名前:平 将明(たいら・まさあき)
政党:自民党
選挙区:比例東京ブロック
生年月日:1967年2月21日
血液型:A型
趣味:映画、野球
座右の銘:驕る平家は久しからず(おごるへいけはひさしからず)
好きな食べ物:そば、うどん、ケーキ
お気に入りの店:なか卯
ホームページ:http://www.taira-m.jp/
─政治家になる前は経営者をされていたようですね
早稲田大学を出てサラリーマンをしていました。市場の仲卸会社の「山邦」は祖父が創りました。私には兄がいたので長男でない私は会社の跡を継ぐ必要はないと思っていました。ある時父が胃ガンになり手術することになったのですが、その頃兄はアメリカの文字コーネル大学の大学院に留学しており、帰ってきて継ぐことはないだろうということで私に声がかかりました。
その会社は野菜の仲卸業で全国から集まる農産物を競りで買ってスーパーや外食産業に納めていました。夜の10時に出勤し、夜はモートラやフォークリフトを駆使しながらの物流、やがて夜が明けると競りが始まります。現場が終われば経営業務ですから、結局帰るのは昼の12時ぐらいでした。家に帰るとちょうど文字「ごきげんよう」がやっていて、それを見ながら食事して風呂に入って寝るという毎日でした。それを3年間ぐらいやって、経営に移り、朝からの普通の生活になりました。
中小企業の経営はものすごく大変で、ちょっと手を抜くとすぐ潰れるし、良くなったと思ったらすぐ悪くなるという繰り返しです。
─当時苦労したことは?
一番苦労したのは文字山一証券や文字北海道拓殖銀行が潰れた「金融危機」の時期です。その頃私の会社が取引をしていた信用金庫、信用組合が両方潰れてしまいました。結構な額を借り入れていましたから、資金繰りに奔走しました。それは本当にきついですよ。みんな中小企業が言うのは、資金繰りの大変さです。売上金額も大きかったので借入額も大きく、死ぬ思いで資金繰りに走り回りました。その時に銀行の駄目さへの強烈な問題意識が起こりました。銀行と交渉しても「担保ありますか」「保証人はいますか」とみんな同じことを言うんです。今振り返ってみればこれは「護送船団方式」で、金太郎飴で同じサービスしか持っていないということです。
私は年商25億円ぐらいの時に入り、一時22億円に下がりましたが60億円まで上げました。年商が上がればお金も必要になります。買うのは現金で払わなきゃいけませんが、回収するのは翌月です。どんどん売上が上がっていくとお金がいるのに、銀行が潰れてお金が入ってきません。中小企業はこれだけ頑張っているのに経営の責任じゃないところで会社が潰れてしまう、中小企業には貸さずに大企業には貸し出すという理不尽さがありました。
そこで銀行が金を貸してくれないなら自分達で銀行を作ろうという話になりました。そして銀行をやってみて思ったのは、自分達が銀行を作らなくても政府や政治家がきちんと金融政策を立てていれば問題はなかったのではないかということです。そこから政治家を志しました。
また、景気がよくならないとどんなに頑張っても儲かりません。政治家は経済オンチでセンスがなく、全然うまくいきません。それに対する怒りもあり、そんな中たまたま2005年文字小泉純一郎(こいずみ・じゅんいちろう)元首相が解散した夜に知り合いの国会議員から「平君出ない?」という声がかかり、公募に応募して選ばれ、十分な準備期間もない状況で12万票をとって当選しました。
─政治家を志す人の中に「この候補者には任せられない」という気持ちが原動力になる人もいるようですがそのタイプですね
子どもの頃は頭のいい人が政治家になってくれているんだろうなということがあると思いますが、実際はそうではなく、今回の鳩山首相の普天間問題を見たらわかるように何も考えないでしゃべっていたりするわけです。やっぱり危機感を持つことがありますよね。国民は意外に政治と距離を持ちたがるのですが、政治が間違った方向に行くと国民に被害が出ます。被害を受けるのは総理大臣でなく、一人一人の国民です。だからよく監視をしなきゃいけませんし、ベストな人間を常に出していかないと必ずツケが回ってきます。だからこそ誰も候補者がいないと思ったら自分が出馬することがいいと思います。
─出馬の際、政党へのこだわりがありましたか?
