「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2020年01月07日(火)配信その1をお届けします。
次回は、2020年3月3日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2020/01/07配信のハイライト(その2)
- プロバイダーを作るというお仕事
- アメリカ人のお金の使い方と最先端のネット環境
- 「保険をかけすぎている日本人」と投資のための原資について
- 学ぶためには嫌いなものを避ける
- 「お金のことをどう教える?」と「自分のバランスシート」について
- 「持ち家と賃貸」と「不動産について一般化の問題」
プロバイダーを作るというお仕事
小飼:だからじつはその辺を工夫すれば、ノンリコース化っていうのは、そんな難しいことじゃないんですよ。仕組みとしてはね。ノンリコースをやって誰が得するかって言ったら、借りたほうなので、銀行のほうではノンリコースやらないほうが、より多く取り立てようと思えば取り立てれるんでということで。
山路:生命保険の死亡条件みたいなものも一時期すごい自殺、相次いだこと、ありませんでしたっけ、その生命保険で返すなんか、それでも厳しくなったんじゃなかったかな。
小飼:1年は降りないよというのがありましたね、今どうなんだろう。
山路:なんか自殺って降りないとか、そのような条件とかって、追加されてたんじゃなかったかな。
山路:じゃあそこんとこで、こういう家の再建のこととか、こういうどういうふうに金を借りたら、金の流れというのが見えてきたという。
小飼:そうですね。再建しながら出来る仕事ということで、技術翻訳をやってたんですけども、その時も仕事を貰う受け渡す手段というのが、パソコン通信だったんですよ。
山路:けっこうその当時としては、まあ先進的なほうですよね。
小飼:そうですね。でもじつは、インターネットはアメリカにいた時から使ってて、まだその当時はパソコンはインターネットに繋ぐだけの能力はなかったんですけども、モデム経由で学校の大きなコンピューターに繋いで、そこ経由でネットにアクセスしてましたね。
山路:なんかJUNETが出てきたくらいでしたかね。91年。
小飼:はいはい。
三野:JUNETって何ですか?
小飼:日本におけるインターネットの先駆けですね。
山路:慶応大学の村井純先生が音頭を取って、日本にもインターネットを利用できるようにしようという、まずは大学間で使えるようにしよう。それをジェイ・ユー・ネット、JUNET(Japan University NETwork)という、プロバイダーといえばいいんですかね、これは。どうなんだろう。ちょっと違う。
小飼:プロバイダーというのはまだなかったですね。というのもそもそもデジタルデータをNTTの回線を使ってやりとりするというのが、適法かどうかというのもグレーだった時代です。
「JUNET91年だったはず」(コメント)
山路:凄えやっぱり、みんな濃い人だ。アハハ。
小飼:なのでモデムを使うと電話回線で、別のコンピューターに繋げられるというのは常識化してて、実家丸焼けになって、真っ先に焼け跡に、まぁ庭広いんで、そこにプレハブ小屋を建てて、プレハブ小屋に真っ先に入れたものというのは、パソコンとモデムでしたね。
三野:へえ。
山路:仕事、金稼ぐための仕組みを最初に整えたっていう。
小飼:金稼ぐためというよりも、そもそもネットがないという状態が考えられなかった。ネットといってもTCP/IPではないですよ。いちいちダイヤルインして、ピーヒャラやってたわけです。
山路:アハハ、ちなみに何使ってました? パソコン通信のホストというか。
小飼:田舎だったのでNIFTY-Serveしか、ローカルに市外局番で繋がる。そうそうAP、アクセスポイントしかなかったんで。
山路:本当に市区町村ごとというか、県ごとにそういう番号があって、その番号に電話をかけるんですよ。そういう時代があったので。
三野:その頃、同世代のお友達とかは持っている人が少ないんですか?
小飼:同世代の友達が殆どいないんですよ、僕。山路さんくらいじゃないかな。完全に同世代なのは、ずーっと上かずーっと下かで、僕と本当に同い年くらいの人というのは、なんか少ない。
三野:なるほど。
小飼:よく考えてみたら、学校にもろくに行かないわけだから、同級生とかがいるわけもない。
山路:アハハ
小飼:同級生、アメリカにはいるけどね、そういう感じでした。
三野:アメリカの人のお金に対する見方と、日本人のお金に対する見方考え方、違いますか。
小飼:かなり違いますね。
山路:学生であっても。
アメリカ人のお金の使い方と最先端のネット環境
小飼:うん、「アメリカ人のお金の使い方」っていうふうに一般化できるかな?
