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小飼弾の論弾 #47「対談・会計士 山田真哉さん @kaikeishi1 ニコ生が不調でも大丈夫?カドカワの決算を読み解く!」(その1)
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小飼弾の論弾 #47「対談・会計士 山田真哉さん @kaikeishi1 ニコ生が不調でも大丈夫?カドカワの決算を読み解く!」(その1)

2017-07-12 07:00

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。

    今回は、6月19日(月)に配信した、『さおだけ屋はなぜ潰れない?』の公認会計士、山田真哉さんとの対談テキスト(全3回)をお届けします。

    次回のニコ生配信は、7月24日(月)20:00の「小飼弾のニコ論壇時評」。今時のニュースを小飼弾がズバズバ斬っていきます(21:00頃からは、通常の「小飼弾の論弾」になります)。

    お楽しみに!

    2017/06/19配信のハイライト(その1)

    • 個人を上場する「VALU」ってどうなんでしょう?
    • 仮想通貨の納税はどうなる?
    • 超会議赤字、プレミアム会員減でも大丈夫?「カドカワはなぜ潰れないのか」

    個人を上場する「VALU」ってどうなんでしょう?

    山路:今日は、ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』などで知られる、公認会計士・税理士の山田真哉さんをゲストにお呼びしています。山田さん、どうぞよろしくお願いいたします。企業の会計の話や個人のマネー戦略など、お金の話を中心におうかがいしたいと思います。
     まず、「VALU」というサービスが出てきたじゃないですか。個人を上場するというか、株みたいな感じで扱って、例えばイケダハヤトさんとかホリエモンとかが上場している。

    山田:1000万儲かったみたいな話とかですね。

    小飼:個人株を買う人は、その個人からどういう便益を受けるんでしょう? AKB48の場合は握手やセンターに来るように投票できるとかっていう便益があるんですけど。例えば山田先生がVALUに上場したとして、僕が山田先生のVALU株を全部買ったとします。僕は山田先生に何ができるんですか? 『さおだけなんて、やっぱり売れねえや』という本を書けと要求して、書かせられるんですか?

    山田:これが、本当の株だったら議決権がありますから。

    小飼:できますよね。

    山田:51%を持っていれば、できますもんね。

    小飼:ああ、でも特別決議になるかもしれない。

    山田:まあまあ、それは(笑)。じゃあ66.7%あればだいたい何でもできますよね。

    小飼:すいません、細かくて(笑)。

    山田:でもVALUの場合、原則的にそれはできないんですよ。相談に乗ってもらえるとか、優待みたいなものをくれるんでしょ? 今日VALUの規約を見たら、改正をしていて「儲かるとか、言っちゃダメです」みたいなルールに変わってるんです。

    山田:VALUがだんだんどこを目指しているのかわからなくなってきました。純粋に株式市場を個人で、という話で進んでいけば良かったと思うんですよ。「議決権はないけども、配当や優待はありますよ」というのであれば、現実にもそういった株はありますから。

    小飼:あと、もうひとつ、株というからには、譲渡性がなければいけないですよね? 例えば、僕が持ってる山田先生株を半分山路さんに譲りますと言った場合、これはVALUを通してでしか決済できないんですか?

    山田:現状そうみたいですね。VALUのサイトが取引所なんで。VALUの中だけでビットコインのやり取りをすることしかできない。

    小飼:それは、まずいじゃん……。

    山路:ビットコインを使って、ちょっと遊ぶみたいなサービスのようにも見えます。

    小飼:それなら子供銀行券でも何でもいいわけですよ。でも今やビットコインというのは、ちゃんと物も買える立派なお金なわけです。

    山田:そうですね。取引通貨になってきていますよね。

    小飼:だから結局のところこれ、金融庁仕事しろということですよ。

    山田・山路:(笑)

    小飼:それで話は終わりそうな気がするんだけれども。日本円なら一発でアウトでしょ?

    山田:無制限にお金を人から集めたら、それは出資法違反なので、まず引っかかります。金融商品取引法で、取引業者として50人以上の人からお金を集める場合には、事前に届けを出しなさいというのが大原則のルールです。

    仮想通貨の納税はどうなる?

    「ビットコインを取引したときの納税はどうなるんですか?」(コメント)

    山田:最近ネットでも、みなさんいろいろと書いていて、「詳しくは、お近くの税理士さんにおかけください」みたいに書かれていますけど。税理士に聞かれても困るわというレベルの話で。

    小飼:税理士さんは知っているかな?

