「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2024年12月03日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2024年12月24日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2024/12/03配信のハイライト
SNS制限と「マスメディア以上に自分のことを信用できる?」
山路:今日取り上げるネタの一つとして、貸金庫の話っていうのが、後ですることになるんですけど、これ、相当驚いた案件でありまして(笑)。たぶん、新聞記事とかテレビのニュースなんかで報道されている以上にじつは大きな影響のある話じゃないかなということを、後でしようかなと思っているんですけれども。ちなみに弾さんって、貸金庫使ったことあるんですか?
小飼:大昔に借りてたことはありますね。
山路:ほうほうほう、実ユーザーの話ということでこの辺り、後で詳しく聞くことにしましょうかね。最初、これも新しいニュースなんですけれども。
小飼:まさにそれです、
山路:IntelのCEOが退任したという。パット・ゲルシンガーさんですね、この人かなり有名じゃないですか?
小飼:です、はい。
山路:決して技術に通じてない人じゃないというか、技術者じゃないですか、もともと。超優秀な。
小飼:そうです。だからAMDのリサ・スーまで行くかどうかはわからないんですけれども。
山路:これ、確かIntelの386とか486のCPUの開発とかに関わって。その後、確かVMwearのCEOもやったんでしたかね、
小飼:ですね。
山路:本当にIT業界の中では相当技術のほうにも、経営を両方通じている、
小飼:でも、ゲルシンガーでもダメだって言ったら、誰を持ってくればいいんだ。
山路:「Intel切羽詰まってる」ってやつですよね(笑)、これってなんていうか、ゲルシンガーの責任というのはちょっと違いますよね(笑)。なんていうか歴代のCEOが、
「ジム・ケラーとか引っ張ってくる」(コメント)
小飼:それはもう無理だろう、
山路:歴代のCEOが重ねてきたこの失策が、とうとうここまで来たかっていう感じだと思うんですけど。
小飼:でもゲルシンガーの失策らしい失策ってしてるかな。まぁでも、最新のシリーズがクロックアップしたら、物理的にコカれちゃうっていうのは、これはデカかったよね。
山路:それもゲルシンガーの責任なのかと言われると、難しいところではありますよね。まずいところで出たでかい問題ではあるんですけれども。いやー、本当この論弾でも何回か言ってきた、一番デカかったと言われるiPhoneのCPUを蹴ったという、
小飼:ポール・オッテリーニの頃ですね、
山路:あとはそういう64ビットCPUの移行、
小飼:いや、だからその時は乗り切ったんですよ。だからそれはけっこうすごかったことで。だから、その時の386互換の64ビットというのはAMDが設計したわけじゃないですか、事実上。いまだ、でもだからAMD64って呼ばれるわけです、ARM64と綴り的に似てるというのが、
山路:よく空見しちゃいますけどね、
小飼:困りものなんですけど、それはさておき。
山路:でも結局のところを突き詰めて言えば、IntelのCPUビジネスがあまりにもうまくいってたが故に、変化についていけなかったってことなんですかね。
小飼:それはある。いや、だからSunの没落と似てるんだよね。
山路:Sunってそうだったんですか。ワークステーションのSunですよね。
小飼:そうそうそう、すごいサーバ向けにすごい美味しいビジネスをしてたら、もうそういうものはLinuxでいいじゃんっていうことになっちゃって。
山路:そうかそうか、じゃあ美味しいビジネスをやってる時こそ要注意という。
小飼:そうなんですよ。必ず利益を出し抜くというコンペティターが現れるし、その時どうするかっていう。
山路:これってあとやっぱりArmの普及っていうのもでかい、それなりに影響あるんですかね、
小飼:でかいですね、
山路:ARM64の。
小飼:このクラスのものでも、Intel入ってなくてもいいじゃんというのは明白になっちゃったからね。
山路:これってAppleシリコンなかったら、ある意味ここまでIntel CPUの優位性がこんなに早く揺らぐっていうことをみんなが認識することはなかったんですかね?
