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小飼弾の論弾 #277 「米大学のガザ戦争抗議デモ、AIでDNAの構造予測が可能に、私たちはテクノ封建制の時代に生きている」
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小飼弾の論弾 #277 「米大学のガザ戦争抗議デモ、AIでDNAの構造予測が可能に、私たちはテクノ封建制の時代に生きている」

2024-05-21 07:00

     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2024年5月14日(火)配信のテキストをお届けします。

     次回は、2024年5月28日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2024/05/14配信のハイライト

    • 「昔ほど太陽活動に影響される電磁波を使ってない」と「クラウドはコストアップ」
    • 新型iPad ProとGPT-4o発表
    • 「10兆円投資」と「円安と投資」
    • 「米大学の抗議活動について」と視聴者質問「好きなバイオSF」
    • ビッグテックと「テクノ封建制」
    • 「薬を使うオランウータン」と「革新的防音カーテン」「ブラックホールからの眺めとは」

    「昔ほど太陽活動に影響される電磁波を使ってない」と「クラウドはコストアップ」

    【00:00:00】

    山路:ということで、時事ニュースからいきたいんですけども、

    山路:最近話題の、昨日、一昨日話題になった磁気嵐と言えばいいのかな?

    小飼:あー、11年に一遍、はい。

    山路:日本でもオーロラが見られるとか、栃木でも見られたという話を聞いたんですけど。

    小飼:いや、けっこうすごいな。北海道で赤くなったとかって、まぁでも、けっこう平安時代のジャーナルにも、京都でも見られたみたいな記述がありますから。

    山路:なんか昔の人とかって、けっこう太陽の黒点、直に見て写してたりするんですよね(笑)。目、大丈夫なのかよっていう。

    小飼:いや、でもいちおうすりガラスぐらいはあったんじゃないかなと。少なくともガリレオ・ガリレイはすりガラスを通して観察したというか。

    山路:今回、黒点の活動が、黒点がすごい増えたと言えばいいのかな?

    小飼:そうです。黒点というのは活動期に増えて、非活動期に減るものではありますね。

    山路:で、いろいろ無線とかもトラブルあるんじゃないかって言われてたけど、思ったほどではなかったっていう。

    小飼:そうですね、昔ほど太陽活動に左右される周波数帯の電磁波を通信に使ってない、というのが一番の理由です。

    山路:短波とか、そういう感じ?

    小飼:そもそも大気通ってないですし、今の人類のコミュニケーションのほとんどの部分というのは。光ファイバーですし、地上とか海底ですし。残った部分というのが衛星なんですけれども、UHFよりもさらに短い波長を使っているのであんまり電離層、関係ないんですよね。

    山路:なるほど、ちゃんとそういうトラブルが起こらなかったのも理由があったわけなんですね。

    小飼:ただトラブルゼロといかないのが、GPSの周波数が少し影響を受けるんですよね。遅延するんだったっけな。

    山路:じゃあちょっとそれで、もしかしたら案内ナビとかに狂いが出たりとかはあったかもしれないと。

    小飼:そうそう、はあったかもしれない。

    山路:よく言われる、太陽の活動って地球温暖化とか、あるいは逆に氷河期みたいな寒くなるほう、寒冷化みたいなほうにいくとか、そういうことの影響ってあったりなかったりするんですか?

    小飼:超長期では絶対にあるんです。超長期ではね。100万年とか1000万年とか1億年とか、そういう単位ではあるんですよ。コンスタントに明るくなるというのはもうわかってるんです。なんですけれども、たかだか1000年、100年、10年みたいな単位の場合というのは、太陽は11年単位で強くなったり弱くなったりしているというのもわかっているんですけれども、じつはその程度では地球温暖化とは関係ないというのもわかってきているんですよね。

    山路:じゃあ、太陽からの出力が多少小さくなろうが関係ないよっていう。

    小飼:そうなんです。関係ないという。

    山路:その地球側の大気の問題なんだって。

    小飼:地球側の大気の組成の問題なんだと。

    山路:あれ、昔、江戸時代でしたっけ、なんたら極小期、

    小飼:マウンダー極小期というのがありまして。すごい寒くて、江戸時代の人たちが一回り小さくて、みたいな。

    山路:あれは太陽の影響じゃなかったんですか?

