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小飼弾の論弾 #171「BLMで揺れるアメリカと、香港で揺れる中国」
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小飼弾の論弾 #171「BLMで揺れるアメリカと、香港で揺れる中国」

2020-08-03 07:00

     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2020年06月9日(火)配信その2をお届けします。

     次回は、2020年8月4日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2020/06/09配信のハイライト(その2)

    • BLMとコロナの関係とアメリカの警察組織について
    • 社会とSNS企業、BLMの「今のアメリカをどうにかしろ」
    • 香港をめぐる「なぜ国家安全法を今?」と国際情勢
    • 「もう有人宇宙飛行もたいしたことない」と宇宙ビジネスの今後

    BLMとコロナの関係とアメリカの警察組織について

    山路:じゃあ、さっそく全米の話からいきましょうか。この全米デモ、凄いことになってますよね。

    小飼:何と言えばいいのかな、こういうのが非線形現象というのでしょうか、バタフライ・エフェクトというのでしょうか。というのもBlack Lives Matterというのは、あれなんです……。

    山路:黒人の生命も重要という意味の標語ですよね。

    小飼:今回が初めてではないし、こう言うのも何だけども、アメリカUSAというところはけっこう野蛮なところなので、1週間に1遍くらいは、そのタグが、流石に1週間に1遍というのはないかな。トレンドに入る程度には根付いた、すでに根付いてた言葉なんですよ、Black Lives Matterというのは。

    山路:あと暴動も時々こういうふうな、黒人が撃たれてみたいな話というのは何年かに1回必ずあって。

    小飼:いやもっと頻度高いですよ。救急救命士が誤射されて死んじゃったというのは、まだ半年経ってないはず。

    山路:黒人の大人の1000人に1人は警官に、黒人の死亡原因として警官に撃たれて死ぬっていうのが、5位か6位くらいにきてた。

    小飼:警官ではなくって、殺されて死ぬというのに関しては、確か20代から50代の黒人男性の死因トップだった筈です。

    山路:へえ。

    小飼:まあ黒人、だからじつは黒人という言い方がいいのか、アフリカ系アメリカ人がいいのかっていうのは、そこもまだ揺らぎがあるんですけども、まぁざっくり自分をアフリカ系アメリカ人と、ここではAfrican Americanという、要はCensusって何て言ったっけ? 日本語で。

    山路:国勢調査。

    小飼:そうそう、国勢調査に書いてある通りの項目で、確か12%とかそんな感じなんですよね。ざっくり8人に1人。何ですけれども、これが刑務所人口になると半分が。いやもう明らかにunevenなわけですよね。

    山路:さっきコメントであったように、そうやって犯罪率が高いのは、また事実でもあるんですけども、結局、犯罪率が高いふうに追いやられてしまう社会の仕組みにあるっていうところが、けっこうこのデモなんかの言いたいことにあるわけですよね。

    小飼:まぁそうなんですね。

    山路:NHKなんかのTweetもちょっと炎上してたりとかして、「Mr.シップ」、NHKがやったコンテンツとしてはえらい荒っぽい雑なTweetだなと思ったんですけど。

    小飼:雑というか……。

    山路:うん、もちろん賃金格差とかそういうのがあるのは理由だけど、べつにそれだけじゃないというか、今回のその発端というのはそういうとこじゃないだろうというところはあるんですけども。

    小飼:これが全米どころか全世界に広がったというのは、コロナウイルスによる外出制限というのがあって、それで抑圧されてたのが、これで撥ねたというのは凄いあるとは思います。だから前にも言ったように、初めてではないんですよ。もう凄い嫌な言い方をすると風物詩化するくらいには、よく見かけるタグだったんですよね。Black Lives Matterというのは。
     何だけど、これがまあ実際の行動に出たというのは、やっぱりロックダウンというのか、外出制限がずっと続いていたのは大きいと思いますよ。ちょくちょく、せっかく外出制限してたのに、まだね落ち着いてもいないのに街に繰り出すなんてとんでもないという意見もありますけど、だからこそ出たっていう。抑えつけられてたからこそ出てしまったと。

    山路:まぁ向こうの、何というか外出制限て、日本の自粛なんかよりもぜんぜん厳しかったわけですしね。

    小飼:のもありますしね。でもアメリカは特に、たとえばイタリア程には厳しいところはなかった筈です。というよりも、そこまではアメリカでは無理だという、それでも日本よりも厳しいロックダウンをやってたわけですよね、たとえばニューヨークシティとか。

    「弾さんもいろいろあった?」(コメント)

    山路:っていうのは、これはアジア人差別とかっていうことですかね?

