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田原総一朗:ISILによる日本人人質事件で考えた、ジャーナリストの使命と「自己責任論」の先にある危険な風潮
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田原総一朗:ISILによる日本人人質事件で考えた、ジャーナリストの使命と「自己責任論」の先にある危険な風潮

2015-02-10 11:29
    先日、僕が司会をしている「朝まで生テレビ!」で、ISILについて、とことん議論をした。ISILとは、「イラクとレバントのイスラム国」の頭文字をつなげたもの。いわゆるイスラム過激派組織「イスラム国」のことだ。

    彼らは日本人を人質にとって、死刑囚との身柄交換などを要求、脅迫をしていた。そして非常に残念なことに、結果はたいへん厳しいものとなった。

    この事件が日本の外交姿勢につきつけた問題は、非常に大きい。昨年から自国民が人質になっていることを知りながら、なぜ安倍首相は中東を訪問したのか。なぜイスラエルであのような演説をしたのか。政府の足をひっぱらないように、野党も追及しなかったが、これらの疑問点は、いずれしっかりと検証されるべきだろう。

    いうまでもなく国際政治は、実に複雑でデリケートである。今回の人質事件に関していえば、たとえ難民への人道的な支援のために資金を出すのだとしても、それらの国と戦闘状態にあるISILにとっては、日本は「敵に味方する」国なのだ。

    自国民が囚われ、命を奪われそうになったとき、どうすべきか。人命第一で身代金を出すのか。だが、相手の要求に応じることは、テロリストたちに力を与えることになってしまう。では、見殺しにしてもいいのか。そんなことが、いいはずはない。

    番組でアンケートをとった。1月30日の生放送だったので、後藤さんの安否はわからない段階だ。今回の安倍政権の対応をどう思うか、その対応の是非について聞いたのだが、まったく同率の46%だった。問題の難しさが、この数字に表れているのだろう。

    「正解」の対応は、正直、僕にもわからない。ただ、ひとつ、何度でも言いたいことがある。人質となった後藤健二さんに対して、「危険な国に勝手に行ったのだから、自己責任だ」という意見がある。確かに自分の意思で行くのだから、自分の責任だろう。だが、ジャーナリストというのは、危険なところであっても行くものだ。現地に行かなければわからないことが、たくさんあるからだ。

    今回の現場はシリアだった。紛争地域である。だが、たとえ国内であっても災害や事故が起こった危険な現場へジャーナリストは行くのだ。僕も、そうした場数はたくさん踏んできた。

    そしてジャーナリストが、こうして危険と隣り合わせで取材した情報によって、視聴者や読者は真実を知る。みんなが、現実について考えるためのきっかけや材料を提示するのだ。僕たちは、こうやって民主主義の根幹を支えていると思っているのである。

    番組にはジャーナリストの坂本卓さんも出演していた。坂本さんは、中東とクルド問題について数多くの取材をおこなっている。昨年12月にシリアに行くなど、ISILにも詳しい。

    坂本卓さんは番組でこう述べた。
    「危険だとわかった上で行くのだから、自己責任はあります。だからと言って、『国に迷惑をかけやがって』と言う、この風潮は危険だと思います。このモノサシで見ると、例えば、ニートや高齢者などまで『迷惑なものでしかない』ということにもなりかねない。これが自己責任論の先にあると思う」
    この坂本さんの言葉は、僕の心に強く残ったのだ。


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    〈田原総一朗(たはら・そういちろう )プロフィール〉
    1934年、滋賀県生まれ。60年、岩波映画製作所入社、64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。現在、早稲田大学特命教授として大学院で講義をするほか、「大隈塾」塾頭も務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。また、『日本の戦争』(小学
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