仲井真弘多沖縄県知事が辺野古の埋め立てに正式にゴーサインを出したことは、名護市の市民をはじめ大多数の沖縄県民の「普天間県外移設」の願いを踏みにじるもので、まことに残念である。もちろん、こうなったことについては、私が総理在任中に「県外」を掲げて真剣に模索をしながら挫折せざるを得なかったという意味で、私にも責任の一端があるわけだが、しかし私は、総理を退き、また議員を辞めた後も、県民の皆様の気持ちに沿って、あくまでも「県外」の可能性を追求すべく活動してきたし、これからもそうするつもりである。

 そのような立場から見て、今回の知事の決定がまことに不思議に思えるのは、「5年以内に普天間の運用停止」を主張しながら、それまでにはどう考えても辺野古の建設は9年半かそれ以上もかかってとうてい間に合わないから、「考え得る県外の可能性をすべて検討してほしい」としていることである。5年後までに県外移設が可能であるのなら、辺野古着工は必要ないと考えるのが自然なことではないだろうか。しかも安倍政権は、「5年以内」を確約しているわけではなく、「これから米国と交渉してみる」と言っているにすぎない。交渉したけれど駄目だったということになって、すべては元の木阿弥になってしまうのは目に見えている。

 結局、安倍政権は、力ずくで何が何でも辺野古建設を強行しようということである。その流れを止めるには、まずは1月の名護市長選で「辺野古NO!」の市民の意思をはっきりと示すことだろう。それでも安倍政権は強行に向かい、来年中にもこの問題は大きな山場を迎えることになるが、他方では、米財政難による海兵隊そのものの大幅削減案や、米政府・議会などでの「辺野古案は死んだ」という見方の広がりがあり、またハワイ、グアム・テニアンへの海兵隊丸ごと移転の要望も両州知事などから高まっている。辺野古建設の強行を回避し、本当の意味で「県外、国外」を実現するチャンスもまた高まっていることに注目したい。
                                          (鳩山友紀夫)