    小飼:その意味でBerkeleyというのはなかなか特殊なところでして、まずマジョリティというのが、僕が学生だった時代で既に存在しなかった。

    山路:大学内ではっていう意味?

    小飼:そう、だからいわゆる白人と、いわゆるアジア人の比率というのが4対4くらいで、残り2割を黒人やネイティブアメリカンが占めるという。カリフォルニア州というのは黒人の割合がじつは少ないです。全米平均よりも6%くらいだったんじゃないかな。

    山路:はあ、じゃあ大学のほうが黒人が比率的には多くなってる? そのカリフォルニア州の人口に比べて。

    小飼:いや、でもないな、affirmative action(積極的格差是正措置)とかそういうのがあって少し多い、ちょっと多いくらいかな、それでもヒスパニックとかに比べると、まぁ目立たないというのか、それでも普通には少なくとも10人に1人くらいはいるわけですよね。

    山路:そうか大学っていうのはまたアメリカの平均的な姿とは、ちょっと違うところはありますね。

    小飼:違うところはあって。

    山路:特に西海岸は。

    小飼:特にその中でもBerkeley(バークリー)は、現地の人からすれば、あのBerkeleyなんですよ、人民共和国と呼ばれてましたからね。People’s Repubulic of Berkeleyと呼ばれてましたからね。

    山路:ヤードポンド法死守するしって書いてあったりとか、何かいろいろ凄い何か、アハハ

    小飼:ちゃんとメートル法通じました。そこは公立の大学としては理系No.1だけのことはあって、普通にメートル法は通じます。そこは有り難かったです。Berkeleyにいたからといって米国のことがちゃんとわかるというつもりはぜんぜんないです。
     が、あれなんですよね、Berkeleyのお隣がOakland(オークランド)で、Oaklandは全米の中ではとても黒人が多いところで、治安も悪いと言われてたんですけれども、学校以外のいろいろなことというのは、わりとOaklandに行ってやることが、近場ですしね、多くて。だから健康保険の事務とかは、なぜかOaklandに行ってやってましたね。
     Oaklandといえば、たぶん野球が好きな人はあれです、アスレチックスの本拠地がある、あった? 今、何処なんだ? 僕がいた時にSan Francisco Giantsと、Oakland A’s(オークランド・エイズ)がワールドシリーズで戦ってて、その最中に地震があったという、まぁそれは置いといて。

    山路:アハハ、凄い歴史を感じますね。

    小飼:今もOaklandに、そう、何だっけ? 移動したやつ、ありがとうございます。僕野球ぜんぜん詳しくないので。詳しくないけど、やたらうるさかったよ、あの時は。

    山路:うるさかったっていうのは?

    小飼:エクスキュースに対して、ノーと言ったのは飛行機の中です。よく覚えてる、よく覚えてる。

    山路:全米暴動なんか、いろいろなこと凄いことを引き起こしてますよね。

    小飼:でもこういうデモがあれば、絶対、絶対デモるところでもあった。

    山路:ミネアポリスでは警察を解体するみたいな話まで出てる。

    小飼:解体するというのか、新しい警察を作るみたいなことを言っている。law enforcement(法執行機関)、まあ要は警察とかポリスとかシェリフとか、そういった組織なんですが、アメリカの場合は本当に地方自治がキツいので、それはその地方自治体が持っているんですよね。

    山路:地方自治体の意向でそういう警察署の解体なんかも、現実的に出来る?

