党合意で成立した消費税法案を見直す事は難しい。国民の審判を受けその結果見直すというのなら可能だが、それもなしにいったん決めた事は変えられない。新たな法案を作りそれを秋の臨時国会で成立させるのは余程のことがない限り無理で、消費税は来年4月に8%に上がると見るのが常識である。しかし消費増税が景気回復に水を差すのも事実である。そこで秋の臨時国会は景気対策が大手を振って通れる環境になる。それが狙いである。 景気対策の一つは旧来型のバラマキで、もう一つはアベノミクスの三本目の矢である成長戦略になる。消費増税で景気回復の腰を折らないようにとの理屈がまかり通り法人を優遇する方策がとられる。普通の常識で言えば国民に増税を押し付ける一方で、法人を優遇するというのは民主主義社会では通用しないのだが、私が眉に唾をつけてみるアベノミクスに熱狂してしまう国民がいる国だから、景気の腰を折らないためにと言われると、法人を優遇する成長戦略を受け入れる可能性がある。 成長戦略の本命は労働力の流動化だと私は思う。なぜならグローバリズムに迎合しないとアベノミクスの成長戦略は評価されないからである。5月に安倍総理が自信満々の表情で発表した成長戦略は市場から全く評価されなかった。グローバリズムの本家であるアメリカでは日本経済の最大の問題は労働力の流動化がない事だと言われる。それがないと市場は評価してくれない事になる。 1980年代、アメリカは日本経済にしてやられた。家電はもちろん、自動車、半導体など日本製品がアメリカ市場を席巻し、ついに85年には第一次世界大戦以降金貸し国であったアメリカが世界一の借金国に転落した。日本経済がアメリカにとってソ連以上の最大の脅威となった。 アメリカは日本経済を徹底的に分析し、政官財が一体となり終身雇用制と年功序列賃金の安定した雇用制度が基盤にあることを突き止めた。それは移民国家アメリカにとって真似のできない日本ならではの仕組みである。日本経済に打ち勝つため日本の仕組みを解体する作業が始められた。 アメリカは政官財の癒着構造をメディアに批判させ、大蔵省と通産省の弱体化を図り、日本の構造改革を強く迫るようになった。円高と低金利政策を強引に日本に押し付け、そのために発生したバブルが崩壊すると、日本は「失われた時代」を迎える。一方のアメリカは情報と金融に特化して不況を脱出し、グローバリズムを主張して世界のアメリカ化を図り始めた。土俵が同じなら負けないとアメリカは考えるからである。 クリントン時代に双子の赤字を解消して自信を回復した頃、グリーンスパンFRB議長は議会でこう証言した。「アメリカ経済は二度と日本経済に負けない。なぜなら日本には労働力の流動化がないからだ」と。言葉とは裏腹にここにも日本を同じ土俵に乗せれば日本に負けないという考えが読み取れる。 従ってグローバリズムに迎合するアベノミクスを続ける限り労働力の流動化は避けられない。しかし簡単に解雇されるアメリカ型社会に日本国民の抵抗は根強い。それを潜り抜けるのにどうするか。それを政府は考えていると思う。国民にとって劇薬となる構造改革を実現するためにもう一つの劇薬である消費増税が利用されているように私には感じられる。それが「点検会合」の狙いだと思う。毒を以て毒を制するような話だが、国民にはどちらの毒も苦しみの毒となるのである。 △  ▼  △ 【関連記事】 ■田中良紹『国会探検』 過去記事一覧 http://ch.nicovideo.jp/search/国会探検?type=article <田中良紹(たなか・よしつぐ)プロフィール>   1945年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。 同 年(株)東京放送(TBS)入社。ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、 警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。1990 年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。  TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。主な著書に「 メディア裏支配─語られざる巨大メディアの暗闘史 」(2005/講談社)「 裏支配─いま明かされる田中角栄の真実 」(2005/講談社)など。
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