「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2020年04月14日(火)配信その2をお届けします。

 次回は、2020年6月9日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2020/04/14配信のハイライト(その2)

  • 給付金12兆円では財政はガタピシいわない
  • ベーシックインカムがviralに普及する可能性
  • 「国が救済すべき企業」と「福祉が会社にアウトソースされているまずさ」
  • 焼け太りGAFAと「コロナ対策としての人工冬眠」

給付金12兆円では財政はガタピシいわない

山路:今回その金のところでいうと、まずはそのベーシックインカムに行く前に、いろんな国がお金に関して政策を打ってますよね。

小飼:なぜお金を配ろうかと。まずそこからですよね。

山路:うん。ここの場合、そのいろんな対策があると思うんですけど、基本的に欧米なんかが今やろうとしてるのは、とにかくはお金を配ろうと。なんとかお金を配ろうと。

小飼:まず何でお金を配ろうかといったら、もう家に留まって貰うためですよね。仕事するなって言ってるわけですよね。商売辞めろ、止めろって言ってるわけですよね。

山路:医療システムを守るために。

小飼:凄い納得してくれる人が少ないんだけども、なんだけども、凄い重要なお金の使い方として、活動を止めて貰う為に出すというのがあるわけですよね。これは1番有名な例だと、口止め料というのがありますよね。黙ってて貰うためにお金を払う。

「口止め料ならぬ、足止め料」(コメント)

小飼:そうそう、足止め料、僕もTwitterで足止め料だと言ってたけれども。何かをしないようにして貰うためにも、お金を出すというのは、凄い有効なんですよね。

山路:うん、ただしかし日本ではその辺のところのやり方っていうのが、あんまり徹底されていないというか、休業要請はするんだけれども、保障は国はしませんよ。みたいなことを、今言ってたりしますよね。

小飼:いやでも口止め料の有効性はさ、誰が1番良く知ってるっていったら、政府じゃん。

山路:アハハ。そうですね、国の要請、国の保障。

小飼:いや、だから、大きな組織ほど、口止め料の有効性というのは知ってるわけです。だから足止め料というのがいかに有効で、いかに不人気かというのも、知ってるわけですよね。だからなんで、何もしてないことにお金を出すんだというのを納得してくれない方というは、少なくないんですよね。

山路:これってまだ、やっぱり日本がそんなに死亡者が爆発的に増えてるわけじゃないから、そういうことがいえてるというのもあるんですかね。

小飼:そう、まだいちおう家に、もう財布は空だけど、家に食料があるという状態だからかもしれないですね。

山路:そこでただ、いろいろよく言われてるのが、給与保障しない側の言い分としては、そうすると日本の財政が健全化が目指せなくなるみたいなことを麻生さんが言ってたりする。

小飼:というのかさ、健全なマスクの仕方も出来ない、ちょっと耄碌ひどいよね。だから耄碌フェーズだと思うよ。

山路:こういう場合っていうのは、とにかくそれが医療システムを崩壊させないためには、とにかくどんな借金を作ろうが……。

小飼:だから何を守りたいかなのよ。日本は経済に占める医療システムの割合というのは、先進国の中では小さい方ではある。それでも1割、そうそう、日本全体の1割は医療システムで出来てる。

山路:ああシステム、予算的に?

小飼:うん、これはあくまで予算で見ただけです。これがぶっ壊れるというのが、どういうことなのかっていうのは、きちっと想定しているんですよ。じゃそれが1度ぶっ壊れます。現場の医師とかが『STAR WARS』のジェダイよろしく全滅しちゃったとしたら、だからこれを医学部から人材を育てるところから再び始めるというふうに、復活にどれくらいかかると思います?

