「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2025年06月17日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2025年07月08日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2025/06/17配信のハイライト
- 視聴者質問「PCでの動画再生が重い」とWWDC感想「Apple Vista?」
- 「インドの人力AI」と「メイドインアメリカのトランプ携帯」
- 「郵政の独占事業」と「運送業としては3番手」
- 視聴者質問「病院業務とAI」「IUT論と突破口」
- 「イラン政権転覆は?」と「イスラエルは非人道的に人命尊重」
- 「カリフォルニア独立の可能性」とイスラエルの「ゾッとした話」
視聴者質問「PCでの動画再生が重い」とWWDC感想「Apple Vista?」
山路:先に、視聴者からの質問で一ついただいているので、それに答えてから。この方、Windowsのノートパソコンを使用しているんですけれども、
小飼:Windows何?
山路:Windows11で、
小飼:もう11になっている、
「これでニコ生をリアルタイム視聴すると非常に動作が重く、動画も音声も途切れ途切れになってしまいます。ChromeからFirefoxに切り替えても、ダメでした。最後の手段でPCをリセットしても、変わらずでした。タブレットではリアルタイムでもサクサク視聴できるので、ネットワークの問題ではなさそうです、という。ちなみにアーカイブ視聴では問題ありません。」(質問)
小飼:それはですね、もうはっきり言ってCPUパワーというよりも、CPUスペックの問題じゃないかな、と思います。どういうことかっていうと、今時のCPUというのは、こういうノートパソコンにしろ、タブレットにしろ、スマートフォンにしろ、動画専用のデコーダーを、デコーディングエンジンを積んでる場合が多いんですよ。でも、古い機種の場合、それがなかったりするんです。そういった場合は、ソフトウェアでやらざるを得ず、ソフトウェアでやる場合というのは、もう桁一つぐらい、
山路:負担がかかっちゃう、
小飼:そうそうそう、負荷がかかっちゃうということで。タブレットだと平気だけど、PCだとカクカクするっていうのはむしろ当たり前な感じがします。
山路:タブレットのほうが動画専用のそういう再生のチップも持ってたりするし。
小飼:そうです。だからiPadでヌルヌル動くというのは、PCでヌルヌル動くというのの保証には全くならなくて。PCでカクカクしてるものというのはiPadでもヌルヌルっていうのはものすごいよくある話なので。だから、具体的に第何世代のPCで、
山路:この方はIntelのCore i5って書いてありますね。
小飼:いや、だからi5、第何世代?
山路:なるほど。で、とりあえず配信スタッフから対処法として、このニコ生の視聴画面のところにこの歯車型の設定アイコンあると思うんですけれども、それを押していただいて、そこで画質を落としていただくといいんではないかなという。で、それで「安定重視」にしてですね。
小飼:(コメントを見ながら)えっとですね、当たり外れではなくて、全世代外れだった可能性というのも、否定できないんですよね。特に特にWindows11プリンストールというのは、プリンストールでこれは外れなく動くというのは、本当にAppleの製品か、ブリンストールってね、どれだろうな、Microsoft、あるあるある、そうだね、Surfaceはちゃんとできると思う、Surfaceはちゃんとできると思う。そうそう、当時のSurface Proとかを買ってれば、まともなハードウェアデコーダーを積んでる公算というのは高いですね。
山路:まぁとりあえず対象としては画質を落とすってことと、通信モードで「低遅延重視」と「安定性重視」の2つがあるんで、それを「安定性重視」にする、
小飼:あのね、それを選ばせる時点でもうダメなの(笑)、
山路:自動でやれよと(笑)、
小飼:たとえばiPhoneとかiPadとか、そんな設定ないでしょ。そんな設定ないけれども、ヌルヌル再生するじゃん。そういうことなんです(笑)、すいません。だからそもそもWindows11 プリインストールという時点で、その辺のクオリティの補償というのは無理(笑)。ごめん! ごめん! ごめん、だけれども、それはうーんそれは買っちゃったあなたが……。
山路:(笑)そうですね、じゃあここでなんかMacのことに言及したついでに、Macの話いっちゃいますか(笑)。
とりあえず、先ほど言った画質設定と通信モード、あとスタッフからのアドバイスによると、タイムラインを手動で30秒ほど巻き戻して、随時追っかけ再生状態にするというので、
小飼:まぁ要するにあれでしょ、動画バッファをキャッシュしとくということで。でも、それはどっちかっていうと回線の問題なので。だからいくら回線が良くても、デコーダーがしょぼいと、カクカクってなっちゃうんですよ。
山路:しかしまぁなあ、本当、これわりと買ったばっかという、去年買ったっていうのは確かにがっくりくるものはありますね。
小飼:ただがっくりするようなハードウェアを世間ではまだ普通に売ってますから。だから、そこは皆さん憤るべきところだと思いますよ。PCだから、たとえばスマホとかタブレットよりも動画再生がスムーズにいくとは思わないでください、逆です。動画再生に限れば、一番鉄板なのはiPadです。USB-Cになる前の、
山路:Lightningポート?