小飼:あんまり関係ない。まぁでもAppleシリコンはとどめだね。やっぱりスマートフォンのSoCを抑えられなかったというのが、もうでかい、あまりにでかい。取り返しがつかないほどでかい。どれほど取り返しがつかないかって言ったら、MicrosoftがWindows Phoneというのを作って、Nokiaまで買収したじゃないですか、それでもダメだったというね。だからギリギリ間に合ったのがAndroidなんですよね。
山路:いやー怖いですね、CEOの判断のその影響の大きさって。いや、すごいわ。いやいや、じゃあということでまたIT関係のちょっとニュース、もう一つ。これはちょっと系統の違うニュースなんですけど、Metaが海底ケーブルを敷設するという。
小飼:でも、なんでこれ上げたんだろう。っていうのも、もうGoogleはもう散々ケーブルに出資してるわけじゃん。
山路:Google、自分でそのコンテンツ配信なんかをやってる、MetaもそのFacebookなりInstagramなり持ってるんですけど、これ、そういうところが自前でケーブルを持つっていうのは美味しいんですか?
小飼:それは美味しいというよりも、こういうことをしないとらサービスが届かないという。その意味ではGoogleやMetaがスターリンクみたいなサービスに乗り出してもぜんぜんおかしくないんですよ。
山路:Google、そういやなんかの成層圏とかのやつもやってましたもんね。
小飼:そうそうそう、成層圏プラットフォームとかMetaもやってたじゃないですか。
山路:それはなんかラストワンマイルであり、あるいはそこに至るまでのそういう物理的なケーブルであり、
小飼:そうそうそう、
山路:報道なんかではたとえば一番高くなったパターンで4万キロ引くのに全部で1兆5000億円ぐらいかかるかも、みたいな話あるんですけど。仮に1兆円ぐらいだとして、これって割に合う投資なんですかね。
小飼:割に合うと思ってるんでしょうね。いや、でも1兆はかかんないだろうな。
山路:へー。で、海底ケーブルということはもうMetaのコンテンツ流すだけじゃなくて、他の会社なんかも、それ使わせて、みたいなふうに言って、
小飼:相乗りさせてという。
山路:そういうネットワーク間で情報をどっちからどっちに流すときの交渉してお金が決まる、
小飼:ピアリングアグリーメントというやつですね、
山路:ピアリングアグリーメント、そういうことの事業者の一つとなるということなんですね。
小飼:というよりも、そういうのってたいてい子会社とか作って、そこに持たせてるけどね。それはさておき。
山路:大きな会社って通信自体をどんどん手に入れてこうとするじゃないですか、通信の経路自体を。たとえばMetaやGoogleだったら海底ケーブルそうだし、たとえばスターリンクみたいなもんっていうのは本当に最後のところまでやろうとするし、一時期Appleが携帯電話ビジネス、もうそれこそ携帯電話の会社作るんじゃねえかみたいな話なんかもあったような、そういう風になっていくものなのですかね。
小飼:そういう風にというよりも、とにかく今のITのビジネスっていうのはつながっててナンボなんですよ。別の言い方をすれば、誰かがつなげてなければいけないし、つながってるのであれば別に自分でなくてもいいわけですよ。
山路:ちょっとこれで不思議だなと思ったのが、GoogleってYouTube持ってるじゃないですか。YouTubeって動画だからすごいこうトラフィック食うと思うんですよね、Metaのコンテンツってそこまでトラフィックを食うんですか? これから食うと見込んでるからこそ、先行的に、
小飼:ユーザーのエクスポージャーが長いじゃん、こっちのほうが重要なんですよ。だから何ビット、何バイト転送したとかっていうよりも、各ユーザーが何分そこで過ごしてるのかっていうほうが重要なわけですよ。だから、その点ではMetaというよりもFacebookというのは、けっこう強いわけですよ。
スタッフ:いちおうMetaにはInstagramも入ったりしてるんで、最近Instagramはライブ配信とかでけっこう伸びてきてるので、動画とかですね、インスタライブっていうんですけど、
山路:なるほど。あとは本当にメタバースみたいなことを将来的にやってくるんだったら、その情報転送量って言うのはかなりのものになるかもしれない。
