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  • 田中良紹:ネオコンの手によって日本が「戦争をする国」に仕立て上げられることはないのか

    2022-05-04 06:579
    映画監督のオリバー・ストーンが2019年に作った長編ドキュメンタリー『乗っ取られたウクライナ』を見た。原題は『Revealing Ukraine』だから直訳すれば『ウクライナの素顔を暴く』だが、邦題は「ウクライナが米国、特にネオコンに乗っ取られた」という内容を表現している。

    オリバー・ストーンは、自身が従軍したベトナム戦争を題材にした映画『プラトーン』と『7月4日に生まれて』でアカデミー監督賞を2度受賞した。他に『JFK』や『ニクソン』など政治家を主題にした映画や、米国の秘密工作の実態を暴露した元CIAのエドワード・スノーデンを主人公にした映画『スノーデン』などで知られる。

    最近では歴史学者と組んで米国の現代史を見直すドキュメンタリー『誰も語らないもう一つのアメリカ史』を作り、日本でもNHKが50分番組を10回にわたり放送した。またロシアのプーチン大統領に長時間インタビューを行うなど精力的にドキュメンタリー制作に取り組んでいる。

    彼がウクライナに関心を抱いたのは、プーチン大統領の話を聞いたからで、それからウクライナの歴史を調べ始め『乗っ取られたウクライナ』の前に『ウクライナ・オン・ファイアー』を作っている。だからこれはウクライナをテーマにした2本の作品の後編に当たる。

     『乗っ取られたウクライナ』は、ウクライナで最もプーチンに近いとされる野党政治家ヴィクトル・メドヴェドチュクへのインタビューを軸に進行する。彼はロシアによるクリミア併合で米国から制裁を受け、妻は出国を勧めているが撮影当時は母国にとどまる選択をした。しかし今回の軍事侵攻で自宅軟禁を破り出国しようとしたところを当局に逮捕されている。

    映画はメドヴェドチュクの他に、プーチン大統領、「マイダン革命」の虐殺を調査したオタワ大学教授、米国のジャーナリストなどの証言で構成されるが、ウクライナと因縁の深い副大統領時代のジョー・バイデン、国務次官補時代のヴィクトリア・ヌーランド、共和党上院議員時代のジョン・マケインら米国のネオコンも頻繁に登場する。

    メドヴェドチュクによれば、1991年に旧ソ連から独立したウクライナは、経済でも技術でも農業でも可能性のある国だった。民族的にも2014年に親露派政権が打倒された「マイダン革命」までは統一が保たれていた。

    しかし「マイダン革命」後のウクライナは、徹底してロシアを排除する勢力と、ロシアと友好関係を維持する勢力に二分され、親露派が多い東部地域では内戦が起こる。ロシアを排除したい勢力は2019年に公用語としてのロシア語を禁止し、半数の国民が使用言語を失った。

    メドヴェドチュクは一方に統一するのではなく、ウクライナを2つの国家に分け、ロシアからの独立も維持すると主張するが、その点ではプーチンと意見が異なる。プーチンはロシアとウクライナを一体と考えている。

    映画は問題の2014年「マイダン革命」の真相に迫る。親露派政権に対しEUとの接近を要求する反政府デモが起こるが、2月18日までは平穏だった。しかし18日にデモ隊と警察が衝突すると、正体不明の狙撃手によって20日から22日にかけてデモ隊が襲われ、警察官と合わせおよそ100人が殺害された。

    すぐ犯人と疑われたのはウクライナ警察とロシアの特殊部隊である。世界のメディアはその疑惑を事実であるかのように報道したが、事実は未解明のままだった。だがオタワ大学のイワン・カチャノフスキー教授が5年がかりで証拠を積み上げ、狙撃手はデモ隊が占拠したビルの中にいて、特定の場所に誘導されたデモ参加者が狙われたことを突き止める。しかし当初流された情報は今でも根強く残り、事件は不明のままとなっている。

    「マイダン革命」以降のウクライナには米国の介入が強まった。旧ソ連時代には宇宙産業や海運業などで先端を走っていたウクライナは、ロシアとの経済関係が破たんしてから生産国ではなく輸入国に代わったとメドヴェドチュクは言う。

