「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2018年9月18日(火)配信の「小飼弾の論弾」の前半をお届けします。
次回のニコ生配信は、2018年11月20日(火)20:00からの「小飼弾の論弾」です。
テーマは、「人生の決断に役立つバランスシート」。
お楽しみに!
2018/09/18配信のハイライト(その1)
- ZOZOTOWNと月ロケットの需要
- 「アメリカにはいないキャラ」大坂なおみ
- Appleスペシャルイベント
- 今回の優勝はiOS12
- Appleのこれからの製品について
- GAFA企業も、それぞれ「虚構度合い」が違う
- 「人ってなに?」を丁寧に問う『ホモ・デウス』
ZOZOTOWNと月ロケットの需要
山路:まずはZOZOTOWNの前澤さんが月に行くというニュースから。
小飼:月にZOZOTOWN作るのか?
山路:コメントに「弾さんは行かないんですか?」って書いてありますけど(笑)
小飼:いやまあ行くとしたら、芸術家枠かなあ(笑)。
山路:(笑)。前澤さん、2023年に世界中から数人の芸術家を招待して一緒に月に行くと発表したらしいですけどね。
小飼:でも一緒に月に行けるだけのロケットはまだ持ってないんだよね。スペースXも。そこの部分が重要で、今はスペースXが持っているロケットは、ファルコンヘビーというやつが1番デカいんですけども、これじゃあまだ人では月までは送れない。ISSくらいまでは持っていけるんだけれども。
山路:じゃあ、あのアポロ計画で使ったサターンVみたいな……
小飼:よりもデカいBFRというやつを開発しているんですけれども、それに乗せるって言ってるのね。だからまだ、モノがない。だからまだ蕎麦屋の出前状態。
山路:クラウドファンディングで、お金振り込んだみたいな感じなんですかね。
小飼:そう、確かにクラウドファンディングって良い例えかもしれない。手付金いくらくらいだったんでしょうかね?
山路:まあたぶん数億円レベルは、手付金でもかかりそうな感じはありますけどね。
小飼:ちなみにお金払って宇宙観光した人たちというのはもうすでに実績があって、広い意味だとTBSの秋山さんも入りますよね。
山路:日本人初の宇宙飛行士ですよね。
小飼:有名どころだと、ThawteというSSLの証明書を安く発行する会社を南アフリカで作って、それで一山当てて、今やUbuntuという1番よく使われているLinuxディストリビューションを出している所のMark Shuttleworth(マーク・シャトルワース)という人の。
山路:宇宙旅行に。
小飼:はい、マーク・シャトルワースの時は2000万ドル、20億円くらいで行けたみたいです。
山路:20億円くらいでって(笑)。
小飼:バーゲンで、その頃はスペースシャトルもまだ生きてて、まだ中国も有人宇宙飛行を実現していなかった頃なんですけども、シャトルが降りたということもあって、今NASAがロシアに払うお金っていうのは、大体1人50億円くらいだというふうに言われてます。
山路:じゃあ20億円っていうのは、随分、そういう基準からすると……
小飼:安かったでしょう。ロシアはロシアですかんぴんでしたし、経済ガタガタの時代でしたら。
山路:しかしまだ何だかんだいって、まだ本当に人を打ち上げるのって、メチャメチャ金かかるんですね。しかしこれ前澤さんって、月を歩くわけでもなんでもないんですよね。
小飼:月周回というのか、月軌道には乗らないみたいですね、ざっと見た限りでは。要はアポロ13と同じコース。
山路:映画にもなった話ですね。
小飼:はい、8の字軌道。
山路:ピンチになった。
小飼:サターンVよりもデカいロケットで、着陸船とか余計なものも載せてないっていうんであれば、けっこう大勢で行けるのかもしれない。
山路:これ8の字軌道だと楽なんですか?
小飼:楽というよりもいざという時に、何もしないでも地球まで戻ってこれるじゃないですか。これが重要なところで。
山路:いったん月の引力に囚われたら、月を廻る軌道とそこから帰ってこれない。
小飼:月を廻る軌道に乗せるためには、月に行った時に、減速のための燃料が必要で、地球に戻ってくる時に今度、加速用の燃料もいるんですね。
山路:なんかコメントで「月の着陸は難易度が高いの?」ってありますけど、これメチャメチャ高いんじゃないですか。
小飼:メチャメチャとは言っても、手動の部分は残ってたくらいですから。
山路:ある程度エイヤでなんとかできる。
小飼:地球に着陸するよりも、理論的には簡単なはずなんです。重力が弱いから。
山路:風とかもないわけですしね。
小飼:逆に例えば「はやぶさ」のこれ、初めのほうですね、ⅡじゃなくてⅠのほうですけど、がイトカワとランデヴーした時というのは、逆に目標がもっと小さすぎて遠すぎて、それはそれで難しかったみたいですけども、ただ難しいというふうにいったら、もっと難しいことを僕が生まれる前にやってたんですよね。人類は少なくとも当時のアメリカ合衆国は。
山路:いや信じられないですけど、今みたいな、iPhoneレベルのCPUとかも全然ないわけじゃないですか。
小飼:というよりも、僕がいわゆるIT業界というところにいるので、世の中は進んでいくばかりだということばかり目にしてますけれども、物事は必ずしもそうでないという一例が宇宙開発ですね。
山路:なんか古代ローマ帝国の後、中世の暗黒時代が来たみたいな。
小飼:暗黒時代まではいかなくっても、あれだけ大きなロケットの需要がなくなっちゃったんですよね。本当に月まで人を往復させない限り、あそこまで大きなロケットというのは必要なかったんですよ。
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