山路:たとえば、それこそ借金をして物を買うのが当たり前的なことがあるとか、そんなようなくらいのざっくりした違いみたいなあるとか。
小飼:いや個人差があまりにも大きすぎて。あと個人の財力の差があまりに大きくて。
三野:はい。
山路:ああ、倹約して貧乏生活を送っている人もいればみたいな。
小飼:日本にはもうほぼいなくなっちゃったけど、アメリカには相変わらず普通にいるタイプの人として、乞食というのをBeggarと言います。今でも、います。むしろ増えたんじゃないかな、サンフランシスコとか。その一方で、大学の入学祝いに家買ってもらって、進級祝いにフェラーリ買ってもらってっていう奴もいたわけですよ。
フェラーリ買ってもらった奴が、パーティにフェラーリで行くでしょう、飲むでしょう、流石に運転するのヤバいというわけで、だから運転代行とかしてました。
山路:それでお小遣い的を稼いでいたと。
小飼:そいつが進級祝いに、NeXTcubeという、当時ジョブズがAppleを叩き出されて作った会社が出した最初のプロダクトがあって、やっぱり学生が買うには高すぎるわけですね。6000ドル。
山路:ああ、でも6000ドルか。
小飼:いやフルに使えるようにするためには、実質もっとかかったかな。
山路:めちゃめちゃ格好良かったですよね。光磁気ディスクドライブがついて、モノクロのディスプレイで。
小飼:ネクストはですね……。
山路:eが小文字で、NeXTって最初に出たやつは。そのNeXTcubeのOSが今のmacOSの原型ですよね。
小飼:そうなんですよ。
山路:だから繋がりがあると言えば、ある。
小飼:だから、そいつにねだって使わせて貰った。
山路:アハハ。凄い最先端のネット環境、当時の。
小飼:最先端は最先端でしょう。何しろBSD(Berkeley Software Distribution)作ってたところですからね。でも当時は最先端だっていう意識は、あんまりなかったけどな。
山路:それがあまりにも当たり前だったから?
小飼:いや自分らの近くでは、あまりにも当たり前で、でもちょっとでも逸れるともうぜんぜん当たり前でもなんでもない、「何それ? 一体?」という世界。
山路:アメリカでも?
小飼:アメリカでも、うん。
山路:大学以外では、そういうインターネットとというのは、概念自体が、そのアメリカでも普通の人は知らないという。
小飼:うん、普通の人が知らない。だから米国の有名所でかつコンピューターサイエンスをやっている人ということで。
山路:そして、弾さんは日本で技術翻訳をやりつつ、その後ネットワークの知識をやりながら、プロバイダーの構築に進んで。
小飼:というよりも、それをやっているうちにISPの立上げを手伝わない? みたいな話しがくるようになって。
山路:それまた何で? というか、技術翻訳とプロバイダーの立ち上げって、えらい違い、ああそうかプロトコルを知っているっていうことか。TCP/IPがわかっているっていうことか。技術翻訳は、TCP/IPにちょっと絡んでた?
