───────────────────────────────────
おはようございます。
───────────────────────────────────
連載第46回「松本零士先生のちょっとイイ話」
僕が高名なマンガ家の先生に弟子入りして、マンガの描き方を実際に教えてもらう、というものだ。
実は昔から、本当に昔からマンガ家になりたかったのだ。
いしかわじゅんなんか「いける、いける。岡田だったら半年でデビューできるよ」などと無責任に言う。
僕も早く、あんなメカが描きたい。
あんなメーターが描きたい。
そんな思いでやってきた僕に、松本先生は、エンエンと人生訓を聞かせてくれる。
「早くメカの描き方を」と焦る僕も、そのとてつもない人生訓に心奪われてしまった。
あまりにスゴい内容のため、とても週刊アスキーには書けないので、ここで書く。
アシスタントを動員して、練馬区の文房具屋のペン先を、買い占めて廻ったのだそうだ。
それから向こうは、どこへ行っても品切れなのだ。
手塚治虫は豊富な財力と権力を最大限利用して、連載誌の編集者にまで買い占めに行かせたらしい。
が、そのあとがいい。
でないと腹をこわすぞ。
オレは今まで50年間、生牡蛎を食う度に腹をこわして苦しんだ。
が、この前、日本海側で接待をうけて生牡蛎を食べた後、たまたま歯を磨いたら腹をこわさなかった。」
僕はどんな顔をしたらよいかわからなかった。
アシスタントの綾ちゃんは隣でひきまくっていた。
マンガ家への道は険しいなぁ。