「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2019年1月8日(火)配信の「小飼弾の論弾」の後半をお届けします。

 次回は、2019年2月19日(火)20:00の配信です。

お楽しみに!

2019/01/08配信のハイライト(その2)

  • 生産性と、ジジイのスクワット
  • USB発言と「課題の先進国」日本
  • 新元号とUnicodeの関係
  • 宇宙技術でアメリカの上を行く中国
  • 落合・古市対談と変わらない財務省
  • プライバシーとデータの使い道
  • 2019年、不動産の格差と「よくなりようがない」景気
  • GAFAを覆す難しさと国境の壁

生産性と、ジジイのスクワット

山路:じゃあ次。

彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです(杉田水脈議員の『新潮45』寄稿より)

小飼:そもそも生産性という言葉が間違ってるしね。生産性というのは、あくまでもかけた時間で稼いだ額を割っただけの数字ですからね。だから子供を作ったからといって、そうだから逆に子供を作ることによって生産性が上がるのであれば、子供というのは売り物でなければいけない。
 この発言の1番のおぞましさというのは、そこなんですよ。家畜と同じ扱いなんですよ。

山路:この人は、生産性の定義をよくわかっていない上で言っていると。

小飼:わかってない。それで『新潮45』なくなっちゃったよね。だから、すごいネガティブ生産性だよね。この人の生産性って。

山路:これごく最近にもLGTBばかりだと、国が潰れるって自民党の平沢勝栄議員が……

小飼:あのですね、ガキが多すぎて国が潰れるっていうふうに言ってたんですよ、この国は、本当に。実際に、じつは満州とかを日本が傀儡国にしたというのも、増えすぎた日本人を始末したかったからなんですよ。

山路:棄民政策みたいな。

小飼:うんうん、全く嘘偽りもなく。ガキが多すぎて困るっていってきて、実際に減ったら、子供作ってくれって。

山路:少子化対策しろって。富国強兵的なことをまた同じように言い出してしまうっていう。まあブラジルとかもけっこうひどい目にあったみたいですもんね。

小飼:そこまでして国って維持しなきゃいけないの? っていう。だから、やっぱりそこから考えるべきなんですよね。日本がなくなっても世界は滅びないし、人類も滅びないんですよ。そこは厳然たる事実なんですよ。

山路:あと単純に日本の、今暮らしている人の暮らしぶりがどうなるかっていうことに関しても、少子化っていう事自体が必ずしも悪影響を与えないんじゃないかっていう論説も最近は出てきている。

小飼:ジジイがスクワットしているのがマズいんですよ。そこがマズいんですよ。ただジジイにどいていただくためには、ジジイが生きていけるようにしなければいけない。

USB発言と「課題の先進国」日本

山路:やっぱり去年の私がベストかなと思うのは、これかなと思うんですけど。

USBが何かは分からない

小飼:ベストというのか、ワーストというのか。ああ。『U.S.A.』の次に来るのが、USBなのか……。

山路:いい感じでUSAとUSBが2018年を象徴したと(笑)。

小飼:確かにUSBって、このUSBですか? タイプCですか? こっちだね。タイプC。こっちだね。それともここにある……

山路:それHDMI(笑)。

小飼:ああHDMIだ。

山路:それをきちんと区別して大臣が言っていたなら、逆に凄いですよね。その文脈で言ってたら。まあ、べつに上のほうにいる人がパソコンを使ってなくても、ぜんぜん構わないとは思うんだけど。ここまで知らないというのは、逆に奇跡的だなと。

小飼:女性担当大臣が生理休暇ってなんですか? みたいに。

山路:(笑)

山路:ここのところで、2018年の何というか益体もないというのか、どうしようもない、嫌になるような話ばっかりを集めてみました。2018年ってこうやって集めてみると最悪だった感じがしてきますけどね。でも、それはどの年でも同じなのかな。

小飼:ただじゃあ実際に日本は終わっているのかと思うと、たとえば観光客はわんさか押し寄せてるわけですよね。だから、かつては1000万人を超えるようにしたいと言っていたのが、4000万人とかになるようになったんです。それでもイタリアの半分ですよ。まだまだポテンシャルはある。

山路:まだ来てもらえるだけでもありがたい。

小飼:そうそう。来てみて面白い国ではあるわけですよね。

山路:うん。それなのに、なんでこんなにネガティブ情報ばっかり発信する奴がいるのかっていう(笑)。

小飼:うん。まあ来週あたりに紹介しますけれども、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』という本があります。