小飼:かつてはこういったものというのは、英語で言うところのtelco、要は大手通信業者の仕事だったんですけれども。じゃあ今、誰がお金を持ってるかって言ったら、そういったtelcoではなくてGAFAMなので、もう自らやっちゃってもいいよねという。
山路:あと最近、特に戦争に関係するところで海底ケーブルが切られるみたいな事件とか起こってきてるじゃないですか。そういう時なんかのことに関しても、防御策とかっていうのを講じなきゃならなくなってくるわけですよね、きっと。なんかすごい、安全保障に露骨に関わってくるような立場に、こういうビッグテックがなってきてんだなというのがちょっとびっくりなところですけれども。
じゃあもう一つ、IT絡みでこれもタイトルにあって、相当でかいかなと思ったのがオーストラリアが16歳未満のSNS利用禁止法案を可決させたと。これどうですか、たとえばいろんなスマホだったりとか、そういうものの利用に関して前、弾さん、子供に何か使わせる時にペアレンタルコントロールってあんまりいい手段じゃねえよなってことを言ってたじゃないですか。子供がそれはもうある意味自発的に使わせて、親はそこのとこ好きなように時々介入して、それをチェックするとかそういうふうな形であるべきじゃないかってことを言ったかと思うんですけども、もうさすがにちょっとこれ、弾さん的にはSNSとかはどう思います? 子供のSNS利用に関して。
小飼:子供のSNSというよりも、まずペアレンタルコントロールのようにブラックリスト方式というのはうまくいかないのは見えている。かといって、ネットにアクセスするためのデバイスを全く持たせないというのも、これは無理だと。
山路:16歳、子供は一律に、
小飼:いや、だから16歳っていうのは適切かどうかというのは置いといて。
山路:この法案自体に関しては弾さんはわりと肯定的?
小飼:肯定的というよりも、否定するにはちょっとSNSのレピテーションが低すぎるなと。
山路:もうなんか悪評だらけになってきちゃったなという、SNSに対して。
小飼:そうね。
山路:世間的な。
小飼:どの程度、行動に自由があるのかというのはその行動によって、どれくらい衝突事故が生じるかっていうのと関係あるんだよね。道交法というのは自家用車が走り出して、初めて意味をなす法律なんですよね。たぶんSNSの制限というのも、それに通じるところがあると思う、だからいずれは免許とかが必要になるのかね。
「子供の前に親のSNS利用を教育すべきやろ」(コメント)
小飼:まさにその通り、まさにその通り。
山路:16歳とかだけじゃねえだろ、子供だけじゃねえだろっていう。
小飼:母子をプリウスで撥ねたのは、
山路:もういい歳というか、
小飼:そうです、大人ですからね。
「半年ROMってろって学習方法じゃダメなんかね」(コメント)
山路:って、じゃあその半年ROMったかどうかをどう審査するかですよね。
小飼:いやー、だからどこをROMってるかだよ。
山路:ははは。
小飼:そうだよ、NHK党とかのページを半年ROMってたら、むしろたまったもんじゃないですよ。嘘を嘘と見抜けなければ、ネットはやっていけないって言った人がいますけど、その人にしてからがぜんぜん見抜けてないじゃん、fusianasanじゃん。いや、この法律でうまくいくかどうかというのは置いておいて、衝突件数が増えれば規制法というのが生えてきてしまうというのは、もうありとあらゆる分野で出てきたことで、その意味ではSNSに対してこういう規制が出てくるというのは、むしろ遅すぎたとすら言えるんじゃないでしょうかね。
山路:今のSNSって本当にグローバルにつながってしかもそれがフラットにつながっている。超高速道路にいきなり三輪車で走り出すみたいな、そういう怖さがあるのかなと、
小飼:その一方でエコーチェンバーが簡単にできちゃうわけです。そこも面白い現象ですよね、全世界につながっているんですけれども、実際それぞれのユーザーがつなげている部分というのは本当に狭い部分なわけですよね。マスメディアは信用できないと言っているけど、そういうお前はマスメディア以上に信用できるのかという、そういう自問自答すらしていないわけですよ。だからさ、お前らさ、マスメディア以上に自分のこと信用できるの?