    小飼:どうも地球側らしいですね。

    山路:なるほど。そういう意味でいうと、地球温暖化は太陽が原因じゃないよということがどんどん立証されてきているという。

    小飼:どうも悪いのは、ひたすら人類らしい。ひたすら固定される以上の炭素、具体的には炭酸ガスを大気に放出しているというのが理由らしい。だから単なる理論ではなくて、実測データとしても出てき始めたという。

    山路:これ、あと本当に無線なんかにも、GPSとかでは影響があったかもしれないんだけど、大した影響がなかったということは、本当に太陽が今後どうにかなるトラブルというのはあんまり人類には関係なさそう?

    小飼:いや、大いに、だってエネルギーの源なので、太陽に何かあった場合というのは地球に影響が来ないわけがないんですけれども。それでも11年周期のフラクチエーションというのは本当に些細なもので。

    山路:100年とか200年のスパンで太陽自体のトラブルで困るようなことっていうのは何か起こりそうなことってあるんですか?

    小飼:それはさすがにわからないね。ある時、マイクロブラックホールを食って太陽活動というのが急激に変わるという可能性というのも、ゼロではないんです。

    山路:なんかあったよな、それ。そういうやつありましたよね。でも、じゃあ今回のことに関して言えば、本当に大過なく、みんなオーロラを楽しんだだけで済んだと言っちゃっていいのかね?

    小飼:はい。一昔前だと本当に通信途絶とか、もっとクリティカルな問題が出たんですけれども、今や人類の通信って。ラジオネームとか持っている人を除くと、コミュニケーションに影響が出なくなっちゃったんですよね。

    「80年代に太陽フレアでアメリカ停電なかったっけ?」(コメント)

    小飼:ありました。

    山路:それもやっぱり弾さんがさっき言ったような、

    小飼:いや、だから電力グリッドには影響があり得ますね。

    山路:電力グリッドに影響があるのは、電磁コイル的なそういう話?

    小飼:ソーラーフレアですね。太陽から荷電粒子がドバッと来るんですね。これは太陽の活動期のほうがよりよく起こるイベントではあるんですけれども。

    山路:じゃあ今回、グリッドってあんまトラブルの話は出てないですよね。

    小飼:今のところは。

    山路:対策も取られているってことなのかな?

    小飼:ある程度は。でも、本当に来たらやっぱり来る、来る時には来るんですよ(笑)。

    山路:そうか。じゃあたまたま運が良かったっていう(笑)。

    小飼:まぁそういうことですよね。でも昔と違って、今ソーラーフレアとかって観察してるんですよね。光よりは遅いので。ある程度は対策する時間というのも。

    山路:8分くらい?

    小飼:そうですね。いや、もっとある。8分というのは、

    山路:光?

    小飼:そうそう。光の速度の場合であって。それよりは遅いので、ソーラーフレアは。だから地球にドーンとなるのが。

    山路:なるほどね。じゃあまぁとりあえずは。ただ宇宙ステーションにいる人はけっこう気を付けなきゃいけないのか?

    小飼:気を付けなきゃいけないし、だからちゃんと避難してるはずです。

    山路:なんかね、『フォー・オール・マンカインド』のドラマとかでもけっこうその辺描かれてましたけれども。ちょっと宇宙ネタ出たところで、これもついでにやっときましょうかね。これ、宇宙太陽光発電。スターシップがコスト下がったら、宇宙太陽光発電できるかもよって言ってるスタートアップが。

    小飼:採算が合うかもねって言ってるんだけど、僕はどうかなと。スターシップ程度ではちょっと苦しいんじゃないかなと思う。確か、太陽発電衛星の損益分岐点って、ISSに積んでるソーラーパネルとかを基準にした場合というのは、コストを100分の1くらいに下げなければいけない。で、たぶんスターシップで見込めるコスト低減効果っていうのは、まだ10分の1くらいのオーダーなんですよ。