    世界一のディーゼル機関車の生産国だったウクライナが今や米国からディーゼル機関車を輸入し、造船業も航空機産業も自動車産業もなくなった。ウクライナ東部で石炭が採れるのに内戦が起きたため、政府は海外から、しかも遠い米国から高い石炭を輸入するようになった。

    そしてバイデンの息子がウクライナの石油天然ガス会社の重役に就任すると、バイデンは副大統領時代にウクライナを頻繁に訪れ、植民地を支配する管理者のようにウクライナ政治に口出しするようになったという。

    また米国人ジャーナリストのリー・ストラナハンは、「マイダン革命」の背後に民主党支持の投資家ジョージ・ソロスと当時国務長官だったヒラリー・クリントンの存在があると証言する。

    ソロスは世界各地の民主化運動に資金を提供し、「マイダン革命」もその一つであった。そのソロスとバイデンとヌーランドは、2016年大統領選挙でヒラリー・クリントンを大統領にするため中心的役割を果たす。

    ドナルド・トランプを落選させるため、彼らはプーチンとトランプの関係を「ロシア疑惑」として浮上させ、トランプの選挙責任者ポール・マナフォートを有罪に追い込むが、マナフォートを訴追させた資料はウクライナの弁護士が公開した資料だった。

    ウクライナを分断した2014年の「マイダン革命」は、実は2016年米大統領選挙と連動し、トランプとヒラリーが戦ったあの選挙にはウクライナが深々と関与していたのである。しかし2016年大統領選挙にトランプが勝利したことで米ロ衝突の危機は回避された。

    オリバー・ストーンの『乗っ取られたウクライナ』を見ると、ウクライナの政治状況と米国内の政治対立とが見事に重なっていることを知る。最後のナレーションは、「ウクライナとロシアの国境付近でウクライナの挑発があり、それがロシア軍の侵攻を招き、世界は『ロシアの侵略だ』と騒いでNATOとロシアが戦争になる」。そして核爆発の映像に「人類最後の戦争」というナレーションがかぶる。

    いま世界が目にしているのは『乗っ取られたウクライナ』が予想した悪夢の現実化だ。ロシアの侵略に西側世界は怒り、大悪人のプーチンを潰すことのみに目を奪われているが、私は以前からブログに「戦争は現象面を感情的に見てはならず、本質が何かを冷静に読み解く必要がある」と書いてきた。

    戦争の真相など何年か経たないと分からないものだ。ただなぜ2月24日にロシア軍が補給も十分でないままウクライナに侵攻したのかは私も疑問である。西側メディアは「狂気のプーチンによる帝国主義的侵略」と言うが、私にはプーチンが狂っているように思えない。手掛かりを探していたら、こんな情報を見つけた。

    「フランス・インテリジェンス研究センター」の研究誌3月号に、ジャック・ボーという元軍人が書いた記事で、事の起こりは去年の3月24日、ウクライナのゼレンスキー大統領が「クリミア奪還」の指令を発し、並行してNATOが黒海で軍事演習を行ったことから始まる。これでプーチンも国境周辺にロシア軍を配備し軍事演習を始めることになった。

    演習は11月までで終了するが、するとゼレンスキーはドローンで東部親露派勢力の燃料庫を爆破し、「ミンスク合意」に違反する。2月7日、フランスのマクロン大統領がモスクワを訪れ「ミンスク合意」順守を約束するが、ウクライナはこれを拒否、プーチンは西側に約束履行の気がないことを確信した。

    そして2月16日以降、ウクライナのドンバス住民への攻撃が激化し、それを西側が見て見ぬ振りしたため、プーチンは軍事侵攻に踏み切ったというのである。付け加えれば、1月18日に西側工作員が東部地域で化学兵器を使った事故を引き起こそうとし、親露派戦闘員に逮捕されたことも引き金になったという。

    この情報の真偽を確かめることはできないが、何か突発のことがなければ補給の準備なしに軍事侵攻することは考えられない。それとも侵攻すればすぐにウクライナが降参するとでも思ったのか。しかしウクライナの背後に西側がついていることを熟知するプーチンがそう考えるはずもない。だから戦争の真相は時間が経たなければ分からないと考えるしかない。