山路:単純に、6年ってことじゃないですもんね。

小飼:だから本当に、too big to failじゃなくて本当にtoo precious to loseなんですよ。だから銀行潰れても大丈夫だけども、医療潰れると他のリカバリーシステムも潰れちゃうんですよね。

「医学部、人気なくなっちゃうね」(コメント)

山路:って、そうっすね、なんか今、最優先にいきなり、医師免許持ってなくても最前線に送られかねない状況になってますからね。

小飼:そう、何を守りたいのかっていうのが、政府の中ですらコンセンサスが取れてないという。

山路:これまあまず第1にそういう医療システムを守るっていうのは、あれなんですけども。学徒動員ですよね。

小飼:もうここまで。そう、だからコメントで出てくれて、なんかちょっと得した気分だな、この麻生さんがっていうやつ、僕もここまで出かかってきてたんだけど、だからもう本当に、うん、今の内閣、流行ってくれれば、流行しないかね。

山路:この金を、金っていうのは、国債を発行すればいいものなんですか?

小飼:まぁなんでもいいですよ。国債発行して日銀に押し付けるというのが、1番簡単ですね。アメリカもFRBにそれやってますね。

山路:国債って結局、国がいちおう借金をするということじゃないですか。

小飼:ああ、でもじゃあ誰から借りてるの?

山路:国民から。

小飼:そうなんですよ。

山路:うん。

小飼:そうなんですよ。

山路:これってそのどんどん国債って、重ねて……、まぁたとえば今、日本はそういう借金があるというふうによく言われることがあるんですけども。

小飼:いや、だから、そこが1番の誤解で、誤解だから駄目だっていうふうに割り切るのも難しいのがお金の悩ましいところで、お金というのは、ある、ない、ものじゃないんですよ。存在はしないんです。

山路:共同幻想だから。

小飼:そう。だからあるものとしておく、なんですよね。あるものとしておくなんですよね。何で国債をバカバカ発行しちゃいけないかといったら、たとえば世の中にある価値、価値というものが、というのもじつは幻なんですけども、そういうものがあるとして、それが増えない段階でお金を増やすとどうなるかというふうに言うと、お金の価値が下がるわけ。
 だから、お金がどんどん安くなることをインフレというんですよね。それを恐れているんですけども、じゃあ今回1人10万円配るのにいくら必要かというふうに言ったら、日本の場合人口が1億2千万というのでわかりやすいですね。1人1万で1兆2千億ですね、だから10万であれば12兆円ですむわけです。12兆円ってどれくらいかっていったら、今国が借金しているっていうのは、1000兆くらいあるんですよ。だから1%増えるくらいなんですよ。

山路:はあ。

小飼:じつは、インフレ・ターゲットというのが、ありますよね。

山路:はい。

小飼:だから緩いインフレと、そう、あの健全な経済の在り方というのは緩いインフレ状態なんですよ。どれくらい緩いインフレだと、経済として健全なのかっていったら、だいたい今の先進国だと2%くらいだというふうに言われてます。

山路:自然利子率みたいな感じなんですか。それが。

小飼:まぁそういうことです。であれば、12兆円というのはぜんぜん無理がないんですよ。

山路:借金全体に比べても、1%くらいだったら、それをさらにしようが、別にお金の価値とかそんなにどうにかこうにかなるようなもんでも、ぜんぜんないという。

小飼:というのか、その程度ではインフレを引き起こせない程度の額でしかないんですよ。

山路:もうちょっと借金やってもいいくらいなんじゃないかっていう。

小飼:うん。じゃあこれを1年続けたら、どうなるか。だいたい120兆円くらいですかね。それってどれくらいの額かっていうふうにいったら、日本の厚労省が扱っている額ですね。日本国政府を通る金のうちに。