小飼:そうです。
山路:ああそうかそうか。なるほどな。
小飼:だからバークレイでやってたことが、見事に役に立ったわけですよね。
山路:バークレイで、そんなプロバイダーの立ち上げみたいなこと。
小飼:プロバイダーというよりも、サーバを構築したり、メンテナンスしたりということはやってたので。
山路:そうか、日本でもちょうどそれが、なんかNTTが何か自由に回線を使えるようにしたのがその頃なんでしたっけ? プロバイダーが立ち上げられるようになった。
小飼:そうですね、確か日本で最初のISPというのは、TWICS(ツイックス)というところで。
はい、ライブドアはもうちょい後の話になりますね。そこのアカウントも持ってましたので、でもね、TWICSはVMSだったんですよね。Unixじゃなかったんですよね。
山路:今はもう消えちゃった? ああVMS。ああミニコンとかで。VAXとかのOSで。
小飼:VAXとかのOSですね。
山路:なるほどね。それでこう……。
小飼:その後に出てきたISPは殆どSunでしたね。
山路:SunOSで。
小飼:Solarisの前の、そうですね、4と5の端境くらいの頃でしたかね。
山路:確かに、そんなのを使った経験が日本である人っていうのが、当時ぜんぜんいなかっただろうな。
小飼:かなり少なかったですね。
山路:凄えな。こんなにバシッとその時に。
小飼:何が良かったんでしょうねといったら、1番は運ですかね。やっぱり正直に答えざるをえないし、年々そういう答えになってきますよね。実力と言いたいところですけれども、たとえばこれがそうですね、5年というか3年早かったら、TCP/IPの知識を用立てする機会というのもなかったでしょうし。3年遅かったら、もう猫も杓子も。
山路:知ってる知識になっていたし、
小飼:そうそう。
山路:家が焼けなかったら、普通にアメリカで学生やってた可能性もあるし。
小飼:そのとおりです。そのとおりです。
山路:別に普通にTCP/IPの知識を使って、起業とかじゃなくて普通に生活している。
小飼:ただその時に出来ることをやってたに過ぎないという感じがしますね。
山路:この頃にそういうビジネスというか、お金の流れみたいなことを考え始めたということがあるんですか? お金のことに絡めて言うんだったら、そういうふうにプロバイダーの立ち上げみたいなことをビジネスとして、請け負うようになってお金のことについて考え始めた?
小飼:考え始めたというよりも、まだ当時は労働報酬というのか、要は手を動かした報酬の方が、資産報酬よりもずっと多かったですね。
山路:それやっぱり、資産、お金を使ってお金を増やすみたいな話になってくるのは、それはもうオン・ザ・エッヂ以降の話になってくる。
小飼:そうですね。だからそこで株やストックオプションを受け取ったのが原資になってる。だからやっぱりまとまった原資というふうになると、やっぱりそうですけども、備えは出来てましたね。
三野:さっき誰かの質問で「初めて株を買ったのはいつ?」って。
小飼:それはけっこう前でした。わりと早くから証券口座というのは持ってました。
「保険をかけすぎている日本人」と投資のための原資について
三野:ここの話にちょっと戻ると、これまでのキーワードで、生命保険とか火災保険とか、いろいろ話が出てきていて、保険の話もどこかに盛り込むといいのかなと思ったんですけど、どうなんでしょう。
山路:保険に加入しておくべきかみたいな話? そのリスクをどういうふうに捉えるかというのは、つまり保険に入るべきか、入らざるべきか、どういう風に判断したほうがいいというような。
三野:自分のお金を考える上で、大事かなという。
小飼:保険は小さくないですけど、日本の人は、ざっくり均すと保険を掛けすぎているほうです。
三野:私も何か入らなければと思っちゃうんですけど、独身なので、そんなに。
山路:独身だったら逆にいるんかい? っていう。個人的な意見ですけど、つまりよく休業補償みたいな保険とかもあったりするじゃないですか。ある程度貯金があって、1年とか食えるだけの蓄えがあるんだったら、その程度の保険はいらねえやと思うし、独身ですぐに金がいるような小さな子がいるというのでなければ、そんな1億円とか2億円とか死んだら貰える生命保険に入っている必要なんてあるんかいみたいな。
三野:そうなんですよ。
小飼:あと生保というのは受取人、誰でもいいというわけにはいかないんです。僕が籍を入れる一番のきっかけというのも、当初はまだ妻ではなかったんですけども、を受取人にするというのが、非常に難しいと。
山路:事実婚では駄目ですか?
小飼:いや事実婚でもいいんだけれども、いっぱい書類ださなければいけなかった。山路さんどうしてる?
山路:生命保険の受取り?
小飼:生命保険の受取り。
山路:生命保険やってないから。
小飼:ならいいんだけども。
山路:掛け捨ての安いやつに入っていた時は、受取人は妻の名前にはしてましたが、その掛け捨てのやつもやめた。
三野:私も死亡保険に入ってて、でもそれいるのかな? って今見直しの時期なんです。
小飼:あのですね、99%本当にレトリックではなしに、99%下手すると99.5%の人は、共済だけでいい。