    山路:そうか。じゃあ、それはもうロケットではいかにしてもそれ以下には、

    小飼:もう少し厳密に言うと、化学ロケットですよね。

    山路:それこそ、よく話題に出る宇宙エレベーターとか、そういうレベルにならないとっていう。

    小飼:そうですね。

    山路:なんかその化学ロケットと宇宙エレベーターの間のちょうどいい感じのやつって、なかなかないんですかね。

    小飼:だからスターシップでもしできるのであれば、宇宙エレベーターを建造してほしいですよね。この場合、建造というのか、建築というのか、敷設というのか。

    山路:まぁまだ材質もできてないからなあ。まぁそこのところはなかなか、私らが生きている間にできるのかどうかっていうのはわからないですけど。

    「宇宙マイニングもできること?」(コメント)

    小飼:まぁそういうことです。

    山路:しかし宇宙に衛星打ち上げてやることがマイニングかよっていうのは、なんか人類の(笑)なんていうんですかね、技術の無駄遣いだってすごいなぁみたいなところはありますけども。じゃあですね、ちょっとITのほうの話に行きますかねと。まず、やらかしのやつからいっておきましょうか。これ、かなりびっくりしたんですけれども、Googleクラウドですよ、天下の。天下のGoogleクラウドが特大のやらかしをしたという。

    小飼:ああ、間違ってアカウント止めちゃった、止めちゃったんじゃなくて消しちゃったんだっけ?

    山路:アカウントを誤削除って書いてありますね。

    小飼:誤削除って書いてありますね。

    山路:しかも年金機構だから、日本で言ったら、

    小飼:GPIF、

    山路:っていうレベルの話ですよね、それを。そのアカウント、今回の場合バックアップが別のクラウドにあったから、いちおう復帰はできたんだけども、同じクラウド、Googleクラウド上の予備なんかも削除してしまったという。

    小飼:削除っていうのが怖いな。

    山路:こんなことあんのって、エンジニア的にいかがですかと。ネットワークのメンテナンスも、ネットワーク管理者もやってた弾さんから見てどうですか(笑)?

    小飼:いや、しょせん、間違ってポチるだけでこうなりますよ。

    山路:ああ。なんていうのか、多くの人の生活ってめっちゃ危ういところに乗ってんだなっていう感じが(笑)。つまり昔だったら、公務員がどんなにやらかしても年金記録、全部一遍に消すなんてことは不可能だったわけじゃないですか。

    小飼:え、そう?

    山路:そんなことないですか(笑)。つまり、できちゃうって(笑)?

    小飼:そう? いや、だって、『この世界の片隅に』でも、

    山路:焼いてたなあ。

    小飼:青写真、いっぱい焼いてたじゃん。あれ復活できる?

    山路:ああ、そうか。ぜんぜん変わってないっちゃ、

    小飼:もう、削除はそんな難しくない、昔から。今はもっと簡単だけど、昔だってそんなに難しかったかっていったらぜんぜん難しくない。難しいのはちゃんと保管しとくこと。
     だからこの年金機構は本当に賢明なことに、Googleを過剰に信頼してなかったの。ちゃんと自分らでデータをバックアップしてたので。だから、それをリストアした結果、全システムをリストアできたという。

    山路:やっぱり関係者が優秀だったという。

    小飼:うん、というのか正しかったのね。当然のことを、当然のように実装にしたわけね。で、本邦に話をもう一度戻すと、Government Cloudってそういうふうになってる?

