「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2018年5月22日(火)配信の「小飼弾のニコ論壇時評」の後半をお届けします。
次回のニコ生配信は、2018年9月18日(火)20:00からの「小飼弾の論弾」です。
お楽しみに!
2018/05/22配信のハイライト(その2)
- 消費税を撤廃するマレーシア
- シアトルとAmazonが税金でバトル
- タワマンの修繕費問題
- 日本の負の部分が凝縮された日大アメフト部問題
消費税を撤廃するマレーシア
山路:お金の絡みで非常に興味深いニュースがありまして、マレーシア。
小飼:ああ!消費税を撤廃したというね。
山路:マレーシアって最近政権交代が起こった国なんですよね。
小飼:いやでも政権交代なんですけれども、その歴史の中で一番長く首相を務めた人が辞めたら、その後を続いた人というのが、うーん?という感じでわざわざ野党を作って選挙をして、政権に戻ってきた。ただし今度は元野党として。選挙に勝ったのでまた与党なんですけど。
山路:マレーシアのマハティールさん、この方御年92歳。この方が政策として打ち出したのが、消費税の廃止なんですけど、これデカいことなんですか?
小飼:消費税って一旦導入されたら、まず下がることはないんですよね。
消費税があるのは本だけではありません。GST(Goods & Services Tax)とか、VAT(Value-Added Tax)とか、アメリカだとSales Taxsと言われたりして、よく見ると仕組みも違ったりもしてるんですけど。要は物を買う時にその物の値段に上乗せして払われる税金という意味で、いろんな国で導入されているんですけれども。これは一度導入されちゃうとひたすら上がり続けるという。日本は言うまでもなく。
山路:日本では10%になるという話もあります。
小飼:全世界的な傾向だったりもするんですけれども。税率を下げた事例ならいくつかあるんですけども、撤廃まで持ってこれたのは珍しい。マレーシアの場合、まだ導入したてだったから良かったのかな?
山路:弾さんからみて、消費税廃止は効果的だと思いますか?
小飼:なにせ選挙が5月9日ですから、さすがに実績が上がるには期間としては短いですけれども。
山路:もし良い成果が出たら、他の国の経済政策にも影響与えたりするんではないかと。
小飼:してほしいですね。全世界的に消費税がなかったところには消費税が導入され、すでに導入済みのところは税率が上がるというのは、もう金持ち有利な状況を生み出している元凶なので。
消費税というのは、一見フェアに見えてこれ以上アンフェアな税っていうのはないんですよ。単にアンフェアなだけではなくって、経済の邪魔をする。こんなに文字通り経済の邪魔をする税って、ないんですよ。
山路:払う時に何パーセント上乗せというのは、ものすごくわかりやすい分、公平な気がしてしまいます。
小飼:消費税の推進派は、誰しもが何かを買うのだから、その時に税金を払えばいいでしょうということなんですけど。全部買い物に突っ込むわけないじゃん! 例えば、株を買った時にその株価に対して消費税がかかるなんていうことはないわけです。
山路:言われてみたらそうですね。
小飼:手数料は取られるんですけどもね。例えば、後でタワマンの話題が出ると思いますけども、土地というのも区分所有されていることになっています。上モノには消費税がかかるんですよ。
山路:上モノっていうのは建築物、家とか。
小飼:そう建物にはかかる。土地にはかからない。なんでだと思います?
山路:え? それは、ずっと土地を持っている人が有利なふうに仕組みが作られているということなんですか。
小飼:日本の売上税は、消費税と呼ばれているでしょう?土地は消費されないから。有価証券とかっていうのも、譲渡はされても消費はされないから。
山路:利に聡い人は上手に「消費」の対象ではないものを買い、資産を増やしていくというワケですね。
小飼:はい、消費されちゃうものは税金を取られちゃうけども、消費されないものというのは税金を取られないという。
山路:本当にこのマレーシアの消費税撤廃の公約っていうのが、果たしてどういうふうになるのかっていうのは要注意ですね。
小飼:ちゃんと目に見える効果を出して欲しいですね。
山路:ベーシックインカムとかよりも更に成果がわかりやすいというか。
小飼:一番目に見えやすいです。やるのも簡単です。だから今までやってたものをパタッとやめちゃえばいいだけなので。
シアトルとAmazonが税金でバトル
山路:じゃあ税金絡みでもう1つ、アメリカのシアトル市がAmazonとかの大企業に対して新税をかけようという。
小飼:Microsoftもシアトルですね。
山路:シアトルでは、家賃とかが高騰して元からいた人が住めなくなっちゃったりとかしてる。それを税金でなんとかしようと。
小飼:アメリカの場合、サービスがショボいので税金を上げて対応しろって、市民が自治体を突き上げることはよくありますよ。
山路:ただ、Amazonみたいな大企業が、シアトルに本社を置いているなら、自治体の税収って増えるのではないですか?
小飼:基本的に企業の税金は、売上ではなくて利益にかかります。
山路:経費などを除いた利益にかかるということですね。
小飼:そういうことです。Amazonは見かけ上、利益をほとんど出していないです。だから税金を払う義務というのがあんまりないわけですよね。
山路:Amazonって、新技術の開発とかにお金がかかっていて、利益出せないんだよみたいなことを言ってたりしてますけど。
小飼:そう、年間に2兆円以上、R&D、開発に使っているっていいますけど、それって精査されたんですかね? 帳簿上そうなっているというだけで。
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