    山田:もし税理士が相談されたら、「既存の似たような税法が適用されるだろう」と考えるんですよ。っていうことは仮想通貨の場合は多分、金取引とか外貨、外国為替と同じ扱いなので普通に税金かかりますと。要はビットコインを買った段階ではかからないけど、それを売ったりとか円に替えたりとかドルに替えたりとか、その時点で確実に利益が出れば譲渡所得が発生します。赤字の場合は別にしなくていいですけれども、だいたい今ビットコインは値が上がっているので、みなさんが売ったときは利益だと思うんですよね。

    小飼:ただ、ビットコインのままだと、まだ「含み」のままですよね。

    山田:含みはOKです。ただ、ビットコインを例えばイーサリアムとかリップルに替えた時点で利益が発生しちゃうので。

    小飼:え? 仮想通貨と仮想通貨の交換という場合は、これはどういう利益の対象になるんですか?

    山田:例えば、ドルからユーロに替えた場合、今の税法はどうなっているかというと―――当局が把握しているかどうかは別ですが―――ドルからユーロに替わったとき、それぞれの通貨を円換算して、利益が出ていれば課税するというのが原則です。ただ、自己申告で各自が確定申告をしてねというのが、今のルールなので、その援用で考えると、ビットコインからイーサリアムも利益が出ているならば課税なんです。

    小飼:まだ、仮想通貨の特定口座なんてないですよね。だから、申告などは、自分でやらなければならない。

    山路:勝手に源泉徴収されるわけではないと。

    山田:税務当局が把握できるかというとおそらくできないので、一般の方はバレないんでしょうけど。ちょっとした有名人がやると、ここぞとばかりに税務当局あ調べるので。

    小飼:でもどうでしょう? ビットコインなどの電子仮想通貨のすごいところのひとつに、匿名性があるじゃないですか?

    山田:そうですね。それで中国人がビットコインを買ったりとか。

    小飼:実は、議員のみなさんがいっぱい持ってるとか。

    山田:可能性はありますよね。

    小飼:獣医学部作りたいと言っていたのは、どこでしたっけ?

    山路:加計学園。

    小飼:実は、ビットコインをいっぱい持っているかも。

    山田:(笑)。国税庁頑張るかな?

    山路:しかし、「ビットコインをイーサリアムにやって儲かったんですけど、いったいいくら納税しなきゃいけないんですか、出してください」と言われたら、税理士の仕事もめちゃめちゃ大変になりそうですよね。

    山田:言われたら本当に困りますよ。日本のコインチェックとかビットフライヤーといった仮想通貨取引所で、やっていたらまだわかりますけど、海外でやられたらもう調べられない。

    山路:正直そういった人たちが、素直に申告するとは思えないですけど(笑)。

    山田:たぶんしないでしょう。実際はみんなうやむやで、円に替えたときにしか納税をしないんでしょうね。

    小飼:今の為替レートでも、例えば日本円とか現実の通貨に比べると、総額は取るに足らないですよね。だからまだ税務署も本腰を入れてないという見方はできるかもしれない。

    「タックスアンサーに聞いてみよう」(コメント)

    山田:タックスアンサーという国税庁のQ&Aのコーナーがあるんです。そこに回答が載っちゃうと、それで確定しちゃうんで、まだ質問はしないほうがいいかな。

    山路:(笑)

    山田:タックスアンサーに載っちゃったら、税務署も対応しなくちゃいけなくなるんですよ。

    山路:政府としては仮想通貨の規制をしたいでしょうが、山田先生としては仮想通貨の扱いはどうあるべきだと思っています?

    山田:政府が介入する理由のほとんどは、税金でしょう。VALUもそうだと思うんですけど、金融庁がOKと言っていても国税庁がアウトと言う事例はいっぱいあります。

    小飼:ありますよね。最近は昔と違って、「法に照らし合わせるとおかしいだろう」と果敢に訴え返す人が増えて、勝訴する例というのも増えてきました。一番でかい事例で言うと、武富士の息子の。

    山田:相続ですね。ひっくり返りましたね。

    山路:海外に資産を移したんでしたっけ?

    小飼:そうです。

    山路:海外に移した資産についても贈与税を取ろうとしたんだけど、それが認められなくて結局国が払う羽目になった。法定利息を上乗せして払ったという。

    山田:それについては、まだ法治国家としてちゃんと機能してると言えば機能してるわけですから、すごくいい話なんです。

    小飼:(武富士元専務が利用した)法の穴は塞がったみたいですけど。

    山田:結局その後、同じ手法は全部ダメになりましたからね。

    小飼:だけど、法というのは遡及適用できない。

    山田:だからVALUとか仮想通貨で儲けようというのも今だけかもしれない。今後VALUがどうなるか本当にわからないです。

    小飼:その逆の可能性もありませんか? 世の中のcurrencyのほとんどが仮想通貨化されるという。元々通貨は仮想なものじゃないですか? その意味で、ビットコインなどは、より純粋に通貨なわけですよ。

     
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