    山路:うーん。別サービスのほうにもバックアップ取っとくみたいな運用とかができるのかっていうのは。

    小飼:うん。というのか、バックアップを必須にしてる? というのか、要は違うサービスプロバイダー上で分離バックアップしてるか。AWSの基盤を、AWSでバックアップしてるのも、それバックアップしたことにならないのね、今回の事件見てもわかるように。

    山路:これってしかし、素人から見ても思うんですけど、これって相当コストがかかることですよね。

    小飼:そうですよ。だからそもそもクラウドっていうふうに言った時点で、コストって上がるんですよ。コンビニの飯が高くつくのと同じような理屈。コンビニエントということは、コンビニエンスに金払わなきゃいけないんですよ。実際に金払わされてるんですよ。

    山路:しかも、今回の場合、Googleクラウドとは別のサービスに保存してたわけだから、それってアーキテクチャ的にも違うところだから、エンジニア的にもより大変にはなりますよね。

    小飼:えーとね、そうでもない。要はKubernetesを使っていれば、AWSにあったものというのをGCPにもガーッと持ってきたりとか、あるいはさくらにガーッと持ってきたりっていうのは、前よりはずっとしやすくはなってるの。でも、それを実際にやってるかどうかというのは別物。

    山路:これ、本当になんていうのか、政府関係者に、そのITスキルのあるやつをきちんと雇えっていう。

    小飼:政府関係者でなくて、要はクラウドを使う人というのは、いつクラウドプロバイダーがご乱心になっても、その場合のダメージというのをちゃんとアセスメントできるか、というところが問われてるわけです。

    山路:いやいやいや。なんかますます日本のデジタル、不安になってくるんですけれども(笑)。

    小飼:いや、だから、イヤだったら自分でやれっていうことなんですよ。本当に、ありとあらゆるサービスの原点ですよね。気に食わなければ、自分でやれと。

    山路:それがわかってんのかどうかっていうのは、なんか怖いとこですよね、本当に。

    小飼:『美味しんぼ』の親子の話ですよ。いや、気に食わなかったら、てめえで用意しろというね。

    新型iPad ProとGPT-4o発表

    【00:17:33】

    山路:もう一つ、でかい企業のやらかし。これなんかちょっと笑っちゃうやらかしですけれども。

    小飼:あははは。

    山路:あれ、弾さん見ました? 広告CM。

    小飼:まぁ下品なCMでしたな。でも下品なCMはこれが初めてなわけでもないわけで。けれども、久々にやらかした感はある。

    山路:MacとPC君でしたっけ、あれ? なんだっけ? なんかありましたよね。

    小飼:でも、それを言ったらさ、有名な1984年のMacのCMもさ、品がいいかって言ったらそんなことはぜんぜんない。

    山路:ある意味、敵を引きずり落とす系のやつですもんね。

    小飼:ただ、これで一つやっちゃったなと思うのは、iPadって敵なしプロダクトなんですよ。本当、敵いないの。

    山路:まぁ同じジャンルの製品ないですもんね。

    小飼:あるはあるというのか、いちおうAndroidのタブレットもあるはあるんだけど。

    山路:シェアが全く違うというか。

    小飼:ぜんぜん勝負になってない。まだChromeOSのほうがいい勝負をしているという。

    山路:敵なしなのに、クリエイターを敵に回したという(笑)。

    小飼:そうなの。そうなの。

    山路:なんの必要もない(笑)、自責点というか。

    小飼:というのか、CMがいらないプロダクトなんだよね、本当に。

    「ドロタブは死んだ」(コメント)
    「怒ってるのは日本人だけじゃないの?」(コメント)

    山路:ってあるけど、そうでもなかったみたいですね。

    小飼:そうでもなかった。そうでもなかった。ちゃんと世界中の皆さんが憤ってくれたというのか、時差の関係で日本の皆さんが最初にあれを目にしたというのが真相らしい。

    山路:まぁ見て気持ちのいいCMではなかったですもんね。もっと他の表現はあったやろうと思いましたし。

    小飼:べつに表現、いやグロいCMをいくら出してくれてもいいんだけれども。いや、でもAppleの立場になると、なんで? というのは。

    山路:で、まぁちょっとミソついちゃったiPad Proだけれども、M4が搭載されましたと。

    小飼:はぁー。

    山路:いやいや、そのため息は何についてのため息なの、一体(笑)?

     
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