山路:社会保険料として集められている。

小飼:そうそう。税金って名前がついているものよりも金額大きいんですよ。

山路:へえ、なんかそう言われると120兆円ってぜんぜん大したことがないような気が。

小飼:そういう感覚の人でないと、日本の財政について語ってはいけないと思うんですよね。

山路:今いる奴等には大きな仕事は任せられない感じ(笑)。

小飼:うん、そうなのよ。

山路:額の大きい仕事は。これってじゃあその結局、今借金として載せてっても、ぜんぜんそれは問題がない、そのなんというか、でもそれって。

小飼:そう、これ以上借金したら返せなくなるからというのが、あれなんですよね。

山路:よく言われますよね。

小飼:あの、あれなんですけども。

山路:財政健全化派というか。

小飼:だから1000兆円はとにかく、数十兆円くらいだったら返せますし、じつは常々日々返しているわけですよ。日本ってどうやって財政を回しているかといったら、お金借りてるだけじゃないんですよ。返すのも一緒になっているんですよ。
 お金借りたら利子が発生するんですよ。これが有史以来、最低なわけですよね。

山路:ああマイナス金利の時代。

小飼:そう、だから借金の本当のコストというのは、利息なんですよ。

山路:うーん。よく言ってる、借りっぱなしでも別になんか……。

小飼:そう、借りすぎると今度はもう利息が際限なく上がるんじゃないかと言われてるんですけど、むしろ実態は逆で、利息が上がると借りれなくなるんですよね。借りすぎると利息が上がるんじゃなくて、両方とも相互に関係しているので、卵が先かにわとりが先かなんですけども。利息の上下のほうが先なんですよ、じつは。
 今何をやっても利子が上がらないのでね、それで銀行とか困ってるわけですよね。それで銀行のサービスとかしょぼくなっちゃっているんですよ。

山路:でもそれを言ったら、ほんと国債っていうのは、いくら発行してもいいんですか? 今の状況だったら、それこそMMT派が言うみたいな。

小飼:いずれは利息が暴走する形で、化けちゃいます。でもそうなる前というのはいいんですよ。だから少なくとも、ざっくりの計算でもう倍くらいはいけるんじゃないかというふうには思ってます。今の状況だと。

山路:倍っていうのは、あの……。

小飼:今日本政府が借りているとされている金額のトータルというのが、1000兆円ですけれども。

山路:2000兆円まではいけると。

小飼:はい、というのも、日本の国富というのは、これもいろんな計算の仕方にもよるんですけれども、要は日本国全体のバランスシートの左側で、5000兆以上6000兆以下とされてます。だから仮に、右肩の部分というのが、今はそのうち1000兆円が有利子負債というわけです。意外と健全でしょ。

山路:アハハ、言われるとそういう気がしてきた。

小飼:健全な製造業というのは、だいたい自己資本比率というのは、3割です。トヨタとかホンダとか。そういうところというのは、バランスシートのサイズが1500兆円くらいだと、1000兆円まで借金出来るわけ。もっとあるんですよ。

山路:うーん、なるほどね。じゃあ今の段階は、とにかくインフレとか心配するんじゃなくて……。

小飼:いや、だから数十兆円くらいだったら、いいのか悪いのか、嬉しいのか悲しいのかわかんないけど、それくらいではぜんぜんガタピシいわないし。

「少なすぎワロタ」(コメント)

小飼:そうなんですよ。少なすぎなんですよ、本当に。

山路:しかも何かその安倍政権が言った100兆円くらいの事業規模で、今回のコロナ対策みたいなこと言ってるけど、本当にそのうちの真水部分は十数兆円って、本当に。

小飼:しかもそれすら殆どね、施行されてない、実行に移されてないっていうね。

山路:いやあ、へえ。じゃあもう何か、今回の場合に関してはガンガン……。

ベーシックインカムがviralに普及する可能性

小飼:いや本当であれば、今日の放送ではね、もうすでに支払われた筈のお金を皆さんどう使ってますか? って聞く予定だったんですよ!はい。給付金貰った人、手上げて!

山路:え? もう貰えている人いるんですか?