小飼:そうそう、Lightningポートの3世代前のやつでも、4Kのやつをまともに。
山路:そうか、それだけ、当時はAppleシリコンって言ってなかったと思うけど、Aシリーズとか、けっこう強力だったんだ。
小飼:うん、だからもう動画のデコードはハードウェアにちゃんと専用の回路があって、それをAPIで叩くようになってたんで。いや、だからiPadで普通人がまともに見れるからって、それがWindowsPCでまともに見れるというふうには限らないっていうことですよね。
「今はまだ調子いいです」(コメント)
山路:質問者の方ですね。
「弾さんに言われたからかな」(コメント)
山路:って(笑)、
小飼:うん、ごめんなさい、そういうところで差異があってはいけないんですよね。
山路:じゃあちょいと、さっき話も出た絡みでMacの話もちょっと軽くしちゃいましょうかね。
小飼:「すべてが26になる」って話ですか。
山路:そうそうそう。今回のWWDCでOSが「Liquid Glass」、ガラス風のデザインになるっていうやつなんですけど、
小飼:えーとさ、それWindowsで聞いたことがあるよね、
山路:あるある、どこかで聞いたような、
小飼:どこかで聞いた話ですよね、
山路:Windows Vistaですよね。
小飼:そうだっけ、そんな昔なんだ。Vistaって何年前だったっけ?
山路:20かな、ゼロ年代ですよね。
小飼:うちの娘たち、生まれてたかな。
山路:私もVista使いましたけど、半透明のデザイン自体は良かったと思うんですけど、
小飼:やたら重かった記憶がある。
山路:ただそれって、半透明を当時のそのハードウェアで処理するのに無理があったというか、
小飼:いちおう条件は付けていて、一定以上のパフォーマンスを担保したGPUがインストールされているっていうのがデフォルトになっている、それがない場合っていうのは有効にならないっていうふうになってなかったか、
山路:あとはそのUIの設計がまずくて、半透明使っているのはいいんだけど、結局アクティブウィンドウがパッとわかんないとか、
小飼:そうそうそう、あれ、あれ、あれ(笑)。
山路:確かに下のウィンドウが見えるのって便利な時って多いんですよ。だけど、肝心のアクティブウィンドウがパッとわかんなかったりとか、そういうので私もかなりイラッとした覚えはありますね。
小飼:いや、その辺をすっきりさせたのがWindows7だったかな。
山路:そうですね。
小飼:7はけっこう、いろんなダメなWindows、ダメダメなWindowsとかありますけれども、あんまりダメじゃないWindowsでしたね。あれかな、たぶん名Windowsの中ではXPと比肩するぐらいまともなWindowsだったと思いますよ(笑)、7は。ちなみに一番ダメなやつはどっちかな、98か、MEか、どっちがダメなWindowsか。
山路:まぁMEじゃないですか(笑)、
小飼:MEだよな、
山路:あれって普通に動かないことが多かったんですよね。めちゃめちゃブルースクリーンが出た覚えがあるんだけど。
小飼:アプリを起動したと思ったら、リブートしてるんだよね(笑)。あれはなんかすげーな、一番Macが不安定、そうそうそう、OS Xの前の68Kの頃のMacの一番不安定な頃よりも不安定だった記憶があるね、MEは本当に。そもそもブラウザを起動するのにどうしたらいいのかっていうのが話題になってたぐらいだから。
山路:なんでしたっけ、え? スタートメニューとかから行くのがわかりづらかったとか、そういう話でしたっけ?