    小飼:いや、どころかバークリーはちゃんとバークリーにキャンパス内警察というのか、キャンパスポリスというのを持ってましたね。

    山路:はあ。じゃあそういう警察もちゃんと逮捕権とかあったり。

    小飼:あります、はい。あります、はい。
     よく州境を越えたら、追っかけられないとかあるじゃないですか。その反省があってFBIとかも出来たわけなんですけども、そういうFBIとかはもう当然地元の警察に嫌われるわけです。よくアメリカの映画に描かれてる、それは事実でした。

    「州兵と警察は1枚岩ですか?」(コメント)

    小飼:いや1枚岩でない、だから本当にその辺のところ、こう言っちゃ何ですけども、ものすごい乱暴な言い方をすると、それぞれの自警団が勝手に警察を名乗ってるんじゃねという。

    山路:アハハ、それは乱暴な言い方だな。ええ? そういうレベルなんだ。

    小飼:そういうレベルです。

    山路:じゃあミネアポリス警察とかが解体とか言ってもぜんぜんおかしくないような話なんだな。

    小飼:うんそう、別のlaw enforcementが来るだけだという。

    山路:へえ。

    小飼:無駄すごい多いんですよ。無駄すごい多いんですけども、その辺のところというのは、もうあのセカンド……、要は憲法修正第2条並に、銃を持つ権利並みにうるさいところがあるので、

    山路:これしかし本当に州越えたら、結局それはFBIの仕事になるわけなんですよね。

    小飼:そういうことです。だから何だかんだ言って、連邦政府の権限というのは、年々強くはなってます。年々強くはなってるんだけども、日本の常識で考えたらアカンです。

    山路:これ、何か弾さんの皮膚感覚的には今回の全米デモって、どのくらいまで広がるとか思います? 何か皮膚感覚的なところでいうと。

    小飼:とりあえず11月までは、プスプスと完全に鎮火するということはないんじゃないでしょうかね。
     最初に真っ先に思い出したのは、1991年でしたっけ? 90年でしたっけ?(編注:1991年3月) (ロサンゼルス暴動の)ロドニー・キングというやはり黒人が逮捕される際に、警察に殴る蹴る、まあはっきり言って、いくら何でもやりすぎだという暴行を受けて、それをカメラで捉えられてたという。

    山路:何か覚えがありますね。

    小飼:その時のこと……

    「すみません、よくわかりません。」(Siri音声)

    小飼:よくわからないのは、よーくわかったよ。
     警察官たちも裁判に掛けられるんですけども、陪審員裁判で無罪になっちゃうんですね。その無罪がきっかけで暴動になりましたね。なんですけれども、その時にもロサンゼルス以外にも、拡がったは拡がったんですけども、今回みたいなことにはなりませんでしたね。1つにはロドニー・キングは死にはしなかったと。全く潔白だというわけでもなかったんですよね。まぁでもまあ酷い暴行を受けたと、警察に。

    山路:今回のはまた色んな要素が絡まってきて。

    小飼:うん、色んな要素が絡まってきて。

    山路:そのコロナとか経済とか大統領選とか。

    小飼:だからその辺の背景が大きいと思います。だからジョージ・フロイドさんが特に酷い目に遭ったというわけではないんですよね。こういう言い方、適切ではないんですけど、他に言いがようないので言うと、他にいくらでも酷い目に遭ってるわけですよね。

    山路:コップの表面張力を超えちゃた的な感じですよね。

    小飼:ジョギングしてるだけで撃たれるとかね。

    山路:あれ映像出てきて凄いですよね。

    小飼:玩具の拳銃持ってた12歳の子が射殺されるとか、だから、もっと酷いのはいっぱいあるんですけど、今回みたいなデモにはならなかったといのは、やっぱり外出禁止みたいな、全国民が抑えつけられるという状況が、その時にはならなかった。だからボヤにはなってても、草が十分水を吸ってたので延焼はしなかったと。でも今は本当にカラッカラの状態なわけですよね。

    社会とSNS企業、BLMの「今のアメリカをどうにかしろ」

    山路:これたぶん、大きく今回の全米暴動とかにも関係があるのが、SNSとの関係ですよね。

    小飼:全米どころか全世界になったのはSNS、Twitterなしにはありえないですね。

    山路:え? トランプがTweetしたことに関して、Twitterが「この情報にはちゃんと読まないと間違っている可能性がある」といった情報をつけている(笑)

    小飼:何を今さら感しかないですね。

    山路:ああ、Twitterに対して。

    小飼:そうそう、やるんだったら最初からやれよという。

     
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