小飼:え? 誰もいないの? 俺たちも貰えてない、やっぱ誰もいないんだろうね。

山路:え? 給付金、え? もう出てるんですか? マジでそれ。

小飼:出てないよ。

山路:ですよね。

小飼:だからわざとやった。

山路:ああびっくりした。手あげて……。早めに出てるのは融資の話だけですよね。今ん所。へえなんかでも何でしたっけ? 事業継続なんたら給付金みたいなものが出るという話が(注:持続化給付金のこと)。

小飼:我々の場合、まぁ、でもそもそも誰に何処に申請を出すのか。申請の時に揃える書類は何なのか? というのもはっきりしてないわけですよね。とにかくWebで出来るようにはしてます、って言ってるけど、そのWeb、誰が今作っているかっていう、仕様決まってないのに。

山路:しかも確定じゃないですけど、今出てる話って、前年度の同月の中で、50%下がった月があったら、その月を基準にみたいな。

小飼:そう、要は手を挙げなきゃいけないの、手を挙げて当てられなければいけないの。当てたら発言しなければいけないと。あのさ、本当に、こういう実がならない仕事させて誰が嬉しいの? っていう、誰が1番悲しいかっていったら、現場の公務員の人ですよね。

山路:それにしてもこの今回の給付金の仕組みとかを見て、これを決めている人らっていうのはフリーランスとかやったことなさそう……。

小飼:そこ不思議なの、支持率維持の道具なんだろうっていったら、配るに越したことはないよね。だからなんで配らないの? って。だから今でも中途半端だけど、支持率は十分あるというふうに見ているのかな? その可能性が1番大きいかもしれないね。

山路:まだ40%あるみたい。

小飼:だってさ国民が苦しんでるんだからといって、自分達の給料じゃなくて、歳費を2割減らします。っていうのは、野党も賛成しちゃったじゃん。もう馬鹿すぎ、馬鹿すぎるじゃなくて、あれもう本当に有罪なの。国民の皆さんの苦しみを分かち合うために、我々も歳費をカットしました。っていうふうに、言ったら、だから皆さんも給付金なしで耐えて下さいっていう、だからそのためですよ。マズイの、マズイの。

山路:野党にもかなりガッカリしましたけどね、今回は。

小飼:いや本当にガックシきたね、ガックシきたね。

山路:それにしても給付金の仕組みとか考えた人は、フリーランスとか、そのあるいは中小企業とかのとこで、1度も働いたことがないだろうという気がするんですけど。

小飼:いや、だから本当に何を守りたいのかっていうのが、はっきりしてないのね。だから一層、自分らの地位を守りたいという方がせいせいするよね。

山路:もう、そうはっきり言ってくれたほうがわかりやすいって。

小飼:なんだったっけ? あの北方四島に行って、酔っ払って帰って来て除名された奴。

山路:ああええと、名前ど忘れしたな。

小飼:なんとか穂高だったっけな?

山路:ああ、はいはい。

小飼:あれはだから、そこの意味では清々しいね。何もせず、歳費入金がきておいしいって言ってるから。

「今月だけゼロにする方法を考えればいい」(コメント)

山路:いや、その通りなんですよ。今出てる給付金の条件って、前年同月で比べて、50%以下になったやつをやればいいだけだから。

小飼:日本だと3月末日におくところが多いんですけども、今年の売上を増やし過ぎたくないから、その売上来月に回して貰えませんか、みたいな、僕もしょっちゅうやってましたよ。

山路:これなんて、一言言ったらすむ話やろうって、たぶん皆協力してくれますよね、それだけのことは。

小飼:そうなんですよ、そうなんですよ。

山路:はっきり言って、フリーランスやってる人とか、そういう小規模な事業者だったら、それくらいの知恵は皆まわるから。

小飼:そういう人を助けたいんじゃないんですよね。とにかく皆、家に留めたいわけですよね。だから、それであれば1番、うちに留まれない人にもお金を渡すようにしなきゃいけないわけなんですよ。だからこういう制度を用意したから、ぜひ申し込んで下さい、では駄目なんですよ。もう押し付けるくらいじゃないと。

山路:うんうん。いらねえと言っても、送りつけるくらいの。

小飼:そう、だから財布にねじ込むくらいでないと、駄目なの。

山路:それで家にいろよという。

小飼:そう。

山路:うーん。というところでベーシックインカムの話になってくるのかなと。