小飼:わかりづらいとかじゃなくて、クラッシュしちゃう。
山路:ああ、そういうことか。
小飼:大抵の人っていうのはリソースが足りなかったんだよね、メモリーが足りないとかさ。だからまず、24メガ、もうちょっとあれだっけ、24メガ、
山路:まぁずいぶんこう、今時のOS、それから比べたら進歩したもんですよとは思いますね。
小飼:これでWindowsはいいんだっていうふうになったのはXPだと思います。XPっていうのはじつは、中身がごっそり入れ替わったWindowsで。
山路:NT系のカーネルに変わったっていう、
小飼:そう、内部的な変化は本当に大文字で始まる、大文字のMで始まるMacOSとMacOS Xぐらい違うんですよ、中身は。
山路:Windows 2000とかその前に出てましたけど、Windows2000ってあんまり一般ユーザーにはなんかこう、思い切っては売らなかったんですよね。
小飼:企業向けの、
山路:企業向けでしたけど、一般向けのXPで中身がそれになったというか、
小飼:何が違ったかといったら、Alt+Control+Delを押してみればいい。それでリブートしますかっていうのが出てきたら2000で、リブートしちゃうやつがコンシューマー用です、XPとか。
「マジでMacに転向してよかった」(コメント)
小飼:でも今時のWindows、そんな不安定ではないけれども、もはやWindowsというOSは、OS自体そんな悪くないです。
山路:悪いのは何だ?
小飼:悪いハードウェアに乗っけて売られてるんですよね(笑)。何だったっけ? どこかのドンキホーテとかで売られてるやつとかね。
山路:まぁあれはわかってる人が買うようなところもありますけど(笑)、
小飼:だからギリギリこのハードウェア要件をパスしたものであれば、ブートしますよというやつで。もう少し余裕があるやつでないとダメなんですよ、ましてや初心者向けには。
山路:ただ本当にパソコンとかぜんぜんわかんないですよっていう人って、どれぐらいが必要なものかってわかんないですよね。
小飼:わかんないよね。そういう人たちはもう悪いことは言わない、タブレット買いましょう、iPad買いましょう。Macですら避けるべきだね。そういった人たちというのはもう、とりあえずiPadで。いや、とりあえずiPadもあれだよね、店でcellularはつけますか、つけませんかみたいなこと言われて「ああー!」ってなっちゃうんだよね。そういう人たちというのはやっぱり、iPhoneのデカいのにしときましょうと。これはでかいやつではないんですけども。iPhoneのでかいやつにしとけば、まず間違いはない。少なくともcellularはついてるし、Wi-Fiすらなくてもcellularはついてるし。
山路:まぁ確かにな(笑)。
「Windowsアップデートすると起動しなくなる」(コメント)
小飼:そうなんだよね、いまだにあるんだよね。
山路:そういうことあんのかー。
小飼:ただ今時のWindowsアップデートは起動しなくなった場合は、起動しなくなったというのを検知してロールバックしますから(笑)。ロールバックするのに30分くらいかかるというのが(笑)。
山路:しかし、結局それって、いろんなメーカーのやつで動かそうとするから、ですよね、結局。
小飼:いや、まさしくそのとおり。
山路:その微妙な差異に対応するのが、
小飼:そう、MicrosoftのSurfaceだけで動作確認するっていうのであれば、Mac並みに、あるいはそれ以上に安定したものになるとは思いますけれども。
山路:で、ひとしきりWindowsというか、Windowsパソコン腐したところで、macOSの、