もともと小泉元首相が出る前は自民党も民主党も駄目という意識でした。小泉さんが「しがらみを断ち切る」「自民党をぶっ壊す」と言ったから出馬しました。そうしたら小泉さんはさっさと引退してしまって今はいませんが、当時から民主党から出るという考えはありませんでした。これからは自民党を再生しなきゃ行けませんし、その再生も全く新しい自民党を作るということです。
─党内勉強会では年輩の議員に対しても厳しい発言をされていますね
そりゃそうですよ。是々非々で、自民党はすべて正しいと演説してしまう人がいるのですが、それじゃ北朝鮮の労働党と一緒。自民党の良さと悪さを言って、議論していかないといけません。民主党のやっているものの中にはいいこともあります。ただそれをちゃんと言わないと政治家になった意味もありませんし、ちゃんと言ったことを吸い上げる党じゃないと社会に対応できません。
今回自民党は負けるべくして負けたのです。だって駄目なんですもん、自民党は。何が駄目かというとまず政策が駄目。もう一つは体質。この二つが駄目なら全部駄目でしょう。政党の政策は会社にしてみれば商品です。
今年の初めから私は言ってきましたが、小泉構造改革の結果良い部分と悪い部分がありました。悪いところをどういうスタンスで解決していこうかというところで、自民党内には2つの考え方があります。小泉竹中路線が駄目だったから昔に戻せという人もいますし、昔と今とでは時代環境が違うから改革という未来志向で変えていかないといけないという2つがあります。この2つを分裂することをおそれて、議論を封殺してしまったのです。そうじゃなくて、政策が売りなんだから政策が鮮度よく切れ味がよくなきゃいけません。だからこそマニフェストの議論を徹底的にして、お互いにコンセンサスを得るか合意が得られなければ分かれて、しっかりとした政策を提示すれば国民が取捨選択をします。右だか左だかわからないようなものを「おれを信じてかってくれ」と言うのは昔の自民党ならできましたが今じゃ通用しません。さらに言うと体質が悪く支持者にしか頭を下げないような政党では駄目です。政策も体質も駄目では勝てる訳がありませんでした。
マニフェストの議論をちゃんとして、政策の立ち位置をしっかり作り、"なあなあ政治"から脱却して実力本位の内閣づくりをしようということです。
─組織経営の失敗ですね
社内営業して偉くなったらよかったのですが、会社自体が潰れそうなんだから会社自体を強くしなきゃいけなかったのです。内閣を見たら派閥から無理矢理押しつけられた大臣、総理の子どもだから就任する大臣、本当にそれで勝てますか?例えば文字ワールドベースボールクラシック(WBC)という野球では日本が苦戦しながらも韓国に競り勝ち世界一になりました。その時日本は国内外から選手を集めてベストメンバーで臨み、それでも勝てるか勝てないかの世界なんです、競争は。官僚出身とか世襲議員は競争の厳しさをわかっていません。だからお父さんにはお世話になったから大臣にするというのは置き換えて考えれば、4番バッターは文字松井秀喜(まつい・ひでき)選手じゃなく、文字長嶋茂雄(ながしま・しげお)さんの息子の文字長嶋一茂(ながしま・かずしげ)さんにやってもらいましょうという世界です。そんなチームで勝てるわけないでしょう。キャッチャーは文字野村克也(のむら・かつや)さんの息子にやってもまいましょうで勝負に勝てると思ったら大間違いです。だから自民党は負けるべくして負けたんです。自民党は堕落したのです。
─自民党の体質の根源にあるのは?