山路:根拠に基づいていること、みたいな意味の。

小飼:その本は日本を高く評価していますよね。これだけ政府にひどい仕打ちをされてもなあ。まだちゃんとやっているというのは、やっぱり日本の人凄えと思ったりしますよね。これだけ、これだけねえ。
 よくやってはいますよ。実際に、もう殺人は年間1000人をきっちゃったでしょう。交通事故死者も3500人とかでしょう。

山路:交通戦争の時って1万人とか。

小飼:2万人に近いです。

山路:ああ2万人か。

小飼:2万に近いです。それがそこまで減ったわけです。

山路:30、40年くらいですよね、その減ったのって。

小飼:はい。

山路:しかし今の日本の在り方って、皆そこそこブーブー言いながら、なんとなくそんなに豊かでもなくって、なんかゆったりした滅びを享受しているっていう気もしなくもないですけど。

小飼:滅びなのかな。でも少子高齢化というのは、全人類が体験するというのはもう決まっちゃってるんですね。これ決定事項なんですよね。日本の少子高齢化というのが、もう前世紀に決まっていたのと同じように、もう決まっちゃってるんですよ。全世界が経験するんです。

山路:これは日本が特別な今状況におかれているというよりは、たぶん恐らく他の国も同じような。

小飼:だから日本がどうしていくのかっていうのは、じつは世界中がもう本当に固唾を呑んで見守っているという。

山路:ああ。デフレも最初の頃は、ヨーロッパの知識人たちは上から目線で「こうすればいいのに」と言ってたのが、ずいぶん後でになって「その時勝手なことをいってすみませんでした」みたいなことを言うようになったりとか。日本はいろいろな面で課題の最先端にいるところかもしれない。

小飼:全くその通りですね。だからオリンピックなんてやってる場合じゃないんですけどね。本当に。

山路:他に解決しなきゃいけない問題、いくらでもあるだろうにって。

小飼:そういうことです。

新元号とUnicodeの関係

山路:じゃあちょっと最近の時事ニュースの方にいってから、それから2019年このITのことであるとか、景気のことであるとか、どうなっていくのかっていう予想を話すことにしようと。最近の時事ニュースのことで、これ、たぶん弾さんが食いつきそうなのは、新元号とUnicode。

小飼:絵文字を入れちゃったばっかりにというのはありますね。だから1文字で「㍾」とか「㍽」とか「㍼」とか「㍻」っていうのは、Unicodeが他のレガシーな文字コードとの相互変換性を保証する過程で入っちゃったんですよね。だから一種の汚染です。その過程には、たとえばJISマーク(〄)なんてのもありますよね。だから古いJISマークが今でも出るというのはそれが理由で(笑)、それを含んでいたレガシー文字コードが何だったかっていうと「MacJapanese」というやつで(笑)。

山路:かつてMacで採用された文字コードですね。

小飼:そう、ハニートラップだったかみたいな。

山路:この新しい元号も、すでにこの1文字で元号を表す文字っていうのが、この文字コードとして、Unicodeに予約されているんですよね。元号が何になるか決まっていないけど。

小飼:というのか予約してくれとというのをUnicodeコンソーシアムが通しちゃったんですよね。絵文字とかがなければそれ蹴れたはずなんですよ。Unicodeの理念としては、特定の国とか贔屓しちゃいけない。だからたとえば、日本語というのは、日本人だけが使ってる言語ではないですよね。言語というのは、国とか政府とかとは独立した概念なので、言語をサポートするというのはそれはOKなわけですけども、特定の国でしか使わないものというのは、基本入れちゃいけないんですよ。
 JISマークとかいうのは、仕方なく入っちゃったんですよね。過去を引き継ぐために入れちゃって、あれは基本的に間違いなわけですよ。だから同じ間違いを繰り返すなというのであれば、元号は入れちゃいけないんですよね。だって日本国しか、日本国政府しか使わないものでしょう。

山路:しかも今だったら、いくらでもその文字自体を表示する、適当にいい感じに表示するということは可能になった、フォントレベルで可能だったりもするわけだから。

小飼:そうなんですよ。ところが絵文字を導入した過程で、国旗まで入れちゃったんですよね。だから国旗入れたっていうのは、これすっげえ痛えなと。

山路:国旗入れると、絵文字のコミュニケーション、色々しやすくなること多そうな気もする。

小飼:しかも皮肉なことにロシアの国旗はあっても、ソ連の国旗はないんですよね。鎌とハンマーのシンボル(☭)はあります。不思議な状態でしょう。国旗はないんです。ソ連の国旗はないんです。