小飼:べつに腐したわけではないよ、
山路:(笑)AppleのOSの話なんですけど、今回期待外れだっていう意見も多くて。
小飼:外れだというのか、何が新しくなったのかというのが、長年のマカーでもわかんないよね。いや、これVista、これはApple Vistaとか呼べばいいのに。
山路:(笑)ここのところで、WWDCやる前にみんなが期待してたのはAI機能とかが強化されるってことじゃなかったかと思うんですよね。それが、必ずしもChatGPTみたいなもんじゃなくても、もっとなんかこうAIを前面に出したような機能とかやってくるんかと思ったら、そうでもなかった。
小飼:あのね、前面に出さないほうがAppleらしいとは思うんだけど、だからっていって、こういう透明AIを売りつけるっていうのはどうなんだよ。
山路:これ、ちなみにAIに関してのAppleの戦略ってどう思います? これ、今月Google I/Oあったじゃないですか。
小飼:戦略というよりも、そんなものをユーザーに気にさせないというのがApple的には勝ちなんだよ。
山路:まぁそうなんだけど、WWDC自体は開発者向けの会議じゃないですか、
小飼:開発者向けですよね。だから、何を開発するんだよ、これ!
山路:アプリを半透明にしましたってなぁ、
小飼:ねえ! いや、それのアルファ値を変えさせるのとか、まぁ要するに透明度を変えさせるのとか、そういう話?
山路:これが、せめてそのOSの内部的なところでAIとかの機能をもっと開発者が呼び出して、こういうのを作れますよとか。まぁ一部は当然今回もありましたけど、
小飼:たぶんそれは、ワークショップでやるんだとは思います。だからいっぱいNSAIなんちゃらっていうAPIがいっぱい出て(※編注:macOSやiOSの源流はNeXTSTEPというOSであり、それを継承していることからmacOSやiOSのAPIは「NS」で始まるものが多い)、それを叩くことで何が起きるのがっていうのをドヤ顔で説明されるわけですよ、クパティーノ(※編注:Apple本社のある都市)で。
山路:いちおう、AIの機能を呼び出すAPIで呼び出すFoundation Modelっていうのが用意されてるんですけど、他のLLMに比べてそれ強力なんかい? っていうのはだいぶ疑問視されてるみたいですよね。
小飼:まぁそれはAPIからじゃわかりようがないからね。
山路:それをたとえばもっと強力なローカルLLMにもっと入れ替えて使えるとか、そういう発表があったら。
小飼:いやー、だから具体的にこういうLLMに対処させますっていうのが出て、そこで「Wow!」ていうのがない限りは「へー」で終わっちゃうんですよ。
山路:ちなみに今月頭にあったGoogle I/Oではみんなが「Wow!」みたいな話だったじゃないですか、
小飼:少なくとも、リアルタイムトランレーションとか、これは今までのAIでは無理だったなっていうのを実現してたっていうのをやってますよね。
山路:ねえ。そう考えると、OSなんかで使うAIに関しても、Googleが先んじていると言えるんでしょうか、まだそれはわからない?
小飼:そもそもOSでないやん。そもそもレイヤーが違うのよ。
山路:アプリケーションレベルの話と、
小飼:そうそう、AIのインターフェースっていうのはもっと本来上のものだし、OS関係ないわけです。たとえばもう本当にRed Hatとか、UbuntuとかもうべつにmacOSとかWindowsとか、あるいはAndroidとかと関係ないわけですよ。そうそう、Webアプリ、ブラウザさえあれば本来できる話ですし、じつはそれすらいらない。本当にコマンドラインインターフェースさえあればいいので、