    それよりもこの戦争で世界がどう動くことになるか。それを考えることの方が重要だ。まず世界的に軍拡が始まると思う。軍需産業は大喜びだ。欧州では各国が相次いで防衛費をGDPの2%以上にする動きに出た。抑制的だったドイツもショルツ首相が防衛費を倍額する方針を示し、緑の党も賛成に回った。

    日本でも自民党の安全保障調査会が、敵のミサイル攻撃に対し反撃する能力を保有することと、5年以内に防衛費のGDP比2%以上を目指すよう政府に申し入れた。プーチン憎しの現状では、軍拡は世界の流れとして多くの国民が受け入れる可能性がある。

    次に出てくるのは核武装の議論だ。日本でも安倍元総理がいち早く米国との「核共有」に言及したが、現実的でないとして見送られた。しかし周囲に中国とロシア、それに北朝鮮という核保有国がある以上、核武装の議論が消えることはないと思う。

    これから日本国民は真剣に安全保障問題の議論に取り組まなければならない。これまでは平和憲法を護れば世界は平和になるという幼稚な議論と、憲法に自衛隊を明記する必要があるという幼稚な議論が盛んに言われた。しかし現実の戦争を見ればいずれも浮世離れした議論であることに気付く必要がある。

    一方で防衛費の増大も核武装もウクライナ戦争に触発された反射的というか、感情的な議論に過ぎないように私には思える。防衛費の増大も核武装も何のためかと言えば、それによって相手が攻撃するのをやめる「抑止力」にするためだ。

    戦争になってしまったら勝とうが負けようが国民は悲惨が待ち受ける。だから問題は戦争にならないよう「抑止力」をどうやって確保するかの問題である。しかしミサイル攻撃で反撃すると日本が言えば、相手はそのミサイル基地を標的に次々攻撃を仕掛けてきて、「抑止力」にならないという議論もある。

    また防衛費の増額も良いが、武器に金をかけるより、戦争をさせないための外交力を磨くことに金をかける方が「抑止力」になり、国家にプラスになるという考え方もある。とにかく現実の戦争を見ながら、そのあたりを真剣に議論する必要が出てきたのだ。

    そして『乗っ取られたウクライナ』を見た私は、それよりもウクライナがネオコンに引きずられて戦争に至ったように、日本もネオコンに引きずられて戦争に至ることのないように、よく目を見開いて対処していかなければならないと思う。

    その兆候が現れ始めているからだ。例えば4月28日にネオコンの一人であるブリンケン国務長官は米上院外交委員会で、6月下旬にスペインで開かれるNATO首脳会議に岸田総理が出席することを明らかにした。

    NATOは軍事同盟であるから政治や外交の話をするところではない。ロシアとの戦争を話し合う場である。平和憲法を持つ日本の総理が出席したことのない場に岸田総理は出席することになった。これも国民と与野党が揃ってプーチン憎しで一致しているからだ。

    また5月下旬にはバイデン大統領が来日するが、その目的は日本をAUKUSに加盟させるためである。AUKUSは米英豪の3カ国で作る中国敵視の軍事同盟だ。これまで日本は日米豪印4か国で作る「クアッド」の一員だったが、こちらは政治的に中国を包囲する組織で戦争を念頭に置いたものではなかった。

    それが変わるのである。日本は中国とロシアを敵とする軍事同盟の一員として存在感を示さなければならなくなった。そのように誘導しているのは米国のネオコンである。くれぐれもウクライナのように戦争の前線に押し出されることのないよう、冷静な目で戦争を見るように心掛けなければならないと思う。

    * * *

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    <田中良紹(たなか・よしつぐ)プロフィール>
     1945 年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。同 年(株)東京放送(TBS)入社。ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、 警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。1990 年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。

     TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。主な著書に「メディア裏支配─語られざる巨大メディアの暗闘史」(2005/講談社)「裏支配─いま明かされる田中角栄の真実」(2005/講談社)など。

  • 田中良紹:ゼレンスキー大統領はいつウクライナのNATO加盟を無理だと悟ったのか

    2022-04-02 18:202
    孫氏の兵法に「兵は詭道なり」という言葉がある。戦争は「騙し合い」という意味だ。できることをできないように見せかけ、必要であっても必要ないように見せる。また遠くにいる時は近くにいると思わせ、近くにいる時は遠くにいると思わせる。戦争に勝つには騙しが必要だと孫氏は説いた。