権力の座に長くいすぎたためにズレてしまった感覚でしょう。自民党=(イコール)日本国政府でした。それは大間違いです。自分達の中で権力をたらい回していたから身内の理屈が優先されるようになりました。
一つの例は、俺たちが権力だから俺たちに社会があわせろという無意識の意識があります。社会が変わったらそれにわれわれ(自民党)もあわせていかなきゃ生き残れません。企業も一緒です。今回の選挙で自民党はマニフェストという言葉を使いませんでした。なぜかというと長老議員が「俺たちは"政権公約"でいくんだ」と一喝したらしいんです。結局政権公約という言葉しか自民党のホームページには掲載されず、選挙前に国民が政策を見てみようと"マニフェスト"と検索したら自民党ページが出てこないという現象が起こりました。これがどれだけ大きなインパクトがあるかというイマジネーションが働かないのです。YouTube(ユーチューブ)とタイヤのチューブの区別がつかない人が広報戦略をやっているんです。ありえないでしょう。俺たちは自民党、俺たちが政権与党、俺たちが政権公約と言ったら政権公約なんだというおごりがあるのです。
─民主党についてはどう見ていますか?
今民主党は同じ道を歩んでいます。権力があれば何でもできると思っています。例えば今回の天皇陛下に対する政府の対応にも問題があります。まあ、元自民党議員ですからね。
鳩山政権は来年春までもたないんじゃないかと思います。ただ、鳩山首相が駄目だから自民党とはならないでしょう。なぜかというと自民党は政策と体質が駄目で、その総括が国民には伝わっていないからです。
─会社経営とは違う感覚が働きそうですね
「力のある社長でも時代とずれてきたらクビにできるようにする」というのが会社のガバナンス(企業統治)の方向です。しかし自民党はトップが一人腐っていたわけじゃなく、全員がずれていて、ずれていることに気づかなかったということです。今でもいますよ、「昔は良かったよね」「昔の自民党に戻ろうよ」という自民党議員が。でも昔と今とでは社会状況が違い、少子高齢化で国家財政は公的債務残高も多く、グローバル競争激しく、冷戦が終わっています。苦しくても前に進めなければいけません。
自民党政治は右肩上がりを前提にしていました。小泉元首相は削るところを削り、伸ばすところを伸ばし、そこで痛みが生じました。それと同時に世界的に経済が悪くなり、将来の夢や展望を示しきれませんでした。そこに民主党が自民党とは違うバラマキを持ってきましたが、バラマキ政権にはかわりないのでどちらもハッピーにはなりません。古い自民党でも今の民主党でもない第3の経済合理性と財政合理性を持つ政策を苦しくても出すというしかありません。
第3の政策はどういう形で出るかはわかりません。政界再編で新たな党がその担い手になるのか、自民党を我々若手が乗っ取って担い手になるのかまだわかりません。でもやらないといけません。失われた10年どころか失われた世紀になりますよ。非常に危険だと思います。
─21世紀の構想、ビジョンは?
まず私が懸念しているのは日本人は精神面からメルトダウンしていることです。結局我々は豊かで、周りに飢え死にしている人もいないでしょう。危機が伝わっていません。財政破綻は目の前にあり、競争力も低下しています。お金持ちの中国人の家のお掃除をすることがもっぱらの仕事ということになりかねません。我々の国の資源は人しかありません。人が一人一人頑張らなきゃいけません。
なぜ明治がうまくいったかと言うと、自助と自立があったからです。一個人が独立して初めて国家の独立があると言っていました。みんなが頑張ったからこそ何も資源のない国が失敗を繰り返しながら頑張れました。ところが今は上の世代が資産を食いつぶし、新たにチャレンジすることもありません。
自助があり、それで駄目なら家族や地域が助ける共助が、そしてさらに駄目なら政府が出てくる公助があります。その3つがないと日本は成り立ちません。小泉構造改革が駄目だったという人もいますが、世界が変わったから厳しくなりました。これからは頑張って、それでもうまくいかないかもしれない、でも頑張るということが尊いと言わなきゃいけません。まずは公助ありきの民主党は、日本全体の空気と合っているのかもしれませんが未来は明るくないと思います。
─これからどういうシナリオを描く?
