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おはようございます。
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連載第46回「松本零士先生のちょっとイイ話」
そんな思いでやってきた僕に、松本先生は、エンエンと人生訓を聞かせてくれる。
「早くメカの描き方を」と焦る僕も、そのとてつもない人生訓に心奪われてしまった。
あまりにスゴい内容のため、とても週刊アスキーには書けないので、ここで書く。
マンガ家への道は険しいなぁ。
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2016/06/24
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おはようございます。
今日は『解決!ズバッと』はお休み。
岡田斗司夫が、1995年から2001年に「テレビブロス」誌で連載していた『オタクの迷い道』から、セレクトしてお届けします。
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連載第46回「松本零士先生のちょっとイイ話」
週刊アスキーという雑誌の企画で「マンガ家入門」というのがある。
僕が高名なマンガ家の先生に弟子入りして、マンガの描き方を実際に教えてもらう、というものだ。
僕が高名なマンガ家の先生に弟子入りして、マンガの描き方を実際に教えてもらう、というものだ。
マンガ家にとっては迷惑な話かもしれないが、僕は張り切っている。
実は昔から、本当に昔からマンガ家になりたかったのだ。
実は昔から、本当に昔からマンガ家になりたかったのだ。
「マンガ家になりたい」というと、知り合いのマンガ家はみんな、好き勝手なことを言ってくれる。
いしかわじゅんなんか「いける、いける。岡田だったら半年でデビューできるよ」などと無責任に言う。
いしかわじゅんなんか「いける、いける。岡田だったら半年でデビューできるよ」などと無責任に言う。
江川達也にきくと「で、岡田さんはどの程度の絵が描きたいんですか?」「かわぐちかいじレベルになれれば、文句はないけど」と答えると「3世紀かかりますよ」と大爆笑されてしまった。
そんなわけで先日、松本零士先生のところへ弟子入りして来た。
高校の頃、松本メカに憧れて、何度もマネして描いたのが懐かしい。
僕も早く、あんなメカが描きたい。
あんなメーターが描きたい。
僕も早く、あんなメカが描きたい。
あんなメーターが描きたい。
そんな思いでやってきた僕に、松本先生は、エンエンと人生訓を聞かせてくれる。
「早くメカの描き方を」と焦る僕も、そのとてつもない人生訓に心奪われてしまった。
あまりにスゴい内容のため、とても週刊アスキーには書けないので、ここで書く。
●松本先生が使っているのは、すでに絶版になっているペン先。
「絶版と聞いた途端に、即決で買い占めに走った」と教えてくれた。
アシスタントを動員して、練馬区の文房具屋のペン先を、買い占めて廻ったのだそうだ。
アシスタントを動員して、練馬区の文房具屋のペン先を、買い占めて廻ったのだそうだ。
ところが大泉学園あたりから買い始めて、江古田まで来ると、急に品切れになってしまった。
それから向こうは、どこへ行っても品切れなのだ。
それから向こうは、どこへ行っても品切れなのだ。
驚いて調べた結果、同じ練馬区に住んでいた手塚治虫が中村橋方面から買い占めてきていたのがわかった。
手塚治虫は豊富な財力と権力を最大限利用して、連載誌の編集者にまで買い占めに行かせたらしい。
手塚治虫は豊富な財力と権力を最大限利用して、連載誌の編集者にまで買い占めに行かせたらしい。
「手塚買い占め包囲網に、負けた」と松本先生はちょっと悔しそうだった。
●「一流のマンガ家になりたいなら、風呂に入りたいとか、歯を磨かなくてはとか、そんなことを考えていてはいけない。」
別に、その時間も惜しんでまんがを描けというのではない。
「そんなことで心をわずらわすな。そんなことを考えるくらいなら、マンガのストーリーでも考えてろ」
男おいどんの作者らしい意見だ。
が、そのあとがいい。
が、そのあとがいい。
「でも、生牡蛎を喰った時だけは歯を磨け。
でないと腹をこわすぞ。
オレは今まで50年間、生牡蛎を食う度に腹をこわして苦しんだ。
が、この前、日本海側で接待をうけて生牡蛎を食べた後、たまたま歯を磨いたら腹をこわさなかった。」
でないと腹をこわすぞ。
オレは今まで50年間、生牡蛎を食う度に腹をこわして苦しんだ。
が、この前、日本海側で接待をうけて生牡蛎を食べた後、たまたま歯を磨いたら腹をこわさなかった。」
大発見をしたという顔で教えてくれた。
僕はどんな顔をしたらよいかわからなかった。
アシスタントの綾ちゃんは隣でひきまくっていた。
僕はどんな顔をしたらよいかわからなかった。
アシスタントの綾ちゃんは隣でひきまくっていた。
マンガ家への道は険しいなぁ。
以上、『オタクの迷い道』よりお届けしました。
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