    戦争の真相は分からないものだと思う。孫氏が言うように戦争の基本が「騙し合い」にあるからだ。例えば2003年のイラク戦争は、イラクが大量破壊兵器を保有していると米国が嘘の情報をでっち上げて先制攻撃を仕掛け、サダム・フセイン大統領を捕らえて処刑した。

    この戦争にドイツとフランスは反対し、サダム・フセインの側に付いた。私はサダム・フセインが独仏にユーロで石油の決済を認めたため、ドルの力が揺らぐことを恐れたブッシュ(子)政権が、懲らしめに行った戦争とみているが、しかしいまだに戦争の本当の理由は明らかにされていない。

    ところがウクライナ戦争で日本の新聞とテレビは、「これが真相だ」と言わんばかりの同じ内容の報道一色である。その情報源をみるとほとんどが米英発で、戦争の当事者の一方に偏っている。

    米国ではリベラル系メディアが極悪非道のプーチン大統領を断罪し、ウクライナの悲惨な状況を人道主義的に報道するが、保守系メディアにはプーチン擁護の論陣を張る者もいる。しかし日本のメディアはリベラル系も保守系も揃って米国のリベラル系メディアに追随し、プーチン擁護は禁句である。

    メディアはその方が視聴率を稼ぎ、読者も増えると考えているのだろうが、背景には岸田政権の意向を忖度している可能性もあると私は見る。岸田総理の最大の敵は自民党最大派閥を擁する安倍晋三元総理である。その安倍元総理はロシアのプーチン大統領や米国のトランプ元大統領と親交を重ねてきた。2人ともバイデン大統領の敵で、だからウクライナ戦争は岸田総理にとって安倍元総理の力を排する絶好の機会なのだ。

    そのため岸田総理はどこまでもバイデン大統領に追随し、ウクライナ戦争を利用して権力基盤を強化したいと思っているはずだ。そしてバイデン大統領にとってもこの戦争は負けが確実視されていた秋の中間選挙に勝つための唯一無二の機会となる。

    バイデンの支持率が急降下したのは、昨年8月のアフガニスタンからの米軍撤退によるが、さらにそれに加えてインフレが米国経済を襲い、世界経済のことなどお構いなしに利上げに踏み切らざるを得なくなった。秋の中間選挙に向けて不利な材料が相次ぐ中、ウクライナ戦争はそれを覆す絶好の機会になる。

    米英発一色のメディアによって、平和なウクライナに突然ロシア軍が侵略を始めたと思わされる国民もいるが、そもそもウクライナにはカソリック教徒でウクライナ語を話す人たちと、ギリシア正教徒でロシア語を話す人たちがいて、それが内戦を繰り広げてきた。

    プーチンが演習名目で国境周辺にロシア軍を集結させたのは、ゼレンスキー大統領が親露派武装勢力に対しドローン攻撃を仕掛けたのがきっかけである。すると中国との競争を最大の課題としてきたバイデン政権が、昨年11月に「タイガーチーム」という対ロシア軍事侵攻対策チームを作り、中国よりロシアに重心を移した。

    アフガンから米軍を撤退させたバイデン政権が、対ロシアで軍を出すわけにはいかないという理屈で、バイデン大統領はロシア軍が侵攻しても米国は武力行使をしないと早くから宣言し、ロシアの武力侵攻を阻止しない態度を鮮明にした。私にはそれがプーチンに対する「誘い」に見えた。

    そしてウクライナをNATOに加盟させる気はさらさらないのに、ゼレンスキー大統領をその気にさせ、ゼレンスキーにもプーチンを挑発させる。北京五輪が終わるやプーチンは2月21日に東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認し、安全保障上の同盟関係を結んだ。

    その頃、バイデンは盛んに「戦争が起こる」と発言し、プーチンはそれを否定し続けた。ところが24日にプーチンは前言を翻して突然軍事侵攻を始めた。プーチンは2つの独立国に対する攻撃を阻止するためと言ったが、首都キーフに進軍したのを見ると政権転覆を狙ったものと考えられる。

