「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2018年3月5日(月)配信の「小飼弾の論弾」の全文をお届けします。

次回のニコ生配信は、2018年7月2日(月)20:00からのニコ論壇時評です。21:00からは通常の小飼弾の論弾になります。

お楽しみに!

2018/3/05配信のハイライト

  • ニコニコのログイン不要化と動画サイトインフラの話
  • 裁量労働制のお粗末さ
  • 裁量労働をやりたければフリーランスになれ!
  • 小飼弾が考える人材採用の方法
  • 政府にシワを寄せている日本の無能な経営者
  • 政府は反営利的であるべし
  • 裁量労働制の本来あるべき姿とは
  • 立ち行かなくなった中小企業は潔く潰れてしまえ!
  • フロリダ銃乱射事件とアメリカ社会の変化
  • 国民年金は税金化しろ!
  • 未成年に奨学金を出す是非 教育への投資は将来の社会コストを下げる?
  • 中国国家主席の任期撤廃、習近平は皇帝になる?
  • QRコード決済は日本で普及する?
  • GitHubに過去最大級のDDoS攻撃
  • ストレージサービスのDropboxがIPO
  • 携帯キャリアが打倒LINEで結束?
  • プラットフォーマーがプログラミング言語を作る理由
  • 集団ドローン攻撃は、世界の軍事バランスをひっくり返す?

ニコニコのログイン不要化と動画サイトインフラの話

山路:ニコニコがログイン不要で視聴可能になりました。

小飼:やっとね。

山路:ニュースを入れてくれと運営側から言われ(笑)。

小飼:はいはい。ツイッターのタイムラインでも、もう直にクソアニメが見れるようになったというね。

山路:ポプテピピックを。

小飼:コメント付きでね(笑)。まあ手遅れ感はあるけれども。

山路:手遅れ(笑)、素人の素朴な疑問なんですけど、ログイン不要で動画を見られるようにするというのは、技術的にそんなに難しいことだったんですか?

小飼:技術的にはむしろ楽ですよ。

山路:認証とかしなくていいんですよね。

小飼:はい。当然、負荷は大きくなるけど。

山路:皆が見るようになるから。

小飼:そうそう。

山路:じゃあ単純にサーバー投資をしてなかったというだけなんですか。

小飼:そう、ニコ生は難しい。ニコ生をやるというのはインフラ側の敷居は高いんだけど、YouTubeが実現している以上はね。

山路:ただYouTubeとニコ生では、インフラの規模が違うというところもあるから。

小飼:まあそれですわな。
 YouTubeにタダ乗りしてた頃に戻った方が、インフラ的にはいいのかもしれないね。

山路:それはYouTubeのインフラを使ってその上に番組、ニコニコを立ち上げるということですね。

小飼:そうそう。他のインフラを載っけられるようにしてくれさえすればいいのになと、結構本気で思ってるんだけどね。

山路:めちゃくちゃ足元を見られた料金をYouTubeに取られそうな気もしますが、そうでもないですかね?

小飼:そういう気がしないでもないけどれも。だけど、クラウドサービスは一応は競争があるわけじゃないですか。GCP(Google Cloud Platform)に対してはAzureもあるし、もちろんAWSもあるし。

裁量労働制のお粗末さ

山路:今回の働き方改革で、裁量労働制が話題になっています。

小飼:裁量労働制というのはすでに入ってるんですよ。なんだけども、これを拡大するというふうに言ってたんですよ。

山路:今までは特殊な業種とかに限られていた裁量労働制の範囲を、もっと緩くしようという。

小飼:特殊な業種というよりも、導入するにあたって敷居が高かったんですよね。だからちゃんと労働者と話しをしなさい、了承を得なさいというような。

山路:今回その色々厚労省が出した資料とかに、データの…。

小飼:出したではなくて、でっち上げたというんでしょう。あれ本当にさ、小学生が夏休みの自由研究で何もやっていないからさ、最後の日にやっつけでやったという、そういうレベルだよね。

山路:気づかなかったらアホだし、意識的にやったら悪いヤツだし、もうどっちにしてもちょっと救いがないなと思ったんですけど。

小飼:うん、だから裁量労働制とかいうはるか以前の問題でしょうあれは。仕事してないじゃん。

山路:そもそもの政策に載せる以前の段階だという話ですよね。

小飼:労働関係の法律っていうのは、そもそもなぜ法で規定するようになったかというところまで立ち返るべきだったんですよ。

山路:そもそも労働者の権利を守るためだったという?

小飼:では、なぜ労働者の権利をわざわざ守らなければいけないのか。
 別のいい方をすると、労働者というのは労働力を売ってる業者なわけですよね。労働力を買ってるのが会社な訳ですよ。本来はそういった見方をすると対等なはずでしょう?

山路:現実はそうじゃないですよね。

小飼:現実はそうじゃない。だから制限する法律を作ったわけですよ。

山路:昔だったらそれこそ児童労働とかも普通にあったりとか。

小飼:その通りです。

山路:深夜まで奴隷のように使ってたこともあったという。

小飼:でも法律を作っても、ちゃんと施行しないと効果がないですよね。だから日本で上手く行ってない理由は、実は法規とかよりも、それを実行する部分なんですよ。

山路:今回、裁量労働制の拡大という内容が先送りされたじゃないですか。それに対して経済界が失望したというようなコメントが散々記事で出てるんですけれども。

小飼:経済界に失望してますよ、僕は。こんなバカみたいなやり方しか出せんのか?と。
 「失われた20年」が「失われた30年」になろうとしてるんですけれど、誰が失わせたかといったら、経団連の人達、つまり今回失望した人達でしょう? 一番仕事してない人達じゃん。

山路:その経団連の一番仕事をしなかったところ、つまり「失われた20年」の元凶を作ったところというのは、どんな行為だったと思います?

小飼:さらに遠因を求めると、仕事させなかったこと。彼らの仕事をキチッと監視して、キチッと仕事をさせてなかったということがありますよね。

山路:つまりは、労働者の権利をきちんと会社に守らせなかった国も…。

小飼:労働者の権利だけじゃなくて、株主の権利もです。実は労働者と株主とではどちらが偉いかといったら、株式会社の場合は株主なんですよ。

山路:株主の持ち物ですからね。

小飼:株主もだから相当コケにされてきたわけです。

山路:では日本はある意味、不当に経営者が優遇されてきたということになるんですかね?

小飼:それはYESでもありNOでもある。確かに報酬は安かったですし、今も例えばアメリカとかに追いついているとはいえないんですけれども、その分、もっと好き勝手に緩くやってきたわけでしょう?