山路:親こそ、子供に限らず親もSNS使う資格があるかどうか見たほうがいいんじゃないのっていう意見もあると思うんですけど、じゃあたとえばSNSを使う資格って、誰がどう判定したらいいんですかね?
小飼:まぁそこに戻ってくるんだよね。一体そんなことができるやつがどこにいるのかという。
山路:それこそたとえばXとかが人の投稿前に、この投稿ってちょっとやばい投稿じゃね? みたいなことをある程度アドバイスするとか、そんなことが事業者ごとにある程度やることはできるかもしれないけども、結局、何がいけないのか、誰がどうするのかって何をどうして決めたらいいんですかねと、本当にわからなくて。
小飼:いや、だけれども、今のままでいいよっていう人はむしろ少数派だと思います。
山路:そうですね。
小飼:どういう風に制限したらいいのかっていうので、総論賛成、各論反対というやつでしょうね。
山路:これ、ちなみに今回のオーストラリアの法案だと、YouTubeはいちおう除外はしてる、教育なんかのコンテンツも上がってるっていう意味で。
小飼:そもそもSNSって、どれがSNSに相当するのですかっていうのだって、曖昧な質問なわけです。
山路:メーリングリストはSNSじゃないのかと言われたら(笑)、
小飼:そうそうそう。
山路:別にね、仮にインスタとかXとか使わせないようにしても、メーリングリストでやり取りしてやっぱりハブにされたりとか、そこで問題は起こるとは思うので。なんか本当に、世界とそのまんまつながってるメディアっていうのを、どう人間のこの限られた脳みそで扱えるようにするかっていう話だと思うんですけどもね。
小飼:いや、でもむしろ問題は世界とつながってるということよりも、世界とつながってるにもかかわらず、簡単にエコーチェンバーの、外へのつながりを断ってしまうっていう、そっちのほうが深刻なんです。要はマスメディアは信用できないっていう、その感覚のほうがヤバいんですよ、むしろ。世界とつながってるっていう意識を持ってる人たちというのは、むしろSNSに気おされない人たちなんですよ。
山路:なるほどな。じゃあ、ちょっと今誰が何の権利でどう決めていくんだみたいな話をしたんですけども、
小飼:(コメントを見ながら)SNS検定(笑)、
「企業のプライベートガバメント」と「マスクの政府効率化省」
山路:SNS検定、なんか変な利権ができそうな匂いがプンプンしますけどもね。
これ、ライフカードっていうクレジットカードあるんですけど、それがインターネットウォッチファウンデーションかな、インプレスのじゃないですけど、インターネットウォッチファウンデーションっていうのに加盟したと。それは自体ははあっていうことなんですけれども、ここのとこで書かれているのが、そういうライフカードを使っている事業者に載っているコンテンツがよろしくないと判断したら、止めますよっていうようなことを明言してたりする、つまりクレジットカード会社がサービスの検閲にまで踏み込んでるっていうのは問題じゃないかっていうのが今話題になってたりすることなんですよね、このニュースで。
小飼:いや、だけれども、じゃあどんなマーチャントでも受け入れて、それがたとえば違法な商品だった、マーチャンダイズだった場合というのも、善意の第三者として見逃すというのであれば、問題なんだけれども。でも、実際のところ、どんな場合でも善意の第三者として許してくれるわけではないわけですよね。そうでない限りは、どんなマーチャントはOKで、どんなマーチャントならNGっていうのを決める権利というのは当然、カード会社のほうにあるわけですよね。
山路:カード会社も訴えられるリスクを背負っているわけですね。
小飼:だから、そこまでやっぱり言うんだったらさ、フリーダムオブスピーチとかって言ってるマスクがさ、もう一度PayPalを買収して、どんなマーチャントも断らないというふうにしやがれと。
山路:本当だよ、
小飼:そういうことですよ、
山路:Xvideosもちゃんと課金もできるようにしろよと、