    なぜ突然軍事侵攻を始めたのか、真相はまだよく分からない。バイデンが言うように以前から予定していたのか、一方で25日にウクライナ軍が行動を起こす計画があったという情報もあり、それを察知して急に軍事侵攻を始めたと見ることもできる。

    ただ以前から予定していたのであれば、補給がうまくいかずに軍事作戦が思い通りにならなかったのが不思議だ。演習目的の軍が何らかの理由で急に侵攻に踏み切ったため、補給がうまくいかず、軍の立て直しに時間を要する事態になったとも考えられる。

    バイデンは第三次世界大戦を引き起こさないという理由で、ゼレンスキーが要求する一切の軍事支援を断り、それに代わる経済制裁を強化した。ロシア産原油や天然ガスを制裁の対象にすれば、米国産の原油や天然ガスが欧州各国に売れる。ウクライナに対する武器供与と合わせて米国の経済界にはうれしい話だ。

    そのため負けが確実と言われてきた中間選挙で、バイデンは負けないかもしれないと言われるようになった。だから米国ではトランプ支持者を中心にプーチン擁護論が出てくる。バイデンを中間選挙で敗北させ、求心力を失わせないと、2024年の大統領選挙にトランプが再出馬する可能性が薄れるからだ。

    バイデン政権の思い通りにならないのはトランプ支持者だけではない。G7に対抗して経済を成長させてきた中国、インド、ブラジル、南ア共和国などBRICSと呼ばれる新興国も経済制裁に反対だ。アジアの国々で制裁に参加したのは日本と韓国、台湾しかない。

    そして最も注目すべきはサウジアラビアやUAEなどの中東諸国もバイデン政権に背を向けている。サウジは中国の人民元で石油の決済を行う方向と見られ、そうなれば世界基軸通貨としてのドルの地位は揺らぎ、人民元が国際通貨の地位を向上させ、経済制裁が裏目に出る可能性もある。

    さらに言えば、この戦争で得をするのは米国だが、ロシアの原油や天然ガスに頼ってきたドイツやイタリアなど欧州各国は、この戦争の結果、経済が長期低落すること間違いない。ウクライナ難民の面倒も見なければならず、EUの負担は大きい。

    現在はG7の結束を保っているが、エネルギー資源の自給能力のある英米とそれ以外の国では事情が異なり、日本もその一員だが戦争が長期化すれば事態は深刻になる。バイデン政権に追随するにはかなりの痛みが伴う。

    そこで思うのだが、なぜこの戦争が起きたのかだ。冷戦の終結時から米国議会の議論を見てきた私の経験から言えば、ソ連が崩壊するまでウクライナとジョージアのNATO加盟はありえない話だった。ソ連封じ込め戦略を作成したジョージ・ケナンもキッシンジャー元国務長官もNATOの東方拡大には反対だった。

    それをやれば生殺与奪の権を奪われたロシアが核を使ってでも反撃することになるからだ。米国にとって目と鼻の先のキューバにソ連の核ミサイルが配備されるのと同じで、配備されれば降伏するしかなくなる。だから何があっても反撃する。ところが米国が唯一の超大国になった時点から米国自身の態度が変わった。

    米国の民主主義を世界に広める使命があると考えたクリントン政権は、「世界の警察官」となり、武力で各国の内戦に介入し、米国が信じる正義を各国に押し付けた。そしてポーランド移民の票を大統領選挙で獲得するため、ロシアが絶対に認めたくない東方拡大に踏み切ったのである。

    次のブッシュ(子)政権はウクライナとジョージアの加盟を強く推してプーチンを怒らせ、それがジョージア戦争の契機となり、ジョージア国内に南オセチアとアブハジアの2つの親露派国家を誕生させた。

    ウクライナ問題は、2014年に親露派政権を打倒したクーデターから始まる。クーデターを主導したのは米国のネオコンの代表格ビクトリア・ヌーランドだが、ヌーランドは現在バイデン政権の国務次官である。それがこの問題で表に出てこないのが不思議である。ともかくそれに対抗してプーチンはクリミア半島を武力で併合した。

    この時、東部地域の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」も独立を宣言し、ウクライナ軍と戦争になるが、ドイツのメルケル前首相が主導して停戦のための「ミンスク合意」が成立した。「ミンスク合意」は2つの国の独立ではなく自治権を認めるものである。

