安倍首相は靖国神社参拝にあたり、「二度と戦争の惨禍で人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓い、決意を伝えるためにこの日を選んだ」と説明し、「戦犯を崇拝する行為との誤解に基づく批判がある」「中国、韓国の人々の気持ちを傷つける考えはない」等と述べたが、全く理解不能である。終戦後、東京裁判によるA級戦犯が合祀されて以降は、天皇も靖国参拝を中止している。

首相は靖国参拝をしないことが、日本の首相の責務であり、アジア諸国に対する信頼の証しである。これは日中政府間においても領有権の棚上げとともに合意事項であるのは歴史的事実である。


安倍首相は傷つける気持ちがあるなしではなく、その行為そのものが大いに信頼関係を損なうことを歴史から学ばなければならない。


日中や日韓関係において、歴史認識や領有権に端を発する政治的な問題と経済、文化などを分けて考えようという機運が若干残されていたが、今回の参拝は大きく相手の信頼を失い、多方面に波及することは言うまでもない。また、日中、日韓関係は経済の成長戦略においても大きな意味があったが、それも微妙にならざるを得ない。


また、15万とも言われる中国における在留邦人に与える不安をどうやって安倍首相は払拭するのか。


私は政権の某閣僚から「国賊」と揶揄されたが、安倍首相のような個人の思いだけで、外交的な不安定を招き、日本の国益を損なう行為は、国に対する背信行為ではないのか。
                                  (鳩山友紀夫)