しっかりした経済政策を立て、取捨選択をしていかなければいけません。全員を助けるんじゃなくて、伸びるところを伸ばすのです。時代にそぐわなくなったものは、伸びる産業で吸収する、これは大変なことですが転換をしていくことが大事です。自民党はなぜ負けたかというと社会の環境の変化に対応できなかったから負けました。日本の産業構造も変えて行かざるを得ません。そこで痛みが伴うから政府が支援をしましょうということです。
日本は技術、環境、エネルギー、IPS再生細胞などの医療分野をうまく磨いていけば国際競争力を持つと思います。そして個人金融資産をうまく活用するなどパッケージでやればすぐよくなると思います。21世紀は黄金時代になります。
─大田市場で農産物の仲卸をしていたということですので、ぜひ農業政策の構想を聞かせて下さい
日本の農業は品質が良い、安全という付加価値があります。しかし外国のものと比べると価格が高いです。農業を再生するためには2つの方法があり、農家を大型化して生産性・効率性を高めるか、個人農家でいいんですけど徹底的に付加価値の高いものを作ることです。政府は大型化を支援するか高付加価値化を支援するかどちらかです。新規就農を増やし、農地を流動化させるのは経済的には正しい選択です。しかしながら政治的にはハードルが高いですね。
僕は大田市場で働いていましたが、個人農家が高付加価値なものを作ったからといってそれをドバイで売ることは難しいです。だったら農家の人にはとにかく付加価値の高いものを作ってくださいと専念させることが正しいと思います。大型化か高付加価値化した農家を政府は支援し、市場に作物が集め、アジアに開いた羽田空港と連結させて市場を輸出拠点にするのです。政府は日本のおいしい農作物をプロモーションし、すべて組み合わせていけば農業は再生するでしょう。
─民営化については解らないことが多く何故自民党はこれを推進したのか ...(1)何故、米国は、日本の国民のためと称し郵政民営化を毎年のように強く要望してきたのか。また日本政府は国民にその事実を公表することなく、又、マスコミもまったく報道しなかったことについて、政府の情報開示に齟齬があったのではないか。(投稿者: 匿名 | 2009年12月15日 18:57)
株式売却のものがあるけど、我々は郵政民営化すべきだとは思いますよ。郵政民営化して初めてわかったことは、そこに200社の子会社がいて、1000人の天下りがいたということです。かんぽの宿ありますよね、私は売るべきだと思います。20億赤字出ているんですから。かんぽの宿には1000人の社員がいて、その平均給料は800万円です。それでいいんでしょうか、もっと効率化すべきです。民営化をして初めてわかったんですから、民営化の決断を下すのはまだ早いですよ。その流れを急に戻すのは政治的な意図でしかないです。
それとアメリカに要求されたから郵政民営化したというのは都市伝説の類で、アメリカの要望書が出るはるか前から小泉元首相は郵政民営化をしようと言っていました。いわゆるプロパガンダで、それに乗っちゃってるということでしょう。
なぜ再官営化を急いだかというと、僕の個人的な意見ですが、民主党はバラマキで国債発行額が増えますね。今回は埋蔵金でしのげますが、来年以降はどうするかというと郵貯で買うんですよ。民営化していたら買わないと言われてしまいますから。そういう勘ぐりもできます。
─「自民党っぽくない」といいますか、客観的(または俯瞰)な視点でものごとを見ている印象を受けます。「自民党をぶっ壊す」といった小泉元首相の後継者という思いを持っていますか?
それはありますね。小泉元首相は時代にあわせなきゃ行けなかったと思います。結果として後継者選びに失敗しました。小泉元首相の思いを引き継いでいる人はいないと思います。83人のチルドレンも10人に減り、改革思考も2、3人です。そういった意味では思いを継いでいるところはあると思います。
"身だしなみ"です。
毎日のローテーションで「これは着たくないな」と思う服があったら絶対に着ないようにしているそうです。それを着ちゃうと一日が駄目になるからとのことでした。
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