    これに不満だったゼレンスキーはその撤回を公約に掲げて大統領に選ばれた。ところがゼレンスキーは米国から全く相手にされなかった。そのためかトルコから輸入したドローンを使って東部の親露派武装勢力を攻撃、プーチンを挑発して今回の戦争に繋がったのである。

    ゼレンスキーは戦争が起これば米国もNATOも加盟を認めてくれると考えていたのだろうか。考えていたとすれば極めて甘い判断だ。その証拠に戦争が始まってから何を要求しても米国もNATOも「頑張れ」というだけでNATO加盟を認めない。

    問題はゼレンスキーがいつどの時点でウクライナのNATO加盟を無理だと悟ったかだ。ゼレンスキーは軍事侵攻から2週間たった3月7日に米ABCテレビのインタビューで、「NATOにウクライナを受け入れる覚悟がないことはかなり前に理解していた」と語った。「かなり前」がロシアの軍事侵攻前なら、戦争は未然に防げたはずだ。

    戦争が始まってから悟ったのであれば、被害が大きくなる前に速やかに停戦協議を行うべきだった。確かに1回目の停戦協議は侵攻から4日後の2月28日に行われた。しかし同時にその頃ゼレンスキーは世界のヒーローに祭り上げられ、ロシアに譲歩する姿勢など見せられない状況だった。

    ウクライナの代表団が中立化の提案を行ったのは、それから1か月後の3月29日である。中立化の代わりにウクライナの安全を保障してもらう国として、国連の安全保障理事会常任理事国メンバー5か国に加え、ドイツ、イタリア、カナダ、ポーランド、イスラエル、トルコの名前を挙げた。

    私はこれでは遅すぎるし、多くの国に安全保障を担保してもらうというのではまとまるものもまとまらなくなる。申し訳ないが政治的にうまくなさすぎると思い愕然とした。これではプーチンに足元を見られて不利な状況に追い込まれかねない。

    今や日米欧の各国でプーチンは許すべからざる大悪人である。精神異常の独裁者と言われ、次には権力機構内部での孤立を言われ、また軍との確執や情報機関との反目も指摘される。それは本当にそうかもしれないし、そうでないかもしれない。

    孫氏の言うように「兵は詭道なり」で、できることをできないと思わせ、必要であっても必要ないと思わせるのが戦争の本質だからだ。だから世界のヒーローになったゼレンスキーがつまらない政治家と思われるかもしれないし、やはりヒーローのままかもしれない。

    プーチンは第二次大戦後の国際秩序を破壊した大悪人と歴史に記録されるかもしれないし、第二次大戦後の国際秩序を破壊して新たな秩序をもたらした偉人と記録されるかもしれない。我々はそうした歴史の節目にいると思いながら私は毎日の戦争報道を見ている。

    * * *

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    ■田中良紹『国会探検』 過去記事一覧


    <田中良紹(たなか・よしつぐ)プロフィール>
     1945 年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。同 年(株)東京放送(TBS)入社。ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、 警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。1990 年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。

     TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。主な著書に「メディア裏支配─語られざる巨大メディアの暗闘史」(2005/講談社)「裏支配─いま明かされる田中角栄の真実」(2005/講談社)など。

  • 田中良紹:石原慎太郎氏の訃報に接し思い出される田中角栄と『天才』

    2022-02-03 17:20
    国土交通省の統計不正問題について、1月31日に衆議院予算委員会が集中審議を開きながら、その問題を追及したのは与党側だけで、野党側では質問に立った7人のうち1人しか取り上げなかったことの不思議さを書いていたところ、石原慎太郎氏の訃報が飛び込んできた。

     急に頭の中が回転し始め、統計不正問題より石原慎太郎という政治家の記憶が頭の中で膨れ上がってくる。特に親しい関係があった訳ではないのに、私の記憶の中に石原氏は確固として存在していた。

    それは田中角栄元総理の日中国交回復に反対し、反田中の急先鋒であった石原氏が晩年『天才』という本を書いて田中を褒め上げたことと無縁ではない。国会の話を書こうとしていた筆が先に進まないので、石原氏を巡る私の記憶を書くことにする。