小飼:その通りです。だから、ロリペドコンテンツだろうが、メスであろうが決済させろと、
山路:メスってメタンフェタミン、
小飼:それでその取引が違法だとしても、要はPayPal―――って言っちゃいけないんだけど、今やマスクの手にはないわけだから―――でもいずれにしてもマスクがやってる会社というのはもう善意の第三者だから。
山路:なるほどね(笑)。
小飼:そうそうそう。free to tradeだと。フリートレードの名の下に見逃せと。そういうのはガンガン裁判で、
山路:面白い、それやってほしいな、そこまでやってくれるんだったら、
小飼:そうでない限りは今のところ、唯一保証された、要はこの決済方法はリジェクトされないというのはリーガルテンダー、つまり現金による決済なわけです。現金による決済というのはこれは断れないっていう風に、どこの国もしてるわけです。150ドルって言った場合には、10ドル紙幣を15枚渡されたら、それを受け取ったら支払いが完了、だから決済済みになるというのはどこの国でも多かれ少なかれやってるわけです。
山路:あれ、キャッシュレスオンリーの店とか最近ちょっとできてきてるけど、あれなんかはどうなんですかね?
小飼:あれは特例を利用してるのかな、
山路:なんかたぶん法的なことはちゃんとクリアしてるとは思うんだけれども。
小飼:だから基本的にはリーガルテンダーによる決済というのは断れないんですよね。だから現金の強みっていうのはそこにもあるわけです。というのか、逆にキャッシュレスにしたかったら、強すぎる規定でもあるんですけど。いや、キャッシュレス決済というのはあくまでもバーチャルキャッシュをやり取りしてるという解釈であればいいのかな。要するにバンクノートではないけれども、リーガルテンダーを電子決済してるというね。どういう法的立て付けなのかというのはちょっとプロに聞いてみないとわかんないんですけど、基本的にどんな業者も、現金による取引というのは否定できないんですよね。
山路:それにしてもこのクレジットカードの話もそうですし、さっき言ったSNSの話もそうなんですけど、今の世の中の大きなインフラになっているものっていうのが、そこでの判断、何がいい悪いみたいなことを判定するのがどんどん民間企業になっていってませんか。昔だったら、それこそ検閲的なものってある意味、国がまずやるようなことだったりもしたわけじゃないですか。それこそSNSを使うか使わせるかどうか、何歳以上に、そういう判定なんかっていうのも国によるところが、
小飼:プライベートガバメントになってますよね。
山路:これの傾向ってたぶん、おそらく今後も続くと思うんですよね、つまり国の法的な仕組みなんかよりもぜんぜん民間企業とかビジネスとか、あるいはテクノロジーの発展のほうが速いから。これってなんか怖くないですかっていう。ある意味どんどん治外法権が増えていくみたいな、
小飼:あるいは国有化公有化が進むのだろうか、そういう技術に関して。っていうのも、僕がちょっと思い出してるのは、鉄道の推移なんですよね。初めは私企業が勝手に敷いてたわけじゃないですか。それがいったんはがっつり国有化されて、その後少しずつ民営化されるというのはこれ、日本だけのお話じゃないんですよ。なんで今、そういった公的なサービスを私企業がやってて、そこにおける制限というのを、あるいはもっときつい言い方で言うと、ユーザーの生殺与奪というのをその私企業が握ってるかといったら、そのテクノロジー、サービスの実装というのを公的セクターが担ってないからなんですよね。で、じゃあなんでたとえば道交法とかっていうのはちゃんと政府による規制というのが行き渡ってるかって言ったら、確かに道路とかっていうのは政府が敷設してますよね、実際に工事するのは私企業ですけれども、でも工事を発注したり、だからそれを検収したりするというのは政府ですよね。政府にはそういうものに対して、直接手を入れるだけの能力があるわけですよ。でもネットに関しては、そこまでの能力がないんですよね。持たせることは不可能ではないと思うんですけれども。