    私が衆議院議員時代の石原慎太郎氏と直接に会った最初は、ロッキード事件で逮捕された田中角栄の一審判決が下される前の1983年1月だった。ロッキード事件で私はTBSの社会部記者として田中を逮捕した東京地検特捜部を担当し、田中が逮捕されたその日は検察庁の玄関にいて、検察が差し向けた車から降り立った田中が検察庁に入るところを見送った人間だ。

    田中逮捕は間違いなく田中の政治生命を奪うと私は思った。ところが現実はまるで逆の方向に向かう。田中の政治力はますます強くなり、自民党最大派閥を率いる「闇将軍」として日本の政界を支配するようになった。

    なぜ刑事被告人が日本の政治を牛耳ることができるのか、私はそれを探るため「報道特集」という番組で地元新潟の政治風土や自民党の取材を始めた。そこで自民党の政治家50人に「あなたにとって田中角栄とは何か」をインタビューし、その言葉を組み合わせて、田中角栄像を浮き彫りにする企画を立てた。

    その1人として反田中の急先鋒であった石原氏にインタビューを申し込んだ。赤坂にある事務所でお会いすると、「あれはバルザックの人間喜劇だ」と石原氏はぶっきらぼうに言った。上から目線で馬鹿にしたような言い方で、ずいぶん横柄な人間だなあと思ったのが最初の印象である。

    その後私は田中角栄の最期を見届けようと政治部記者になり田中角栄を担当する。するとどういう風の吹き回しか早坂茂三秘書から頼まれ、自重自戒と称して私邸に籠り政治活動を自粛していた田中の「話の聞き役」をやることになった。目白の私邸で田中の話を聞くだけの役目だが、田中は毎度憤懣をぶちまけるようにしゃべり続け、それは政治の世界を知らない私にとって目から鱗の話ばかりだった。

    1985年2月に突然田中は脳梗塞に倒れ、田中支配は終わりを告げた。その翌年に私は外務省担当を命ぜられ、外務省の記者クラブに行くと、隣の席にいたのが日本テレビの石原伸晃記者だった。家が同じ方向だったこともあり、都心で飲んで一緒に帰る機会がしばしばあった。

    伸晃氏は父親のように自分も政治家になりたいと熱っぽく語った。叔父貴(裕次郎)には何で政治家なんかなるんだと言われるが、やっぱり政治家になりたいと言うのだ。政治の裏舞台を散々見てきた私には忠告したいこともあったが、情熱的に語られると黙って聞くしかなかった。

    石原慎太郎氏との2度目の出会いは、私がTBSを辞め、米国の議会専門チャンネルC-SPANを真似た「国会テレビ」をCS放送でやっていた1999年だ。石原氏は衆議院議員を辞め東京都知事に立候補しようとしていた。「国会テレビ」は都知事候補者全員を1人ずつスタジオに呼んでインタビューを行った。

    鳩山邦夫、舛添要一、明石康、柿沢弘治の各候補に続いて石原氏がスタジオに来た。「国会テレビ」は視聴者が電話でスタジオの政治家に直接質問ができる。その時も日本中の視聴者から電話がかかって来た。

    沖縄から「東京とは関係ない沖縄の事で質問しても良いですか」と電話がきた。石原氏は「ああいいよ」と答え、米軍基地の話になった。そして米国の言いなりになる日本では駄目だということで視聴者と共鳴する。「おい、このテレビ面白いな」と石原氏は私に言い、上機嫌になった。

    田中角栄を「人間喜劇」とぶっきらぼうに言った時とは別人の石原慎太郎がそこにいた。私とのやり取りでも、かつて都知事選で敗れた美濃部亮吉氏の公害政策を高く評価し、自分も公害対策に力を入れると力説した。左翼嫌いだとばかり思っていたが、いつの間にか幅の広い政治家になったように見えた。一皮むけたなと私は思った。

    そうした姿勢が東京都民にも好感を持たれたのか、石原氏は圧倒的な票数で都知事に就任し、公約通り排ガス規制に力を入れた。米国に対しNOと言える日本でなければならないと主張する石原氏の主張は私の主張と変わらない。底辺のところでは共感するのだが、そこから先になると私と石原氏とでは考えが異なる。

    その最たる例が尖閣諸島を巡る話だ。尖閣諸島が日本の領土だと言うのはいい。しかしそれを東京都が買い取るということをなぜか米国でぶち上げた。なぜ米国でぶち上げる必要があったのか。そこに私は不純なものを感じてしまうのだ。

    東京都が地権者から買い取るというのは国内の話で、米国が関与する話ではない。それを米国でぶち上げたことは米国に関与させたい思惑が石原氏にある。尖閣諸島は日本が実効支配しているから日本政府は「領土問題は存在しない」という立場だ。ところが石原氏が米国で東京都が買い上げると発言したことで、日本政府は国有化を急ぐことになり、それに反発した中国は自国の領土だと見せつける行動をとるようになった。

    石原氏の行動は国際的に「領土問題がある」ことを認識させた。これは領土問題が存在することを認めさせたい中国にとって都合が良い。また日本が近隣諸国と領土問題で対立することは米国にとっても都合が良い。日本の米国への依存度が高まり、日本は米国の言うことを聞かざるを得なくなるからだ。

    NOと言える日本という点では共鳴できる石原氏が、なぜ米国の言いなりにならざるを得ない行動に出たのかそれが私には理解できない。ある保守派の人間が教えてくれたのは、東京都の尖閣買い取りと当時の野田政権の国有化は「茶番」だという話だった。

    もともと東京都に買い取る気はなく、国有化をさせるために取った行動だというのだ。その行動を通して民主党政権と自公に大連立をやらせて安定政権を作る。その際、自民党の谷垣総裁を外して息子の伸晃氏を自民党総裁にし、石原伸晃氏が総理となる大連立政権を構想していたというのだ。

    それが本当かどうか私にはわからないが、それが本当だとしたら、今に至る尖閣問題は石原氏の親バカから始まったことになる。まったくもって迷惑な話だ。ただ実際に野党時代に自民党総裁を務めた谷垣氏に代えて伸晃氏が総裁になりそうな場面はあった。

    東京五輪の開催に執念を燃やす森喜朗氏に頼まれて、東京都知事を辞めようとしていた石原氏が知事を続ける見返りに、伸晃氏が出馬する自民党総裁選に森氏の協力を要請したことがある。

    2012年の自民党総裁選挙は、消費税を巡る3党合意が成立した後の総裁選で、野田総理が3党合意を成立させた見返りに、近いうちに解散すると約束したことから、自民党総裁になれば総理になる可能性があると思われた総裁選だった。その時幹事長であった伸晃氏は谷垣総裁を差し置いて出馬に意欲を見せ、それに森喜朗氏や古賀誠氏が協力姿勢を見せたのである。

    そのため本命は石原伸晃か石破茂と見られていたが、麻生太郎氏が伸晃氏を「平成の明智光秀」と批判し、また本人の舌禍事件が重なったことから安倍晋三氏に総裁の座を奪われた。この選挙で森喜朗氏は自分の派閥の町村信孝氏でも安倍晋三氏でもなく伸晃氏を応援したのである。その背景に父親の協力要請があったことは間違いない。

    そうしたことから私は石原氏を評価したいとは思わない立場だが、2016年に出版された『天才』(幻冬舎)には驚かされた。かつてあれほど嫌っていた田中角栄が「天才政治家」として描かれていたからだ。田中を「人間喜劇だね」と見下していた石原氏が最後は田中を手放しで称賛している。その変わりようが私には何とも魅力的だった。

    石原氏の中には2人の「石原慎太郎」がいるようだ。1人はマッチョを売り物にした石原慎太郎だが、もう1人は繊細で柔軟な石原慎太郎だ。私が最初にお会いした時は前者で、2度目に会った時は後者だった。そして人生の終わりには次第に後者の色合いが増したのではないか。勝手にそんなことを思いながら手を合わせたい。

    ■オンライン田中塾開催のお知らせ

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    ■田中良紹『国会探検』 過去記事一覧


    <田中良紹(たなか・よしつぐ)プロフィール>
     1945 年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。同 年(株)東京放送(TBS)入社。ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、 警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。1990 年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。

     TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。主な著書に「メディア裏支配─語られざる巨大メディアの暗闘史」(2005/講談社)「裏支配─いま明かされる田中角栄の真実」(2005/講談社)など。